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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.05.07
 
酒とピアノと下村陽子
「ドラクエ」みたいなRPGの曲なら書けるかも!?
幻となったデビュー作!?
衝撃の開発環境
コンシューマーからアーケードへ
 


GA-COREをご覧の皆様、初めまして。安部理一郎と申します。小さな編集プロダクションとバーを経営しつつ、興味本位でお仕事をさせていただいております。皆様の目に触れる範囲のお仕事としては『レジェンド・オブ・ゲームミュージック』の2箱め、3箱めや、ウェーブマスターのブックレット制作なども担当しております。今回は酒とゲームという共通項で下村さんのインタビューに臨みます!
今回の収録は新宿にあるビデオゲーム・バー『16SHOTS』にて行ないました。『16SHOTS』は新旧内外問わず、ビデオゲームを愛する人たちが夜な夜な集う「真剣30代以上しゃべり場」(※もちろん20歳以上ならOKです!)。ロックバーやタイガース居酒屋のように、ゲームのお話ばかりしているお店です。なお、当店はゲームを遊ぶお店ではありません。一応各種ハードはインテリアとして設置していますが、ソフトはお客様による持ち込み制で、当店からのお貸し出しは致しておりません。あらかじめご了承の上ご来店をお願いします。 bar 16SHOTS 詳細はこちら!
 

  <出席者紹介>
下村陽子
『ストリートファイターII』から『ライブ・ア・ライブ』、『パラサイト・イヴ』、『キングダム ハーツ』、『聖剣伝説 Legend of Mana』などなど、激しいバトル曲からしっとりとしたピアノ曲まで、老若男女360度対応のスーパー・コンポーザー。現在はフリーの作編曲家として、劇伴、アニメ、テレビなどに活躍のフィールドを広げつつも、その軸足はゲームからブレない。昨年活動20周年を記念したベスト・アルバム『drammatica』をリリースしたほか、この5月には『キングダム ハーツ』のピアノアレンジアルバム『PIANO COLLECTIONS KINGDOM HEARTS』をリリースする。
Official Website:http://www.midiplex.com/
Official blog:http://blog.livedoor.jp/midiplex/
   

 
●酒とピアノと下村陽子
   
下村: すみません、すごいマシンガントークで話すのに喋りベタなのでお恥ずかしくて…よろしくお願いします。
   
安部: よろしくお願いします。下村さんのインタビューはこれまでもいろいろな媒体で露出があると思いますので、生い立ちから始まって……
   
下村: 生い立ち(笑)
   
安部: ええ、生い立ちから。まずはカプコン入社までということで、下村さんのルーツを探っていこうかと思います。ただ……お題として……「お酒と下村陽子」というテーマで話をしないといけないんですが!
   
下村: (爆笑)……そういう印象は、『スマブラ』の桜井さんがファミ通のコラムに書いちゃったり、イトケンさんが日記に書いちゃったので……そういうキャラに作られてしまって……。
   
安部: あ、でも、お噂では深夜に飲み会に駆けつけたこともあるとか……。
   
下村: ええーっ、何の飲み会だろ…………あ、ありますね……。「2時からなら行けます!」とか……(笑)
   
安部: まあ、ウワサですよね!
   
下村: お酒は、そんなホント強くないんですよ。どちらかというと。お酒の場が好きで。で、その場にいると調子に乗って飲んでしまって……。
   
安部: 結局飲むんですね(笑) お飲み物は、本当にお茶でよかったんですか?
   
下村: ここでアルコールが入ると無いこと無いこと喋っちゃうんで!(笑)
   
安部: では本題なんですが、まずは、幼少時の音楽体験などを。
   
下村: 普通にまわりがピアノを弾いていたので、「わたしもやりたーい!」と両親にねだって。4~5歳ぐらいじゃないかな。ただ、ピアノって高級品だったので、ピアノ教室に通いながら、代わりにオルガンを弾いてました。
   
安部: ああ、当時はピアノの代わりにオルガンで練習する人とか、紙鍵盤で練習する人っていましたよね(※昭和50年代のお話です)。
   
下村: 紙鍵盤はないですよー!(笑) 親もそんなに長く続くとは思っていなかったみたいで。さすがにオルガンじゃ……って話になって、じゃあピアノ買うか、ということで。普通のアップライトピアノを買ってもらいました。
   
安部: 結構長い間ピアノはやられていたんですか?
   
