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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.06.26
 
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●少年時代のノウハウが詰まった『DS-10』
   
安部: さて、いよいよ『DS-10』開発です。これは、企画立ち上げ自体はどういう経緯でした?
KORG DS-10
ニンテンドーDSがソフト1本で音楽ツールに変身! アナログ・シンセの普及機MS-10をモデリングした音源と、リズム・マシン、6トラック・シーケンサー、エフェクターを搭載。MS-10ならではのパッチングも再現し、8台までの同期演奏も可能。打ち込み、ツマミ調整、演奏などなど、操作はすべてタッチペンで完結。これさえあれば、いつでも、どこでも、アナログシンセで打ち込み可能。21世紀って素晴らしい!
   
佐野: AQインタラクティブの岡宮さん(岡宮道生氏。The Black Magesのギタリスト・ミッチー)という人と、飲んでて。
   
安部: 岡宮さんがAQに来たのっていつぐらいでしたっけ? 元々はスクウェア・エニックスで『FFXII』などの宣伝をされていましたが。
   
佐野: 2006年かな。
   
安部: 岡宮さんって、サウンドの仕事はされていたんですかね?
   
佐野: いや、してないと思います。
   
安部: AQインタラクティブとキャビアが同じフロアだったんで、岡宮さんと知り合うわけですね。
   
佐野: そうですそうです。
   
安部: 同じフロアつながりで飲みに行って。
   
佐野: (岡宮さんと)気心知れるのは早くて。「こういうの面白いですよね」と振ると出来ない理由を上手に語れる人が多い中、「いいねいいねどうやってやろう?」みたいな、すさまじく前向きな人なんですよ。なんていうんでしょう、負けたニオイのまったくしない人でいいなあと。
   
安部: 意気投合したと。
   
佐野: そうこうしているうちに飲みつつ「DSでシンセ作ったらウケる!」「DSの形って昔のシンセに似てるし」という話になって。
   
安部: 結構シンプルなお話ですね。
   
佐野: KORGさんとは以前、PlayStation 2のミドルウェアを作ろうかということでやってた時期があって、ミドルウェア展みたいな場所でご挨拶させていただいたことがあったんです。で、……1回しか挨拶したことないのに、「あー僕KORGさんとはすっごい知り合いですよ」って酒の勢いでウソついちゃって。
   
安部: 岡宮さんに言っちゃった(笑)
   
佐野: しかも目上の人だから、あーこりゃごまかせない、困ったことになったなって思って、KORGさんにビクビクしながらメールしましたね。「DSで……シンセ……なんて、作れないですよね?」って。
   
安部: 『DS-10』は、KORG LEGACY COLLECTION(※KORG歴代の名機をソフトシンセで再現した製品)の制作チームの担当だと聞いています。
   
佐野: そうなんです、ショウで挨拶した人が、偶然そのチームの人で、話がすっごく早くて。メールしたその日……何十分レベル……30分ぐらいで「非常に興味があります、実は研究してました」というお返事を頂いて。
   
安部: 当時、LEGACY COLLECTIONのMS-20(※『DS-10』のモデルとなったMS-10の上位機種)はもう発売されてますよね。
   
佐野: そうですね。
   
安部: その一方で、AQ社内の稟議とかって、通るものなんですか? だいぶ特殊な製品で、音楽系の会社じゃないと企画すら通らない気がしますが(笑)
   
佐野: 通らないですね(笑)。これは完全に岡宮さんの力です。ものすごい大変だったと。
   
安部: 開発期間はどのくらいかかりました?
   
佐野: 実際の開発期間は半年とかです。準備までに時間がかかった。
   
安部: じゃあ、上司を説得する材料は低予算である、ということですね。光田さんが絡んでくるのはどのタイミングですか?
   
佐野: これも、KORGさんがDSでシンセをやります、ということになって、じゃあミドルウェアの知識がないとマズイ、ということで。ちょうどプロキオン・スタジオさんがそういうことをやっていた、という情報があったんで、コンタクトを取りました。光田さんも反応が早かったですね。
   
安部: 光田さんとはお知り合いだったんですか?
   
