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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.06.10
 
田無で最初に『ビデオ・ゲーム・ミュージック』を借りた男
浮ついたぼくら
志望の動機はテーマパーク開発!?
名選手、必ずしも名監督ならず
腰で作曲!『ニューマンアスレチックス』そして『リッジ』へ
 

>> 1/4回から読む <<


   <出席者紹介>
佐野電磁(さのでんじ)
本名佐野信義。1992年よりナムコのサウンドに所属し、『ニューマンアスレチックス』、『リッジレーサー』シリーズ、『鉄拳3』、『ゼビウス3D/G』といったテクノやデジロックなどをいち早く取り入れた楽曲をリリース。プライベートではまにきゅあ団やO.M.Y.、nanosoundsといった活動もこなしつつ、2001年にキャビアに移籍。『ドラッグオンドラグーン』、『KORG DS-10』などの衝撃作をリリースする一方で、自らの作曲風景をblogでレポートする「作曲24」や、FM音源+GM作家コンピ『FM音源マニアックス』といった新しい試みを続ける構造改革コンポーザー。
   

 
●田無で最初に『ビデオ・ゲーム・ミュージック』を借りた男
   
安部: 前回は楽器をいじって過ごしていた中学生の佐野さんについてお伺いしました。そろそろ高校受験のころかと思うんですが、親御さんから制限みたいなものはかからなかったんですか? 普通、受験っていうと「ゲームやるな」とか、あると思いますが。
   
佐野: あんまり……言われなかったかな……。勉強はそんなに嫌いじゃなかったんで、受験でどうこう怒られた記憶はないです……っていうより、(楽器をいじること)そのものが受け入れらていなかったというか。
   
安部: 「何だおまえは」と。
   
佐野: 「受験がどうこうというよりオマエのやってること自体が理解できない」みたいな。
   
安部: 高校に入ると……やっぱり歯止めがきかなくなるんですかね。部活か何かはされてました?
   
佐野: 高校は音楽系の部活動がやりたいと思って、ブラスバンド部と、軽音楽部。
   
安部: かけもち?
   
佐野: あ、軽音楽部は入部はしてないかな……。軽音楽部のバンドに参加するみたいな。
   
安部: それは、鍵盤で?
   
佐野: いや、ブラスバンド部ってこともあって、最初はトランペットで。THE POWER STATIONとかやってましたね。あれはホーンセクションがあったので。あれで入って……。
   
安藤: 『サム・ライク・イット・ホット』とかだ。
   
佐野: そうそう。あとはエイジアとか。高校でのメインストリームはフュージョンでしたね。カシオペアとか。
   
安部: 東京の高校はおしゃれですね。
   
佐野: そうですか?
   
安藤: おしゃれですね。ほぼ(佐野さんと)同い年ですけど、俺たちはブルーハーツとかBOφWYだった。
   
佐野: BOφWYはいなかったなあ……。
   
安藤: 逆にフュージョンがいなかった。さすが東京!
   
佐野: イヤイヤイヤイヤイヤ!
   
安部: で……バンドをやりつつ。シンセは?
   
佐野: シンセは……シンセだけのバンドを文化祭でやりましたね。シンセ足りないからテープ回して。
   
安部: それは何の曲を。
   
佐野: メンバーの作ったオリジナル曲とか……『ビハインド・ザ・マスク』とかやりましたね。
   
安部: ボコーダーどうしたんですか?
   
佐野: MS-10にオーディオ入力があるんで、あれに入れてエフェクトかけて……ごまかした記憶が……。だけどハードディスク・レコーダーとかないから、カセットテープでやってましたね。テープのピッチというのものが怪しいものだというのはそこに来てわかりましたね。
   
安部: ……ということは、高校時代はゲームやってなかったんですか? バンド活動がお忙しそうですけど。
   
佐野: ゲームやりまくってましたね。今考えると一番ゲームやってたんじゃないですか?
   
安部: ゲーセンですか。
   
佐野: もちろんゲーセンですね。『ギャプラス』……ちょっと待って下さいね、行ってたゲーセンの店内構成から思い出しますからね……。入ってまず『ギャプラス』、『ソンソン』、『アッポー』、『スターフォース』、『ドルアーガ』、こっちに……『パックランド』。
   
安部: 時代が前後してますけど夢のようなゲーセンですね。主にアーケード?
   
