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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.06.26
 
問題作『ドラッグオンドラグーン』誕生秘話
空白の3年間……ブラブラしてた!?
少年時代のノウハウが詰まった『DS-10』
基調講演、子ども会!? どんどん広がる『DS-10』ワールド
iPhone用アプリ…佐野電磁最新作はまたもアラフォーネタ
 

>> 1/4回から読む <<


   <出席者紹介>
佐野電磁(さのでんじ)
本名佐野信義。1992年よりナムコのサウンドに所属し、『ニューマンアスレチックス』、『リッジレーサー』シリーズ、『鉄拳3』、『ゼビウス3D/G』といったテクノやデジロックなどをいち早く取り入れた楽曲をリリース。プライベートではまにきゅあ団やO.M.Y.、nanosoundsといった活動もこなしつつ、2001年にキャビアに移籍。『ドラッグオンドラグーン』、『KORG DS-10』などの衝撃作をリリースする一方で、自らの作曲風景をblogでレポートする「作曲24」や、FM音源+GM作家コンピ『FM音源マニアックス』といった新しい試みを続ける構造改革コンポーザー。
   

 
●問題作『ドラッグオンドラグーン』誕生秘話
   
安部: ナムコを辞めてすぐキャビアに?
   
佐野: そうですね。
   
安部: 役職的には同じ感じで移籍されるんですか?
   
佐野: サウンドと言う意味ではそうです。ただし、サウンドは僕のみで。
   
安部: 時期としては、キャビア設立直後ですか? 同時?
   
佐野: 設立から数えると、1年後ぐらいです。
   
安部: 新天地は楽しかったですか?
   
佐野: ええ。知らない事ばかりで楽しい。自分では、ナムコ時代に結構やれてるつもりでキャビアに入ったんですけど、実際にやってみると「あ、おれ、何にも知らないな」って思いましたね。そういう意味では同じサウンドでも全然違う。全部ひとりでやらなきゃいけない。
   
安部: キャビアに入ってから作曲作業そのものは減りました?
   
佐野: いや、逆に増えてます。すごかったですよ。サウンド関連の作業は全部自分ですから。SEを発注しつつ、検収しつつ、声優手配しつつ、曲を全力で書く。これが2ラインぶんある。
   
安部: それで、外注とかも使い始めたんですね。
   
佐野: やりましたね。そのときが初めてでしたけど、これも面白かったですね。
   
安部: 外注の仕方は独学ですか。
   
佐野: 完全に独学ですね。
   
安部: 極端なお話、ナムコ時代は電話をどこかにかけることもなかったでしょう。
   
佐野: そうですそうです。電話、メールもそんなに多くなかったし、どこかにしょっちゅう出かける感じでもなかった。だからキャビアに入って分かったのは、いろんな人と仕事をするのが、自分は好きなんだな、ってことですね。
   
大野: すごくいろいろなメーカーの仕事をやってるよね?
   
佐野: やりました。面白かったけど、確かにいろいろなクライアントさんそれぞれへの対応と言う意味では大変でした。今考えてみると、好奇心がモチベーションだったんだろうな、と。今、同じことを同じペースでやれって言われても絶対無理です!
   
安部: まずは『ガンサバイバー4 バイオハザード ヒーローズ・ネバー・ダイ』。曲数は何曲ぐらい担当されましたか?
   
佐野: 抑えたつもりですけど、ムービーとかの曲も全部やったんで……結構な数だと思いますよ。30曲以上。
   
安部: これは、おひとりで?
   
佐野: ひとりで。
   
安部: 『バイオハザード』って言われて、どうでした? プレッシャーとか。
   
佐野: いや、それよりも怖いヤツって曲作ったことなかったんで、すごいうれしかったです。
   
安部: 『ゾンビキャッスル』は?(笑) 怖くないか。
   
佐野: ハッハッハッハ!(笑) あれは曲は作ってないから。『ガンサバイバー』の頃はもうVSTi(※ソフトシンセ)を使い始めたころなんで、もう、バンバンエフェクトをかけたりとか、シンセにディストーションをかけて喜んでいたころなんで、そういう意味でもすごい楽しかったですね。このころはスピードに乗っかって仕事しないと進まないから、曲作りで悩んだ記憶はないんです。これをやりつつ、『ドラッグオンドラグーン』のサウンド全部とかもやってましたし。
   
安部: ついに『ドラッグオンドラグーン』ですか。これは、相原さんと共作ですけど、共作に至る経緯は。
   
佐野: まずはやろうと思っていたことが「オケもののサンプリング」で、狂気を描くような感じで。
   
安部: オケもの……オケもの?
   