佐野: その頃は連絡を取りあうほどの間柄ではなかったと思います。もちろんお名前は存じ上げておりましたが。
   
安部: さんざんほかのメディアで出ている質問かと思いますが、改めて。プロキオンさんは、実際にはどの部分を担当されたんですか?
   
佐野: 簡単に言うと、シンセサイザーのエンジン部分をKORGさんが作って、これを含めたサウンド周りのメイン部分をDSに実装する作業がプロキオンさん。で、残りの全てをDSに完全に落とし込んで商品化する作業はキャビア、という編成です。開発メンバーはすごい少ないですけど。
   
安部: 結構売れたんですよね?
   
佐野: 具体的な数は諸事情により言えないのですが、結構売れました!
   
安部: 日本ではAmazon専売でしたけど、海外は店頭売りしてるんですか?
   
佐野: してます。北米はXSEEDというAQIの子会社、欧州は任天堂から出ていますね。
   
安部: 海外版は何か違いがありますか?
   
佐野: パッケージが違うぐらいで、ソフト自体は同じものです。
   
安部: 開発途中、何が一番大変でした?
   
佐野: 僕自身は大変なことはなかったんです、何も。まあ、ゼロからの立ち上げの苦労はありましたけど。本当に自分はシンセが好きなんだな、って実感できました。好きだから現場から仕様についての質問が来たら、全部答えられるんですよね。これがいい、これが悪いって。
   
安部: 中学生のときに手に入れたMS-10のノウハウが開花するわけですね(笑)
   
佐野: ついにここで実を結んだ(笑)。で、結構早い段階で実機から音が出たとき、DSとは思えない音が出るのがうれしくて。「早く出さなきゃ!」って、気ばっかり焦る。一刻も早く、自慢して歩きたい。楽しいことのほうが大きすぎて、ちょっと動かないとか、些細なトラブルは気にならなかった。強いていえば「いろいろ物言いを付けてくる大人たちをいかに気にしないか」でした。
   
安部: 「こうしたほうがいいんじゃない?」とか横槍が入るわけですよね。
   
佐野: 「これ、シンセ知らない人にどうやって売るつもり?」とか。「売らないつもりです!」「何言ってんの佐野君?」みたいな(笑)
   
安部: まったくの主観で恐縮ですけど、初音ミクって、「これがあればおれも歌わせることができる!」って夢を与えてくれるじゃないですか。でも実際、中途半端なレベルの人が手を出すと、まったくニコ動のようには歌ってくれなくて、やはりDTMで己の限界を知る……って部分がある商品だと思うんです。DTMの厳しさというか。『DS-10』も初めて見たとき、同じ雰囲気……楽器的なオーラを出していて。「弾けんのか?」って。ああ、初心者は排除なんだな、と思っていたんですけど。とりあえず触ればそれっぽい音が出てくれるので、間口が広いのか、初音ミクより健康的なコミュニティが育っている気がします。
   
安藤: 佐野さんのYouTubeの実演デモを見ると、興味を持ってくれる人が結構いると思うんですよね。
   
佐野: 一個ずつ音を作って行くヤツですか? あれもねぇ、自分の机ですよ。普通に皆さん仕事している中での撮影で。撮影中に言われるんですよ。「佐野さん、書類出てないよ?」って! 「ああもう!」とか言いながら。
   
安部: 「お母さんいま録音してるから喋らないで!」(笑)
   
佐野: 周りは「佐野さんはいつまでたってもDS-10で遊んでる」って。
   
安部: 遊んでるようにしか見えない(笑) あれ、自分撮りなんですか?
   