佐野: やりましたねえ。アーケードだけですね。
   
安部: ファミコンとかは興味なかった?
   
佐野: なぜかあんまり欲しいと思いませんでしたね。
   
安部: アーケードそれだけやってるとね……。周りの友達はファミコンとかにいったりしないんですか?
   
佐野: 学校でファミコンもあんまり聞かなかったですし……。友達も完全にアーケードオンリー。ゲーム代のためにお昼ご飯抜いてたら、ブラスバンドって腹式呼吸の練習をやらされるんですけど、あれで貧血起こして倒れちゃった。
   
安部: ご飯抜いてゲームやるのは基本ですよね(笑)
   
佐野: 空腹はガリガリ君で済ませて。まったく済まされてないですけど(笑)。懐かしいですねえ。で、その頃かなあ……なんか見たんですよ。テレビで、ナムコが出てて、ゲームを作るみたいなの……。
   
安部: 『メトロクロス』のヤツですか。岡本達郎さんが出ている……。
   
佐野: そうそう、それそれ! あれを妙に覚えていて。あのサウンドのシーンだけ特に覚えていて。
   
安部: あれは……大野木(宣幸)さん?
   
佐野: そうでしょうね。会社に鍵盤があるのが強烈で……でも、それをやりたいという感じではなく、いいなあ……って。ゲームの音で言うと、それこそ『ギャプラス』の2位以下のネーム入れの曲とか、好きでしたね。
   
安部: 小沢(純子)さんの曲ですね。
   
佐野: 1位の曲は元気すぎて……。2位以下がよかったんですよ。すごい格好よかった。
   
安部: あの曲って、よく考えると『ギャラガ』のネーム入れの曲を踏襲してるのかなって。
   
佐野: あれも名曲ですねえ。僕、『ギャラガ』で、「ディレイ・イズ・宇宙(スペース)」って思いましたね。ディレイは宇宙だと。
   
  (一同笑)
   
安部: みんな宇宙行ったことないのにね(笑)
   
佐野: あれは絶対宇宙ですね。
   
安藤: 本来真空だから音聞こえないのに(笑)
   
佐野: いまだに思いますもの、ディレイ、宇宙だな~って。
   
安部: やっぱり、80年ごろの考え方ってステキですよね。そう思ってるのは僕らだけかもしれないですけど。
   
佐野: 僕、ディレイ使うときにフィードバックが少ないってのは、『ギャラガ』の影響なんですよね。『ギャラガ』のディレイって打ち込みディレイなんですけど、ストンって切れるじゃないですか。あれが気持ちいい。
   
安部: じゃあ、ゲームミュージックには当然興味があったわけですね。
   
佐野: もう、細野さんはリアルタイムでこう……。
   
安部: 『ビデオ・ゲーム・ミュージック』は借りたんですか、やっぱり。
ビデオ・ゲーム・ミュージック
1984年。すべてはここから始まった! 細野晴臣監修のもと、あのナムコの名作、名曲の数々を収録。トラック10『ギャラガ』のネーム入れのアレンジは必聴っていうか全部必聴、覚えるまで聴くべき名盤。これ持ってなきゃウソ。近年CDで再発されたので入手難易度は低い。
   
佐野: ええ、借りました。
   
  (一同笑)
   
佐野: もう、これは僕、オーダーしましたね、アビーロード(※田無の貸しレコード屋)に! で、店員に「だろうね!」ぐらいのこと言われた記憶があります。僕、ホント貸しレコード屋行ってたんだなあ……。僕が最初でした。
   
安藤: 新品だ(笑)
   
佐野: 新品。一番最初に。もちろんですよ!
   
安部: 田無で最初に『ビデオ・ゲーム・ミュージック』を借りた男だ!
   
佐野: 絶対俺だろうなって思ってましたね。
   
安部: 他2作も当然押さえて?
   