下村: ピアノは……11年、ピアノの発表会に出たので……それだけはよく覚えているんですけど。
   
安部: ずいぶんお金を払ったんですね(※発表会に出るには会費が必要なものもありました)。
   
下村: そんなでもなかったです。すごく良心的な先生だったので……。
   
安部: じゃあ、個人でやられてるような先生のところで?
   
下村: そうですね、町の先生みたいな。最初はカワイの音楽教室に行ってて、このときは自宅ではオルガンで練習してました。2年ぐらい通ったんじゃないかな……。それで、ピアノをちゃんと習うんだったら、評判のいい――あるじゃないですか、地元ネットワークで。100人ぐらい生徒さんがいらっしゃる一軒家の教室に習いに行って。
   
安部: それは中学校ぐらいまで?
   
下村: いえいえ、私はそのままピアノ専攻で大阪音大の短大に入ったので、そこに入る直前までですね。
   
安部: ずっとその先生に?
   
下村: 実は、入試までずっとお世話になる予定だったんですが、いろいろあって、大学入試前に破門になっちゃったんです、高校3年の夏に!
   
安部: えええええええーっ(笑)
   
下村: 当時、世間知らずでしたから、自分の習ってる先生が、どの大学出身かとか、全然意識してなくて。友人に誘われるままに、大阪音大の夏期講習を受けに行ったら、先生のお怒りに触れてしまったみたいで。9月に課題曲が出るっていうのに「あら、そんなに大阪音大がいいんだったら、大阪音大の先生に習えばいいわ、来週から来なくていいわ」って言われて(笑)
   
安部: もう、十何年も師事してるんですよね?
   
下村: そうなんです。で、そこの発表会にも11年間出ていたのに、急にそんなことになって。……というわけで、ずっと習ってたといっていいものか……(笑) 今思えば、夏期講習に行く前に、先生に相談しろ、自分! って感じですね。お怒りもごもっともです。
   
安部: じゃあ、楽器はピアノ一本だったんですか、ずっと。
   
下村: ピアノはすごい好きだったんですけど、決して上手ではなかったので、ほかにもっと向いてるのがあるんじゃないかって、結構いろいろ……途中でフルートを習ってみたり、短大入ってからは、トランペットも。あと……
   
安部: 掛け持ちで?
   
下村: そう。あと、指揮の小澤征爾さんが好きだったので、指揮も習ってたんです。それで、ブラスバンド部に入って指揮やったりとか。
   
安部: それは高校生のとき?
   
下村: そうですね。
   
安部: じゃあ、結構バラバラにやってたんですね。
   
下村: 中学の時はクラシックギター弾いたり、合唱部にいたり(笑) いろんなことを本当に。
   
安部: 楽器全般が好きだった。
   
下村: そうですね、やれるチャンスがあればなんでもやりたいタイプでした。指揮を勉強したのはいい経験でした。指揮を習うって、あまりないじゃないですか。
   
安部: 今なら『のだめカンタービレ』とかもあるから興味を持つ人もいると思うんですけど、習おうって思わないですよね、学生は。
   
下村: 普通の生活では全く役に立たないですし(笑) 1年普通に個人の指揮の先生に習って、短大に入ってからは授業で結局2年間学びました。
   
安部: じゃあ大学でも指揮を。
   
下村: 大学でも。当時……ボディコン着て、指揮やってました(笑) ボディコンって(笑)
   
安部: 学生時代はバブル全盛期ですか。
   
下村: そうですね、音大出て証券会社に行く人とかが続出した時代ですね。そんなときに私は、違う意味のお立ち台に乗って指揮を振っているという(笑)。
   

 
●「ドラクエ」みたいなRPGの曲なら書けるかも!? 偶然か運命のカプコン入社
   
安部: その一方で……ゲームは学生時代に触られていたんですか?
   
下村: ゲームは……大学に入ってからかな……。うちにはなかったんです、そういうゲーム機は。ただ、父がゲームとか好きだけど家庭に持ち込まないタイプで。ショッピングセンターで二人で野球ゲームしたりとかはしてました。
   
安部: ビデオゲームでした?
   