佐野: オーケストラアレンジ、ではなくて、オーケストラをネタにして、つまり、オケものサンプルを使って、Chemical Brothers的に再構成して、かつ、全体的に狂気を感じるような曲調にしたいというのを。……元のオーケストラ楽曲の知識がまったくなかったんで、そのことを知っていて、かつこのコンセプトをわかってくれる人は相原さんしかいないなと思って。
DRAG-ON DRAGOON SOUND TRACK Vol.1/Vol.2
J99+sanodg、sampling mastersのメンバーはついにオーケストラまでサンプリング! オーケストラ・ヒットとは違う「オケものサンプリング」により楽曲を構成。ちょっと聴いただけでは「なんだオーケストラか」、もうちょっと聴くと「あれこれおかしい」、じっくり聴くうちに「これどうなってんの! クラシックのカバーなの? アンビエント? エレクトロニカ?」となっちゃう仕掛けが満載という、GM界の鬼っ子サントラ。惜しむらくは中古価格が高すぎて手が出せないこと。再販が望まれる。
   
安部: このコンセプト自体はどこから?
   
佐野: 僕ですね。
   
安部: ディレクターの発注ではなかったんですね。
   
佐野: 元々は、プロデューサーからのメタルで、というオファーでした。最初はそれもいいな、とか思っていたんですが、そういう曲を書ける人を探しているうちに気が変わってきて(笑)
   
安部: 気が変わった(笑)
   
佐野: 当時、映画『エクソシスト』のリバイバル版を見て。あれの一番最後の曲がものすごい曲で。「あ、これだな」って。そこからですね。
   
安藤: マイク・オールドフィールドの?
   
佐野: あ、『チューブラー・ベルズ』じゃなくって、別の人がやったのがあるんです。スタッフロールの曲(ヘンツェ『弦楽のためのファンタジー』)。弦楽四重奏的なんですけど、ものすごい。これをやりたいなあということで。
エクソシスト
『ドラッグオンドラグーン』の元ネタになったTR.10『弦楽のためのファンタジー』、ソッチ系音効の定番曲TR.9『チューブラー・ベルズ』を収録した名盤。
   
安部: サンプル録りって、期間結構かかったんですか?
   
佐野: いや、1日です。たしか。
   
安部: 1日で録れるものですか!
   
佐野: セミフルオケぐらいの編成を呼んで、サンプルネタの部分だけフルスコア(※譜面)をバーッと渡して。「はいじゃあ次ナントカの曲のこの2小節だけ行きます」とか、そういう感じで。
   
安部: あ、じゃあ、仮MIX作っておいて、後で当てはめる感じの作業?
   
佐野: そうですそうです。
   
安部: 何種類ぐらいサンプル録ったんですか?
   
佐野: ネタ数的にはいくつだっけ……5~60は録りました。
   
安部: あ、でも、それぐらいでいいんですね。録るときはどういう指示を? 「この音出して~」なのか、曲そのものを演奏させたのか。
   
佐野: スコアの一部分だけを使いたいって言っといて、演奏してもらう感じ。またもやドン引きですよ(笑)。曲の流れの中でそのフレーズが出てくる、というのを無理やり途中から演奏させるんで、楽団の方々も当然最初はうまくいかない。でも、面白かったのが、彼らはプロなので、つかめないのが、腹立たしいみたいな(笑)。で、ムキになってやって結果無事完了。……まあでも終わってから、皆さん、目も合わせてくれませんでしたけど(笑)
   
大野: 打ち込みよりも録っちゃったほうが早かった?
   
佐野: 打ち込みだとあのテイストは絶対出ないので……。原盤で行くか、録りで行くかは検討したんですけど、なかなか原盤を使わせてくれるところがなくて。
   
安部: 担当した楽曲数的には相原さんと半々ぐらいなんですね。
   
佐野: ちょっと俺のほうが多いのかな。
   
安部: 曲作りを始めたときはシナリオ、できてたんですか?
   
