カートを見るオンラインヘルプはじめての方へ
 
 
 
 
ゲームミュージック
スィープレコード
 └試聴コーナー
M'sアート(古川もとあき)
ZUNTATA RECORDS
アイエヌエイチ
WAVE MASTER
その他GM
アニメ
DVD
ブルーレイ
CD
特集アーカイブ
ご利用案内
お問い合わせ
会社概要
利用規約(古本市場オンライン)
会員規約(古本市場オンライン)
Powered by
= WARNING =
本サイトは 株式会社テイツーが運営しています。会員サービス、商品詳細、カート、ご購入に関するすべての手続きは、株式会社テイツーが運営する「古本市場オンライン」にて行います。サイトのご利用規約、プライバシーポリシーは全て「古本市場オンライン」に準じます。
協力サイト リンク
sweeprecord
古川もとあきSTATION
ZUNTATA OFFICIAL SITE "Z-Field"
株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.05.27
 
GMコンポーザー・下村陽子
ねんがんのRPGをてにいれたぞ!
退社、子育て、新しいチャレンジ
アレンジ、劇伴……広がり続ける下村ワールド
下村陽子のこれまでと、これから
 

>> 1/4回から読む <<


   <出席者紹介>
下村陽子
『ストリートファイターII』から『ライブ・ア・ライブ』、『パラサイト・イヴ』、『キングダム ハーツ』、『聖剣伝説 Legend of Mana』などなど、激しいバトル曲からしっとりとしたピアノ曲まで、老若男女360度対応のスーパー・コンポーザー。現在はフリーの作編曲家として、劇伴、アニメ、テレビなどに活躍のフィールドを広げつつも、その軸足はゲームからブレない。昨年活動20周年を記念したベスト・アルバム『drammatica』をリリースしたほか、この5月には『キングダム ハーツ』のピアノアレンジアルバム『PIANO COLLECTIONS KINGDOM HEARTS』をリリースする。
Official Website:http://www.midiplex.com/
Official blog:http://blog.livedoor.jp/midiplex/
   

 
●GMコンポーザー・下村陽子
   
安部: さて、『ライブ・ア・ライブ』に続く『フロントミッション』では松枝賀子さんと共作ということですが。
   
下村: そうですね、半々。
   
安部: 半々とはどういうことでしょう。
   
下村: これは……ちょうど『ライブアライブ』がもうすぐ終わりかなというときに、松枝さんが私の後に新卒で入ってきて、新卒だと一人は大変だろうから、サポート的な意味で入ったんですけど、フタを開けてみると半分ずっこ、ということになって、ホントに綺麗に半分に割って、21曲ずつ書いたんじゃないかな。
   
安部: 『パラサイト・イヴ』のころはもう、スクウェアに慣れて、落ち着いてきた感じですか?
パラサイト・イヴ
時は流れ、プレステ時代になり音楽の表現力もアップ。ホラー・アクション的なストーリーに合わせた、ミステリアスかつ都会的な楽曲が多いが、ドコドコ鳴りやまぬリズムが、これも下村作品かと安心させてくれる。まずまずの入手難易度で、再販も望み薄。
   
下村: 落ち着いてきましたね。落ち着いてきたと思った……のに! ロスに連れて行かれたときですね(笑)。「ロス……いいところだよ……」っていわれて。ロスに行く人たちの話を聞いたときはまるで他人事で「そう、じゃあ、がんばってね!」って見送ったんですけど、まさか数か月後に自分まで召還されるとは思ってなかったです(笑)。
   
安部: ハードがプレイステーションに変わったのもあると思いますが、このあたりから曲の幅が広がる感じがしました。固めのシンセ・ベースと暖かいパッドのデジタルっぽさも入って来つつ、それでいてスクウェアっぽい感じもあって、これまでとは少し違う感じがしました。
   
下村: 世界観も独特でしたし、坂口(博信)さんに会ったときに、「クラブっぽい音楽がいいんだよね」といわれて(笑)。クラブっぽいっていわれても私クラブな曲作れる人間でもないし……クラブの曲そのものは作れないんですけど、こういうジャンルは好きなので、ゲームしててジャマにならない、リズムが気持ちよくって、メロディアスじゃないけど、断片的にメロディはしっかりさせたいなという気持ちで作りましたね。いつもみたいにアツい曲……私の曲はすぐアツくなる傾向とか、すぐ悲しくなる傾向なんですけど(笑)、あんまりアツくしない、すごく悲しい感じにはしないとか、そういう風には意識しました。
   