下村: 緑のバックに、白い物体が表示されるような野球ゲームですね。そういうのは結構やってて、好きではあったんですけど、厳しい家だったんで、家にゲーム機はまったくなかったです。だから友達の家でたまにテニスゲームとかさせてもらったりとか。
   
安部: テレビテニス的なヤツですか。
   
下村: 多分そうかな。それは小学校ぐらいの時。
たぶん大学のときに……はじめて知り合いの家でファミコンかな……
   
安部: 大学のときというと、86年~87年ぐらいですか?
   
下村: そうですねえ(笑) それぐらいじゃないかな……(笑)
   
安部: あ、詳しくは書きません!(笑)
   
下村: 確か、短大1年の頃、『ドラクエ』の1を知りました。『ドラクエ』を知る前は、『スーパーマリオ』にハマって、あと……麻雀ゲームとか、野球とか。
   
安部: 結構野球がお好きなんですね。
   
下村: 父が好きだったので。阪神ファン(笑) ……その辺からもう、ヘタクソだけどすごく面白くて。コントローラーとか、こうやってプレイしてたぐらいヘタ(コントローラーを机に置いて両手の人差し指と中指でボタンを押すしぐさ)。持ち方わからなくて。それでもすごく面白かった。で、『ドラクエ』に出会ってしまって。『ドラクエ』ってヘタクソとか関係ないじゃないですか。すごいハマっちゃったんですよね。
   
安部: ちなみに、ご両親はどんなお仕事を。
   
下村: 普通の堅いサラリーマンです。母は専業主婦。すっごい普通の家庭です。あ、でも、ちょっと特殊な環境でもあったかな? それはまた、別の機会に(笑)
   
大野: (当日同席していたユーブック大野)神戸で?
   
下村: 大阪の東のほうです。生まれは兵庫県なんですけど、病院が兵庫なだけで、すぐに大阪に。
   
大野: 兵庫ってイメージなんだけど(笑)
   
安部: じゃあ、あまり都会育ちではない感じ?
   
下村: 違いましたね……。短大に通っていたときは、終電が23時10分でしたからね……。奈良まで歩いていけるぐらいです。
   
安部: 音大から、なぜゲーム会社に入ろうと思ったんですか? 他にも当然受けていらっしゃると思うんですが。
   
下村: 最初、実はあの……ピアノ教室の先生に内定が決まっていて……。某車メーカーのディーラーとかも受けたんですけど(笑)。「そこのクルマに乗りたい」ってだけで(笑)。この時代は受ければ決まっていたぐらいなんです。
   
安部: 音大生なのに(笑)
   
下村: はい。だから、母が大ショックを受けまして……。せっかく音大まで行ったのになんでそんな何も関係ないことを、って。それで考え直したんですが、そんなに音楽が活かせる仕事ってないわけでして。学校の先生は狭き門でしたし、教員採用試験も見事に落ちまして(笑) ピアノの先生かな、って考えていたときに、何社か……任天堂さんとかもそうなんですけど、大学に求人票が来ていて。いろんな条件――家から通えるかとかをふまえて、もしかしたらカプコンさんだったら……、と受けてみて。就職指導科の先生には止められましたけど(笑)。「うちの大学から行ってる子がいるけど、みんな作曲専攻よ……」って。私はピアノ専攻なので、あんまりオススメしないけど、といわれたんですけど、諦めきれなくて受けてみたら幸運にも合格したので。
   
安部: じゃあそれで、カプコンにしようと。
   
下村: そうなんです。ロクに作曲とかしたことないんですけど。ほとんどしたことなかったと言っていいぐらいですね。カプコンに入ったときって、クラシック育ちだったもので、ドラムとかベースは書けなかったんですよ、全然。『ドラクエ』とかってクラシカルなんで、ああいう曲だったら書けるかもしれないなって、今にして思えばすぎやまこういち先生の曲に対して、なんて大それたことを思ったんだろうって(笑) でも、当時のカプコンってアクションゲームの会社で。
   
安部: 求人票を見た段階で、カプコンという会社はご存じだったんですか?
   