佐野: 自分撮りですよ! 三脚を机に立てて。難しいんですよ、三脚の足の間からDSを操作しつつ。で、「請求書出てないよ!」って怒られるの。あの映像、作ってくれとも編集してくれとも誰にも言えないから、全部自分でやりましたよ……。だからあんなプリミティブな動画なんですよ。
   
安藤: でも、おもしろさは伝わってきました。
   
佐野: やらないとわかんないですしね。
   
安部: タイミングもよかったんですかね? DSも普及して、電子楽器ではKaossilatorやらELECTRIBEなんかも出回って……。メイン購買層はどのくらいでした?
   
佐野: 最初に刺さったのはやっぱり……30代後半、アラフォーですよね。男オンリー。
   
安部: 20代の子とかは。
   
佐野: います……けど、まあ、その辺は目立たないですね。
   
安部: 先日渋谷で開催された「KORG DS-10 EXPO 2008 in TOKYO」では、佐野さんが『DS-10』アーティストを召還したじゃないですか。あのメンバーは、ほぼ30代?
   
佐野: ほぼ30代ですね。あーでも、いますいます、20代で、シンセとか全然知りませんって人なんだけどDS-10を楽しんでいる人。シンセという言葉すら知らなかったんだけど、ワケのわかんない音が出るからって。で、20代は、作ってくる音が全然違いますね、やっぱり。例えばエレクトロニカみたいなのを『DS-10』でとか。面白いですね、いろんな人が出てきて。発売して1年後もこんな広がりつづけているとは思ってなかったです。
   
安部: もう1年ですか。
   
佐野: 7月発売でしたしね。
   
安部: 発売から半年ぐらいはいろいろな形のプロモーションを展開されていましたね。
   
佐野: もう、思いついたそばから。岡宮さんが、会社的にも話をガンガン通せて、かつ異常に動きが早い人、というおかげで。
   
安部: 何がありましたっけね、クラブでイベント。音楽喫茶でプレイベント。
   
佐野: 大型ゲーム音楽イベントのEXTRA2008のほか、いろんな取材も受けて。FM FUJIとかも出ましたね。TBSラジオ、コロコロコミック。
   
安部: コロコロで『DS-10』(笑)!
   
佐野: 結構早い段階でしたよ……8月号か9月号。とっとこうと思って忘れちゃったんですよね。
   
安藤: うち、子どもがコロコロ買ってるんで確認してみます(笑)
   
佐野: ゲーム紹介ページにコロコロっぽく「君にも音が作れるゾ!」みたいなことが書いてありました。
   
大野: サンレコ(Sound&Recording Magazine)とかは?
   
佐野: フランクフルトのミュージック・メッセというかなり大きな楽器ショーに出展したときに、日本のサンレコの人がいらっしゃって。すぐに掲載したいと言っていただいたので、ドイツから日本の担当者に電話かけて調整してもらったり。
   
安部: 音楽雑誌方面にはどんな露出でした?
   
佐野: サンレコさんとか、DTMマガジンさんとか。あと、海外では、そのミュージックメッセのときに、なんかものすごい数の取材を受けました。テレビでも紹介して頂きました。アメリカのニュース番組でも流れてましたね。
   
安部: で、EXTRA……は、呼ばれたんですか?
   
佐野: あれはね、ゴリ押ししたんです、僕が(笑)。5pb.さんに「なんかやるらしいじゃん、『DS-10』で出たいんだけど! 出たいんだけど! 超出たいんだけど!」って強引に。
   
安部: EXTRAでは……1曲ですか? 楽曲的には。15分ぐらい?
   
佐野: いや、実際には何曲もつながってるんですけど。曲は10分ぐらい。あとの5分は前説(笑)。よく2000人も前にやりましたよね。
   
安部: しかもオープニング・アクトでした。
   
佐野: でも、ステージに出た瞬間に、「あ、これは、みんな、迎え入れてくれる目をしている!」って思いました。
   
安部: 知名度はあるんでしょうね。『iM@S』ファンにも届いている。
   
佐野: 今まで『DS-10』を全然知らなくて、EXTRAで見て『DS-10』の世界に入ったという連絡も頂いていて。ありがたいことです。
   
大野: EXTRAを見たとき、YMOがPC3台でやったじゃない。あれをすごい思い出したな。
   
佐野: 楽しかったですね。緊張しましたけど。本当面白かったな……。
   

 
●基調講演、子ども会!? どんどん広がる『DS-10』ワールド
   
安部: さて、次回作ですが。
   
佐野: DS-10 PLUS』ですね。
   
安部: 何がプラスされるんですか?
   