佐野: いやいやいや。あ、でも、シナリオの雰囲気だけは聞いてましたね。狂気感、みたいな部分。
   
安部: こういうテイストのゲームもちょっと……早かったんでしょうね。
   
佐野: そうですね……。しかも、製作中にエニックスさんがスクウェアさんと合併されたので、結果的にスクエニさん初のRPGになってましたし。だから楽曲的に叩かれることもひとしお、と。
   
安部: 結局、叩かれた。2ちゃんねるですか。
   
佐野: 2ちゃんもそうだし、雑誌でも……。
   
安部: レビューがひどかった、とか。
   
佐野: ある雑誌の記事の確認のFAXに「曲が聴くに堪えない」って書いてあって。担当者が「これは無いだろう」って、リライトを指示してくれたんですけど、『ドラッグオンドラグーン』のディレクターとか、僕とかは「えー、そのまま出したほうが面白かったのに~、聴くに堪えないって言ってもらったほうが」なんて言ってましたね。
   
安部: 逆に興味持ってもらえるかもしれないですね(笑)。
   

 
●空白の3年間……ブラブラしてた!?
   
安部: お次は『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』です。オリジナルのアニメ版では菅野よう子さんの世界観がすでにあるなかで、そこに別の曲を付けなければならないというシチュエーションになったと思うんですけど。
   
佐野: 実は当時、あまり菅野よう子さんをよく知らなかったので・・・全く気負い無く曲を付けたんですけど、あとからこれも2ちゃんでコテンパンにされてから、あー有名な人だったんだとわかりました。
   
安部: ゲーム自体が、ある部分、アニメファンに向けた商品という性格を持ちます。
   
佐野: うーん、でもその辺は意識しませんでしたね。ゲームのディレクターさんも。ProductionI.G.の方も参加してましたけど、「もっと菅野さんっぽく!」とかは全然言われませんでしたね。
   
安部: 作中に民謡が入ってきますね。
   
佐野: ゲームのストーリー的に関わってくるので、「だったらオリジナルで民謡作りたいなー」って思って、「歌詞って書いていただけますか」とシナリオの藤崎淳一(ProductionI.G.)さんにお願いしたらOKだったので。
   
安部: 『ドラッグオンドラグーン2』はどんな関わり方だったんですか?
   
佐野: これはー、あのー、端的に言うとコンポーザー的にはクビですね。
   
安部: 関わってないんですか?
   
佐野: いえ、曲以外のサウンドまわりは全部。
   
安部: 曲以外(笑) 
   
安部: キャビアに入ってからの数年間を決算すると、楽しかったですか。
   
佐野: 今考えるとそうですね。でもまあそれ以前に来るもの全部やってきた感じです。
   
安部: じゃあ、いろいろ考える余裕は無かった。……で、ここらへんでサノウィキが途絶えるんですけど(笑)。2004年から『DS-10』に至るまでの間って何してたんですか?(笑)
   
佐野: ハッハッハッハッハ!!(爆笑)。何もしてなかったんですかね!?(笑)
   
安部: ブラブラしてた(笑)
   
佐野: ブラブラしてたんですかね?(笑)
   
安藤: ドライブ?
   
佐野: あ、『リッジ』の『6』とか『7』とかでちょこちょこ作曲してますね。あと、『バイオハザード アンブレラクロニクル』だ。これは曲をやってないです。あれ? その前 と言うと……?
リッジレーサー6
ダイレクト・オーディオ

長らく音源化が待ち望まれていたXbox 360版『リッジ』も昨年末にスィープ・レコードからめでたく発売済み。sanodg氏の参加は『floodlight』、『radiance』の2曲のみだが、変わらずコード+リズムで組み立てられた箱の上に『GRIP』を彷彿とさせる21世紀風キレイめのメロが乗っかる感じはまさに『リッジ』。他参加アーティストも『リッジ』ファンなら納得の必聴版。今すぐ買おう。
   
安部: じゃあ、質問を変えて。『DS-10』はいつから始まったんですか?
   
