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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.05.07
 
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●幻となったデビュー作!?
   
安部: デビュー作は公式ページのディスコグラフィによると、一本目が『サムライソード』(ファミコン)となっていますが。
   
大野: そんなゲーム、あったの?(笑)
   
下村: あったんですよ、ディスクのアドベンチャーで……。不思議なゲームですね……。それより前にもメダルゲームの仕事とかしてたんですけど。
   
安部: 『1942』とかのルーレットゲームですか?
   
下村: いえ、私がやったのはもっとマイナーで、世に出たかどうかもわからない。『ハイスクールカンちゃん』って名前だったんですよ(笑)。実はその前にボツになってしまったものがありまして。バニーガールのお姉ちゃんが出てくるメダルゲームなんですけど。ディレクターさんに「大人路線で、Jazzyな感じでお願いします」って発注で、「そんなん書けないよ~っ!」と、思いながら半ベソで一生懸命書いて完成させたんです。ところが、しばらくしても音沙汰がないんでどうしたんだろうって思っていたら、「すみません、路線変更になりました。今度は中山美穂の『ビーバップ・ハイスクール』みたいな感じでお願いします」っていわれて、椅子から転げ落ちそうな勢いで脱力したような……。結局最初に作った曲は全部ボツになって。これが私の初仕事でしたね(笑)
   
安部: 今、ネットで調べてみたんですけど、『ハイスクールカンちゃん』は一応製品化されているようですね。僕も見たことないですけど。ゲームソフトとして初めて出たのは『サムライソード』ってことになりますね。
   
下村: 『サムライソード』は、当時そんなになかったアドベンチャーゲームで、ディレクターさんから「RPGみたいな曲がいいです。世間は『ドラクエ』が流行ってますけど、僕はこれの音楽がイチオシなんです」って渡されたのが『ファイナルファンタジー』。そこで勉強のために『FF』をクリアしたところが、私のこの『FF』人生の始まりですね(笑)。社員旅行に行ってる間にセーブデータが飛んだりして、何回ラスト・ダンジョンまでやりなおしたことやら……。3回はやり直しましたね、やり込み過ぎて、HPとか桁越えして「あ」とかになっちゃったりして。そんなにやり込んだのに、作った曲は『FF』に似ても似つかない曲でした(笑)
   
安部: 楽曲的にはディスクシステムなのに、3チャンネルしか使ってないように聞こえました。
   
下村: 使ってないんですよ。ハイ。
   
安部: それはなぜ?
   
下村: あの~、……容量がなかったんです(笑)。
   

 
●衝撃の開発環境
   
安部: 実作業はいきなり機材を渡されて「さあやれ」みたいな感じだったんですか? それとも曲だけ作って渡す感じの作業?
   
下村: 全部打ち込みまでやらないとダメでした。機材は会社にあったんですけど、人数分はなかったんで、先輩方が帰られたあととか、使わない日とかに作業して。
   
安部: サウンドの部署に何台ぐらいあったんですか?
   
下村: 4台ぐらいはありましたよ。全員分ないだけで。
   
安部: すごい! 4台も! ファミコンの機材って高いでしょう。カプコン、お金持ちですね!
   
下村: でも、作曲のシステムはMSXです(笑) MSXにFM音源のカセット挿して作曲してましたからね。
   
安部: へえ! それは……全部そうなんですか? アーケードとかも……。
   
下村: みんなそうですね、全部MSXで作曲してました。
   
安部: それは特ダネですね(笑)
   
大野: 当時、カプコンが一番ハイペースで仕事してる印象があったなあ。曲を作って納めるまでが短いの。
   
下村: アップ休暇なしでした。朝、1本終わって、報告に行くと「じゃ、今日から次のタイトルよろしくね」って(笑) 頭を切り換えるのが大変でした。
   
安部: 90年はすごくたくさん担当されていますね。一部担当も含めますと、8本。
   
下村: えええーっ。そんなに……? ああ、たぶん、発売された年も含んでいますね。
   
安部: 89年が少ないですもんね。
   
下村: 『F1ドリーム』、『Disney Adventures in Magic Kingdom』、『大甲子園』は1年でまとめてやった記憶があるんで……。
   
安部: 3作とも全然作風が違いますね。
   
下村: ええ、もう。この頃から危険な香りがしますよね。 『Disney~』とか、ジャンルがバラバラとか、いろいろと(笑)
   
安部: 『F1ドリーム』はPCエンジンにハードが変わりますけど、やっぱりMSXで作ったんですか?
   
下村: 作曲はMSXですねえ。この頃、どこまでMSXだったかな……『ニモ』ぐらいのときにはPC-9801に変わっていたと思うんですけど。
   
大野: 『ストII』って何年?
   
安部: 91年ですね。
   
下村: 『ストII』はPC-98で作ってましたね、たぶん。
   
安部: PC-98はどんな環境だったんですか? オリジナルの……
   
下村: いえ、普通に市販のソフトで、MIDIのドライバとシーケンサーで。
   
安部: 『レコンポーザー』とかですか。
   
下村: 違うんです、違うんですよ、これがまた! レアなソフトで。
   
安部: 売ってる奴ですか。
   
下村: 売ってました! 『レクリエプラス』っていうんですけど。その後、そのソフトを作ったところが次のシーケンサーソフトを出すので使ってみて下さいってサンプルが来て、これがすごい使いやすかったので結構そのあとずっと、カプコンを辞めたあとも使ってたんです。前作『レクリエプラス』と違って2トラックを開いて作業できるのが便利で。
   
安部: プロモーション版をずっと使ってたんですか?
   