安部: あと、オペラも入ってきますね。
   
下村: ゲームの序盤にオペラのシーンがありまして、このシーンがきっかけで発火現象が起きてしまう。オペラの曲=女性の声がイヴを連想させるのがいいんじゃないの、ということで。歌もイヴも、女性の象徴になるんじゃないかな、と思って。
   
安部: 先ほどからお話を聞いていますと、必ず、ゲームの内容を把握されて作曲されていますね。
   
下村: せっかくゲーム音楽をやってるので、楽しんで作りたいし、ゲームを遊んで下さる方に……偉そうとか、気取ってる風に聞こえると申し訳ないんですけど……邪魔にならず、気持ち良く、心地よく聴いてもらいたい。バトルでは高揚して欲しい。それから、当たり前なんですが、とにかくゲームに合わせたいんですよね。私がゲーム音楽をやってるのはそこがすべてなので。それには……ゲームに触れていないとイメージを沸かせられないし、それが合ってるかどうかの判断ができないので……時間が無いので通しでプレイするのは難しいんですけど、曲を付ける部分のムービーや資料を見せてもらったり、環境があれば実際にプレイしてみたり、というのは心がけています。
   
安部: ほかのコンポーザーさんにお伺いすると、「いや、それが、何も資料がない状態で作業しないといけないことがしょっちゅう」というお話を聞きます。
   
下村: そうなんですよ! ホントそうなんです、多いんですよ。だから私は「資料がないと作れません、書けません!」と言ってます……フリーになった現在でも「資料がないと書けないのでお願いします」とお願いしています。確かに資料がなくても書かないといけない状況ってあるんですけど、そういうときはできるだけ言葉とかをもらってやるしかないですね。
   

 
●ねんがんのRPGをてにいれたぞ!
   
安部: そして『Legend of Mana』ですか。『聖剣』シリーズ……やっと、というと失礼ですけど。
聖剣伝説 Legend of Mana
オリジナルサウンドトラック

これまでの『聖剣伝説』とはまた違った、新しい『聖剣』を堪能できる2枚組O.S.T.。『Song of Mana』、『ホームタウン ドミナ』、『滅びし煌きの都市』など、『LoM』の世界を目の前にあるかのように描き出す珠玉の名曲揃い。
   
下村: そうなんですよ、やっとファンタジーRPG、ここまで来てやっとたどり着いたんです(笑)。『ライブ・ア・ライブ』もRPGではありますけど、ちょっと特殊ですし。
   
安部: うれしかったですか?
   
下村: うれしかったですけど、『聖剣』は『聖剣』で、独特な世界観がありますし、音楽もすごく独特の世界観があったので、「えーっ、そのあとをやるのか……」という気持ちもありまして。
   
安部: そうですよね。『2』、『3』と菊田裕樹さんのあとですもんね。
   
下村: 絶対、聖剣ファンの皆さんに叩かれるだろうなと思って(笑)。まだそのころはネットがそれほど普及してなかったので、もしかしたら叩かれていたのかもしれないけど、リアルタイムでは見ずには済みました(笑)。
   
安部: とんでもない(笑)。結構ネットは見ちゃうタイプですか。
   
下村: ネットは大好きなんですけど(笑)。ネットというよりネット通販が(笑)。
   
安部: 『Legend of Mana』というと名曲揃いですけど……メインテーマの『Song of Mana』ではスウェーデン人のボーカルを起用していますね。当時、何度も出た質問かとは思いますが、なんでまたスウェーデン語だったんでしょう?
   
下村: 日本語と英語は避けたかったのと、『Legend of Mana』は私の印象で……背景が、北欧の片田舎みたいな色彩感を勝手に想像してたんですね。それで、じゃあ、スウェーデンあたりがいいんじゃない、という経緯ですね。
   
安部: 歌手の方は知り合い伝手で探されたんですか?
   
下村: いえ、知り合いではなく、ちゃんとしたコーディネイターに、イメージを伝えて探していただきました。それで、スウェーデンまでレコーディングに行きました。ストックホルムで2泊。ロンドンで弦も録ったので……ここでは3泊だったかな。
   
安部: ほかに印象深い事件はありました?
   