佐野: 『DS-10』は……2年半ぐらい前ですかね……。
   
安部: 2007年ですか。
   
佐野: 2007年1月ぐらいですね。やっぱり、(Wikiに)書いておかないとダメだな……。
   
安部: 『バレットウィッチ』とかはやってないんですか?
   
佐野: あー、やった! やりました。やばいな忘れたなんて言ったら怒られちゃう。これは面白かった仕事ですね。
   
安部: サントラも出てますね。
   
佐野: 当時スーパースィープに居た矢野(雅士)さんが担当ですね。いい曲でした。
   
安部: ということは、2004年から2007年の間は、サウンドプロデューサーとして活動されていたということでいいですか?
   
佐野: これしかやってないですかね?僕(笑)
   
安部: 『ゼーガペイン』は?
   
佐野: あ、最初だけやりました。あと、このころ、会社の合併があって、サウンドの人が入って、その方と一緒にやるようになって。
   
安部: それは、フィールプラス(系列の制作会社)ではなくて?
   
佐野: その前ですね。フィールプラスさんものちに合流して……いろいろ社内でお願いできるようになってきたんです。僕はお願いするときは部分部分じゃなくてドーンとお任せしちゃうので……。
   
安部: じゃあ、このころは細々と。『FM音源マニアックス』は?
   
佐野: あれは『ドラッグオンドラグーン2』が終わったぐらいの時期ですかね?
   
安部: あれは個人として動いたんですか? 会社として?
   
佐野: 個人ですよ。「やりたい!」って。
   
安部: メンバーはどうやって集めたんでしょう。
   
佐野: 元々知ってた人プラス、この人呼びたい、というコンポーザーさんを、人づてに。
   
安部: このときに「作曲24」ってやってたんでしたっけ?
   
佐野: あ、やってましたね!
   
安部: え、他人事?(笑)
   
佐野: そうだそうだ。そうですね。4回ぐらいやりましたっけ。
   
安部: 『FM音源マニアックス』用の「作曲24」もあるんですね。「作曲24」自体は、坂本龍一のサウンド・ストリートのパクリという体裁ですか。
   
佐野: そうそう。NHK-FMのページに最近オリジナルがアップされていますよね。これ面白かったですよねえ。
   
安部: 同時期にベスト盤『sanodg works』も出てますね。
   
佐野: あー! これ、まったくギャラもらってないんですよね。レーベルが潰れちゃって。
   
安藤: あのジャケットよかったですよね。
sanodg works
2006年に発売された佐野氏の個人ベスト盤。ナムコ時代の楽曲は収録されていないが、『攻殻機動隊S.A.C.』、『ドラッグオンドラグーン(『尽きる』も含む)』、『ガンサバイバー4』のゲーム3作品に加え、『Be Filled With Feeling』など入手困難なインディーズ楽曲と、書き下ろし1曲を収録。入手困難だが、1曲を除き再録なので、ある程度は他のCDでカバー可能。
   
佐野: こっ恥ずかしいだけですよ(笑)
   
安藤: いいジャケだなーって。
   
佐野: ドラッグオンドラグーンのサントラもそうなんですが、どうもこう、廃盤とかに縁があるみたいで……。
   
安部: タダ働き……。
   
佐野: 結構最近までiTunes Storeでその中の1曲が売ってたんですけどね。しかも僕それ買いましたし(笑)
   
安部: その収入はどこへ!?
   
  (一同爆笑)
   
安部: さて、総括すると、どうでした、この時期は。いろいろ叩かれたりしたわけですが。とりわけ、『ドラッグオンドラグーン』のサウンドに関して……。
   
佐野: いや、こんな自由に音楽制作できて、ホントにうれしかったですよ。叩かれはしましたけど。
   
安部: 叩かれたのは、気にしない?
   
佐野: 叩かれたネタでずいぶんおいしいお酒飲みましたしね……当時は辛かったですけど。
   
安部: ひとりメシウマ状態ですな(笑)。こういうのも何なんですけど、佐野さんは自分大好きですよね(笑)
   
佐野: そうですよ! じゃないとこの仕事やってられないですよ、なかなかね。
   
安藤: サノウィキも書けない(笑)

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