下村: 知ってたんですけど、それがもうヘンな縁で。短大だから2年で就職ですけど、1年のときに夏にイベントでアルバイトしてたんです。そのときは就職のことなんか考えてなかったんですけど、そのイベントに、カプコンさんとか、ハドソンさんが出展してて。
   
安部: 南港でやってたヤツですか?
   
下村: 南港じゃなくて、南港の1年前にやってたのがあるんです。すっごい地味なイベントだったんですけど。それでアルバイトをしていて、カプコンのパビリオンに入ることが多くて、『魔界村』のチラシとか配ってたんですよね(笑)。「『魔界村』をよろしくおねがいしまーす!」とか言って。
   
安部: すでにカプコンの仕事を(笑)
   
下村: 『魔界村』のお化け屋敷があったんですよ。そのお化け屋敷の中を、子ども連れて「怖くないからね!」って走ったりとか。そういうことをしてたので。
   
安部: バブル、恐るべし。そんなパビリオン、今時ないわ……。
   
下村: ハドソンは前から知ってたんですけど、よく似た名前だけどこれもゲーム会社か、って、そのときに初めて知って。そういえば『魔界村』って聞いたことあるな、というぐらいの感じで。求人の張り紙を見たときに「あ、私これ去年バイトしてたな……」と思って、受けてみようかな、って。で、受けに行ったら、面接のときに「うちの会社はこういうことをしています」という案内ビデオが流れていたんですけど、そこに私の後ろ姿が映ってるの(笑)
   
安部: スゴイ! ありえない!(笑)
   
下村: 「私、ネタ採用なのかな」って。
   
安部: それはもう決まっていたんですね、運命的に。同期はいらっしゃるんですか?
   
下村: サウンドは私一人だったんです。人も足りてるのに、ロクに作曲もできない私が入ったのはやっぱりネタ採用だったんじゃないかって(笑)
   
安部: さっき、音大の先輩が先にカプコンに……というお話がありましたが、それはどなたが……?
   
下村: 民谷淳子さん(『ストライダー飛竜』など)が作曲専攻でした。あと、TAMAYOさんも同じ大学だったんじゃなかったかな……。お二人とも作曲専攻なんですけど、私はピアノ専攻。一方で普通の大学出身の方もいて。立石(孝)さん(『大魔界村』、『ロックマン2』、のちに『ときめきメモリアル』)とかなんですけど。
   
大野: カプコンで歌ってたよね。
大魔界村 -G.S.M.CAPCOM 1-
ポニーキャニオン/サイトロンレーベルから発売されたカプコン・サントラの1枚目。アルバムタイトルの『大魔界村』のほか、『ロストワールド』、『1943改』、そしてインタビュー中に話題となった『ロックマン2』のボーカル入りアレンジを収録。
   
下村: え、彼、歌ってたんですか?
   
大野: 彼がボーカルで『ロックマンのテーマ』。
   
下村: マージでーすかー!?
   
安部: ロックマンいくつぐらいなんですか?
   
下村: ロックマン……たぶん、私が入社したあとぐらいに『2』を作ってたんです。それの担当が立石さんでしたね。
   
大野: 『2』かなー?
   
安部: 『2』ですかね。
   
下村: 『1』は私が入社する前で、入社するまでに何回クリアしたかってぐらい、『ロックマン』をプレイしまくってたんですよ。
   
安部: クリア、できました? アクションは苦手だとか……。
   
下村: あの……『ファミ通』とか読んで、裏技とか駆使して(笑)
   
安部: それでもスゴイですね。入社されたとき、サウンドチームは何人ぐらいいらっしゃったんですか?
   
下村: 何人かな……。いち、に、さん……私が確か8人目です。
   
大野: 坂口さんに、藤田(晴美)さんと、圭(TAMAYO)ちゃんと……。
   
下村: 松前(真奈美)さんと、民谷さんと。あと、殿村さんと、立石さん。
   
大野: 藤田(靖明/BUNBUN)くんとか、ちよま~げ(泉谷雅樹)はもっと後なんだ?
   
下村: あ~、なつかしい名前! 藤田くんは2年ぐらい前に久しぶりに会いました。
   

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