下村: ライナーノーツでも言ってるんですけど、「プロレスの入場みたいな曲で」という発注に困惑しました(笑)
   
安部: ゲーム業界、プロレス好き多いですものね。
   
下村: 多いですよね。私が席を外してる間に私のブースに人が集まってスーファミのプロレスゲームとかやってるんです。「私仕事するんだからそろそろやめてー!」って(笑)。比較的広めの個室だったんで、人が集まりやすかったんですよね。「スクウェアに入った以上、プロレスは観とけ!」って。
   
安部: 「観とけ!」って(笑)。
   
下村: 大変でした(笑)。
   
安部: その後、小ネタになりますがヴィーナスフォート(※お台場にある巨大ショッピングモール)の楽曲提供がありますね。これは宮本さん(スクウェア創業者)の依頼で?
   
下村: そのころ、スクウェア・サウンズで、子会社としてサウンドの部署が独立していたんですよね。じゃあゲーム以外の仕事もやってみない? ということで。
   
大野: ヴィーナスフォートの音楽を?
   
下村: そうなんです。ヴィーナスフォートで……今はもう流れていないと思うんですけど。当時オープン直後だったので、凝ったことをやっていて。ヨーロッパの大道芸人みたいな人たちがパレードをするんですけど、そのパレードの曲を担当しました。
   
安部: これは聴けないんですかね?(笑)
   
下村: 聴けないですね(笑)。どんな曲だったかも……。データも残ってないし。
   
安部: ヴィーナスフォートの放送室的なところに行くと音源残ってたりして。
   
下村: どうなんでしょう(笑)。大道芸人の三輪車に積まれて流れていた曲なんで、マスターがあるかどうかも怪しいですよね。
   
安部: 納品はどうやって?
   
下村: 録音したあと、スクウェア・サウンズのプロマネ的な方に渡したので、その後は……。松枝さんもそうしてたんじゃないかな。
   
安部: あ、松枝さんも参加してるんですね。『ヴィーナスフォート・オリジナルサウンドトラック』を作ったら売れそうですね。
   
下村: せっかくだからCDにしちゃおうよって、マスタリングまでしたはずなんですけど、その後どうなったのかわからないですね……。
   
安部: そのマスターが欲しい! そしていよいよ『キングダム ハーツ』。
KINGDOM HEARTS
Original Soundtrack COMPLETE

なんと9枚組で15000円というそのボリュームにまずは圧倒されるが、コンプリートと銘打つだけあり、これひとつで『KH』の曲はほぼコンプ。既発のサントラと重複する部分はあるが、9枚組のメリットとして2ループ収録なので、いつかは入手したい存在。
   
下村: 正直……荷が重い……と思っていました。「できればちょっと……別の担当者に……」と思ってたのが、うまくおだてられて(笑)。やることになってしまいましたね。当時はこんなに長くシリーズ化されるとは思っていなかったので、今思えばラッキーだったなあ、と。
   
安部: 二度目のディズニーですね(NES『Disney's Adventures in Magic Kingdom』)。
   
下村: 「そういえば昔、ディズニーものやったことあるんですよね」ってうっかり言ったら「じゃあできるじゃん」って(笑)。
   
安藤: 昔のも「キングダム」がついてるじゃないですか(笑)。
   
下村: そういえばそうですね(笑)。
   
安部: 実際、制作してみてからはどうでしたか?
   
下村: ディズニーの作品にはもともと、映画オリジナルの曲があるわけですよね。『リトル・マーメイド』では『Under the Sea』は外せない。そこをそれじゃない、別の曲にしろというのは絶対無理なわけで。「原曲でお願いします」といいたいところなんですけど、いろいろな事情で全曲オリジナル音源というわけにもいきませんし。「そ、そんな……原曲で素晴らしい曲があるのに、それに見合う曲を書けって、なんて無茶なこと言うんだろう!」とは思いました。しかも、フィールドとバトルがセットになっているので、アリスのステージだったら、アリスの雰囲気に合うステージの曲を作って、次にバトルを作らないといけないんですけど、『不思議の国のアリス』のサントラとか聴いても、そんな激しい曲なんか入ってない(笑)。
   
安部: 存在しないものを作れと(笑)。その後、『FINAL MIX』に続きますが。
   
下村: ここでは4曲追加ですね。そして、2002年末でスクウェアを退社しています。
   
安部: 結構在籍されましたね。
   
下村: そうですね、10年ちょうど。『FINAL MIX』が最後ですね。
   

次ページ >