下村: 発売されたかどうかわからないですけど、ずっと(笑)。無期限で、どんどんお仕事に使って下さい、というお話だったので、遠慮なく(笑)
   
安部: 下村さんって、サウンドプログラムはされるんですか?
   
下村: 当時からしないですね。データの打ち込みはやりますけど。MMLでしたっけ。あと、カプコン時代までは効果音とか作ってました。MML自体は実は、PS時代までデータ書いてましたねえ。
   
安部: それは、音色のプログラミングも含めて?
   
下村: えーと、CPS基板だと、FM音源だったので、エディターを使って音色を作るのはやってました。
   
安部: 実作業における音源的にはどういう環境でした?
   
下村: ローランドのU-110というラックの音源を溺愛していました。それまでFM音源で曲を作っていたので、PCMに変わったのは衝撃的でしたね。「すごい、ピアノの音がするっ!」って。
   
安部: その時代はもうCPシステムに入っている?
   
下村: たぶん入っています。私自身はCPシステムが始まったときはコンシューマーの部署にいたので。
   

 
●コンシューマーからアーケードへ
   
安部: 90年は、コンシューマーとアーケードの仕事がクロスしていますが、移籍されたんですか? カプコンってコンシューマー、アーケードで部署が違うと思うんですけど。
   
下村: そうですね、基本的に担当レベルで分かれていました。私はいつか『ドラクエ』のようなRPGを担当したかったんで、コンシューマーにいて。カプコンは「出さない」っていってたんですけど(笑)。それでもいつか、もしかしたら出るかもしれないっていう夢を持って。ずっとコンシューマーに居たかったんですけど、先輩の松前さんがアーケードを担当されていて、誘ってくださって。悩んだんですけど、せっかく声をかけていただいたのでアーケードに移ったんです。正式に部署が分かれていたわけではないんですけど、一度アーケードになると基本的にはずっとアーケード担当になりますので。たまにヘルプとかはするんですけど。
   
安部: アーケード初作品が『ニモ』ということで。
   
下村: 残念ながらあまりお店には出ませんでしたねー。『ファイナルファイト』もやるはずじゃなかったんですけど、忙しいので手伝って、と、言われて、よくわからないうちに出てました(笑)
   
安部: この頃は他に『レッドアリーマー』がありますね。
   
下村: 『レッドアリーマー』ってサントラ出てるんですか?
   
 
G.S.M.1500レッドアリーマー~魔界村外伝~魔界村音楽大全
『魔界村』の外伝的作品のゲームボーイ版。ファミコン版に『II』があるが、これが1作目で、全曲アレンジアルバムとなっている。オリジナル音源は近年発売された『魔界村音楽大全』に収録。どちらも入手しづらい。
G.S.M.CAPCOM 3
FINAL FIGHT

下村氏は一部参加だが、『ファイナルファイト』、『ハテナはてなの大冒険』が収録されている。『戦場の狼II』や『1941』も含まれるのでとりあえず持っておきたい1枚。
   
安部: 調べた限りでは、高西圭さんによる全曲アレンジという珍しい構成になっているようです。
   
大野: 高西さんって、あの『Beep!』ソノシートのアレンジの? じゃあそれウチじゃないんじゃない?
   
安部: いえ、G.S.M.1500ですよコレ(笑)
   
大野: 全然覚えてない(笑)
   
下村: 私も確かに曲書いたんですけど、どんな曲だったか、本当に覚えてないです(笑)
   
安部: ディスコグラフィにも触れておきましょう。デビューが89年の『スウィートホーム』のサントラのアレンジですか、レア盤ですね。
   
大野: G.S.M.1500シリーズのカプコンの最初だ。
G.S.M.1500
スウィートホーム/カプコン

のちの『バイオハザード』とも言われる、ファミコンの名作『スウィートホーム』の全曲アレンジアルバム。出荷数が少ないため、入手困難。原曲は民谷淳子氏だが、下村氏はアレンジャーとして参加している。
   
下村: 曲は全部民谷さんなんですよね。
   
安部: このころは大野さんとは出会ってないんですか?
   
大野: 最初の仕事は観音崎マリンスタジオだね。新人でーす、って。白いフレアスカートみたいなのがフワフワしてて、久々にキャピキャピ系が来たって気になってた(笑)
   
下村: キャピキャピだったのか!(笑) まだ22とか23とか……。たぶん『ストII』のアレンジ仕事ですね。それ以前の仕事は先輩が窓口で、私は曲や書いたり、アレンジををしただけで。
   
安部: となると、マリンスタジオが、レコーディングというものに接した最初のお仕事。
   
下村: そうですね。右も左も、上も下もわからなくて。それまでに先輩のレコーディングについていってれば要領はつかめたんですけどね。
   
大野: ふたつスタジオがあって、リンドバーグと一緒だった。
   
下村: そうでした。あのころは携帯もなくて、電話は全部スタジオに1台しかない公衆電話で。『ストII』のレコーディングで来てるんですけど、仕事自体は次の開発が始まっているので、大阪から問い合わせの電話の対応をしなくちゃいけなくて。トラブルだったのか、この電話が長くなっちゃって。後ろでリンドバーグの関係者らしき人が「いい加減にしろよ、こっちは仕事なんだか ら!」ってすごい怒ってて。こっちも仕事だよ!(笑)
   
安部: 1台の公衆電話を巡ってストリートファイトが始まる、と(笑)
   
   
  
  次回は『ストリートファイターII』にまつわるエピソードをお伝えします。お楽しみに!




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★次回 下村陽子インタビュー 2/4 は、2009.05.13公開です
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