佐野: まず、DSiで使うと、『DS-10』2台ぶんの働きをします、というのがひとつ。
   
安部: 旧DSでも動くんですか?
   
佐野: 動きます。その場合は1台ぶんですが、もちろん追加仕様があります。ソングモードっていう、長い曲を作るときに使うモードがあるのですが、ソングモード中も、ほとんどのエディットとか、プレイができるようになりました。もともとこのモードは単なる自動演奏モードとして考えていたので、できなかったことなんですが、予想以上に要望が多かったので。
   
安部: それは便利ですね。ということは、ソングを鳴らしながら鍵盤を弾くってできるんですか?
   
佐野: できます。ツマミもいじれます。
   
安部: 画面はどうなるんですか?
   
佐野: どこでも行き来できます。ソングがいつも裏で鳴ってるような感じ。面白いのは、ソングはパターンの集合体なんですが、ソング再生中、あるパターンの中でシンセのツマミを動かしていて、次のパターンに移行したとします。そしたら、前のパターンのツマミの位置は保存されて、次のパターンのツマミの設定が自動的に呼び出されるんです。つまり、ツマミをいじりながらソングを再生していくと、各パターンごとのツマミの設定がどんどん書き換わって行くんです。
   
安部: パターンが変わるごとにリセットされるということですか。
   
佐野: リセットではなくて、そのパターンにおける最後のツマミの位置を覚えている。それはこれまでも同じ仕様なんですけど、ソングでパターンが変化していくと、自分が知らないうちにいろんなパターンを書き換えちゃってるという。ここで無意識にセーブなんかしようものなら、大事な全部のパターンのツマミの位置が書き換わっちゃう。
   
安部: (笑)
   
佐野: あと、シーケンスもソング中に書き換えられるので、マトリックスを利用してアニメーションとか書く人も出てくるのかなーなんて(笑)
   
安部: そんな期待を持ちつつ。
   
佐野: もうひとつは、ミュートのプログラミングができるようになりました。トラック・ミュートで曲を作るやり方があるじゃないですか。あれができます。同じパターンを使って、バリエーションが作れるので……。
   
安部: パターンを節約できるんですね。外部出力とかは付かないんですか。
   
佐野: データでの出力は諸事情により従来どおりできないです。DSiでの『DS-10』が2台分、ってのと、DSiでもDSでもソングモードの拡張。以上!(笑)
   
安部: (笑)
   
佐野: パッと見、地味な変更なんですけど、実際にいじるとものすごい面白いんですよ。今までの『DS-10』のプレイスタイルから結構変わるかもしれません。
   
安部: これはいつごろ発売予定ですか?
   
佐野: 9月17日(木)発売予定です。
   
安部: プロモーションの展開は?
   
佐野: 6月26日以降に。まずはAppleの基調講演風なプロモーションビデオを。前からやりたいやりたい言ってたら、実現しました。PowerPointじゃなくて、Keynoteでみたいな。
   
安部: どこかで、ショウかなにか開催されるんですか?
   
佐野: いや、ないんですけど、収録だけ、動画配信用の(笑)
   
  (一同笑)
   
佐野: 観客は一人もいないのに動画的には大歓声、みたいな。
   
安部: YouTubeにもアップされるんですね。
   
佐野: ええ。
   
安部: 大きいプロジェクトだとやりにくいのもできちゃいますね。
   
佐野: そうですね。これも、岡宮さん筆頭にこの辺のノリを理解してくれる人がたくさんいるからです。
   
安部: また去年みたいな展開もしつつ。
   
佐野: 7月25日(土)には、「DS-10お誕生会」。以前の「KORG DS-10 EXPO in TOKYO」というユーザーイベントを行った渋谷のaxxcisで。内容も同じ感じで。DS-10スーパーユーザーの超絶プレイが個人的にも楽しみです。あと、歴史的に超有名な海外のアーチスト楽曲の『DS-10』でアレンジコンテストを世界規模でやろうと計画中です。
   
安部: 盛り上がるといいですね。
   
佐野: あと、子ども会。
   
安部: 子ども会!?
   
佐野: 神奈川県子ども会連合会というところから連絡がありまして、『DS-10』を使った催しをやりたいと。
   
安部: どういうことなんですか(笑)
   
佐野: 子ども会でよく、七夕イベントとか、ドッジボール大会とかありますよね? あれと同じ並びで『DS-10』大会をやりたいという。
   
安部: 神奈川県で何が起きてるんだ!(笑)
   
佐野: これね、やって、うまくいけば、神奈川県全域の子ども会に展開したい……。
   
安部: これはとりあえずどこでやるんですか?
   
佐野: 伊勢原です。で、もしこれが面白いってことになったら、他の地域にもどんどん広がっていくらしいんですよ。仮に全国となると、子ども会の会員の方って、500万人もいらっしゃるらしいんですよ。
   
安部: ビジネスチャンス!
   
佐野: でもね、500万人全員に『DS-10』が売れたとしても、『脳トレ』にはかなわないという事実、ここに愕然としました(笑)。まあでも子どもにシンセ、ってのが以前からホントにやりたかったので、とても楽しみです。
   
安部: すごいなあ……。
   
佐野: あとは、バックトラックは『DS-10』のみのシンセ・アイドルを作ろうとか。『DS-10』で歌モノはすごい興味があるんで。これまた対象がアラフォーな感じになりそうなんですが。
   
安部: 有名なアーティストが使われたとか、そういう情報はないんですか?
   
佐野: そういえばあまり……あ!スチャダラパーさんに気に入っていただいたという話は聞きました。
   
安部: あ、そうですよね、去年の東京ゲームショーのライブで使ってましたよね。
   
佐野: 興味があるという話はいくつかのアーティストから頂いてるんですけど、具体的にライブで使うとかって話はあまり聞かないですね。
   

 
●iPhone用アプリ……佐野電磁最新作はまたもアラフォーネタ!!
   
安藤: そういえば、さっき言っていた伏線って何だったんですか?
   
佐野: 引っ張っといて申し訳ないんですが、ヒントのみで。これまでに出てきたキーワードで「アラフォー」「小規模プロジェクト」って話、ありましたよね。僕、今、iPhoneが大好きなんですよ。で……。
   
安藤: ニュープロジェクトの話ですか!?
   
佐野: ニュープロジェクトです。絶賛開発中……っていうかほとんどできてるんです。
   
安部: これはAQIからのリリースですか?
   
佐野: はい。で、実は『DS-10』でお世話になったプロキオンさんと作ってます。あ、でも完全にゲームです。ほらほらこれこれ!。
   
安部: おー。
iPhone用アプリ
佐野氏最新作は音楽じゃなくてゲームだった! 35歳以上推奨、なにもかもが懐かしい、ファミコン以前に一瞬咲いた時代の徒花をiPhone/iPod Touchに再現。お楽しみに。
   
佐野: (ゲームに夢中)
   
安部: またこれ、ターゲット、狭いですね(笑)
   
佐野: 狭いですよね。でもiPhoneって飲み屋でホラホラって自慢したいじゃないですか。その感覚は徹底的に煽りつつ、いつのまにか本気でハマるみたいな。うまくいけば、7月半ばにリリースです。いいでしょ? これ。
   
大野: iPhoneで『DS-10』みたいなのはできないの?
   
佐野: これはねぇ……技術的には全く問題ないと思うんですけど、iPhoneって、プレイ時間というか、触っていられる時間というか……これが、瞬間なんですよ。長くても電車に乗ってる時間ぐらいで。iPhoneで数時間ってのがイメージし難い。DSは延々とチクチクやれる感じなんですけど。あと、従来のコンシューマーゲームから考えると、iPhoneアプリ市場は数字的にかなり辛い。
   
安部: ひとり、ふたりで作らないと成り立たない世界と言われてますからね。
   
佐野: たとえば二人で二日で1000万儲かった!といわれても、それは瞬発力のみなので普通に会社で取り組むには厳しい。なので、数字抜きで、単純に人に自慢したいものを純粋に作る。
   
安部: 結局、自慢したいところに行き着くんですね。モテたい。
   
佐野: モテませんけどねこれじゃあ。20代前半に見せても何が何だかわかんない。「アイ……コンですか?」って。
   
安部: ……というのが伏線の正体ですね!
   
佐野: で、作ってるのが少人数。プロキオンさんに行って、大きなテーブルの真ん中にお菓子とかおにぎりとかジュースとかお茶とかどどーんと置いて、その周りにノートPC片手にみんなで集まって。もぐもぐ食べつつごくごく飲みつつ、「ちょっとここ直しましたんでみんなやってー」って言うと、リアルタイムに手元の実機に反映されて、その場でわいわい意見言って言われて直して直して。こういう追い込み方するのって、まさに、佐野がゲーム業界に入ったころに、かろうじて残っていた現場の感じそのものなんです。なので……ゲーム業界の人も忘れてる感覚だと思うんですけど、iPhoneの世界ではこのやり方で行けるという。
   
安部: やっぱり、開発規模の問題なんですかね。
   
佐野: その感覚……仕様書書く前に、「こういうのあったら面白いよね」っていう勢いでガーッと作っちゃう、あの感じ。どんどんできてく感じがすごい楽しい。みんなでギャーギャーいいながら作って。「ここに敵入れよう」とか、「わーこれバグだよね」とか。ビジネスとしてはしんどいんですけど、iPhoneぐらいしか、こういうやり方でプロジェクトを進められるプラットフォームはないんじゃないですか?
   
安部: 大作じゃないとダメになってしまった家庭用とは違いますね。
   
佐野: 中~大作を否定する気はないんですけど。少人数でゲーム作ってるのって、スタジオでの音作りとか曲作りに似てますよね。なんかみんなで爆笑しつつみたいな。
   
安藤: OMYのレコーディングもそんな感じでしたよね(笑)
   
佐野: その感じですよ。ある意味、悪ふざけ。でもね、楽しいんですよね。
   
安藤: 受け手に楽しさが伝わればね。
   
佐野: そう。それで、作りたいって人、こういうのやりたいって人がどんどん出てくれば面白いかなと。
   
大野: そういうのって、繰り返すんじゃないかな。フォロワーが生まれて、また発展していく。
   
安部: 今後の活動については、そのiPhone用アプリと『DS-10 PLUS』ということになりますね。ほかにやってみたいことはありますか?
   
佐野: 『ドラッグオンドラグーン』みたいな曲を書いてくれって、映画とかから言われたら、今やってる仕事全部ストップしてやります……っていうのはいろんなところで言ってるんですけどまったく反応が無い(笑)。まあでも辛いだろうなー、やり始めたら。
   
安部: ゲームの曲に関しては?
   
佐野: いや、もう、ゲームでも何でも、来るもの拒まず。「佐野さんにやってほしいんですよね」って言われたら絶対やります。断ったことないですよ、僕。
   
安部: なるほど。全国のプロデューサーの皆さん、お仕事の依頼お待ちしております!!! では、最後に恒例の「GA-COREに望むこと」を。
   
佐野: こういう……インタビューみたいなのを、ずっとやっていただきたいです。
   
安部: 長い時間、ありがとうございました!
  2008年5月25日 bar 16SHOTS にて
  


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★次回は 元ゲーマデリックギタリストMAROさんインタビュー! 2009.07.08公開です
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