佐野: 『リターンオブゲームミュージック』は誰かに借りた記憶が……。『ビデオ・ゲーム・ミュージック』はホント聴きましたね。
   
安藤: 入口としてどっちが先なんですか?ゲームなのか、細野さんなのか。
   
佐野: あれは……いや、もう、まさに、こんな自分が好きなもの2つが重なることってあるんだな! って。
   
安部: カレーとハンバーグ!? みたいな。
   
佐野: 盆と正月ですよ。生きててよかったと。で、「やっぱ好みって合うんだな~、俺と細野さん」って生意気なことを思っていました。わかる人はわかってるなって。
   
 
ザ・リターン・オブ・ビデオ・ゲーム・ミュージック
「A面はオリジナル、B面はアレンジ」という方向性を打ち出しつつ、『ビデオ・ゲーム・ミュージック』の流れを組む続編。細野さんの監修は外れるが、大野木、慶野、小沢の初期ナムコ3大コンポーザーが作編曲を担当する一方で、ゲストアレンジャーとして当時ゲルニカ休止直後の上野耕路をはじめ、国本佳宏、藤井丈司の参加は\ENレーベル(正確にはレーベル終息直後)ならではの豪華さ。
スーパーゼビウス
細野晴臣プロデュース第二弾。元々は12インチシングルながら8分30秒に及ぶタイトル曲の『スーパーゼビウス』、『ギャプラス』、『ドルアーガの塔』を収録。近年サイトロンから復刻されたCD初回盤には、初期3部作を収納できるボックスが付属していた。3作押さえるならこちらをオススメ。
   
大野: (同席していたユーブック大野)あれは、細野さんがよく行ってたアルファレコードの近くの喫茶店に『ゼビウス』がたまたま入っていたことがきっかけだったんだよね。その曲を細野さんが新しいテクノミュージックだと感じてアルバム制作に発展した。 あの店に「ゼビウス」がなかったらゲームミュージックの歴史は変わっていたかも?
   
佐野: マジですか!?
   

 
●浮ついたぼくら
   
安部: 大学進学がそろそろ見えてくるころかと思うのですが。大学も高校進学と同じく、楽勝だったんですか?
   
佐野: イヤイヤイヤ、高校ではまっっっったく勉強しなくって。ビックリするぐらい勉強しなかったんですよ。
   
  (一同笑)
   
佐野: なんでしょうね、あれ。中学まで実はすごい頑張ってたのかなあ。
   
安部: 反動で。
   
佐野: そう、高校になって「勉強しなくてもいい」という概念に気がついて。強烈に勉強しなくなって、成績はホントひどかったですね。で、シンセを持ってる友達も出てきたんで、自分ではなかなか買えないですから、借りまくって。JUNO-6、JUNO-106、友達の友達にハンドクラップを買ったヤツがいるっていうんで東村山まで自転車で借りに行ったりね。遠かったですけど、ハンドクラップが借りられるということで全然苦にならなかったですね。「あの音が出るんだァ~」って。ほら、ずっとMS-10で作ろうとして作れなかったわけですから。
   
安部: Webのプロフィールを見ながら )あ、浪人してますね……。
   
佐野: 浪人してます、そんなことしてりゃ浪人します(笑)。で、やっと勉強しなきゃって思って。
   
安部: 一浪ですか。代ゼミは……やっぱり代々木に。
   
佐野: そうですそうです。やっぱり貸しレコード屋行ってましたけど。新宿のね(笑)
   
安部: アビーロードはもうダサい?(笑)
   
佐野: いやいや(笑)行動範囲から田無が抜けたんで。新宿の……今だとどこだろう。丸井のあたり……。マニアックなの扱っててね。サイキックTVとか。バイノーラル録音でやってた、マニアックなヤツ。
   
安部: 定位があちこちから来る感じの……。
   
佐野: そうそう。「自分が棺桶に入れられて、土がかけられる」っていう曲とかね。そんなの聴いて喜んでました、さすが浪人生っぽいですね(笑)
   
安部: 日本でも『意外なくだもの』とかありましたね。
   
大野: それ、俺が担当して作りました。
   
安部: そ、そうでしたか! 手術するやつとか、ありましたよね。
   
安藤: 脳外科手術。
   
佐野: なんか、レコード借りたいがために代ゼミに行ってたみたいなね……。
   
安部: 代ゼミはがんばった?
   
佐野:

まあ行くだけは行った感じです。

   
安部: で、明治大学に。キャンパスはお茶の水なんですか?
   
佐野: 小田急線の生田という非常に地味なところなんですよ。
   
安部: お住まいはこのころ一人暮らし?
   
佐野: 大学になって一人暮らしさせてもらって。それで……バイトをして、YAMAHAのV50とRolandのS-330を手に入れて。
   
安部: 急にFM音源になっちゃうんですね(笑)
   
佐野: そう(笑)。なんでかっていうと、オールインワンシンセが欲しかったんです。ちょっと、浪人中に機材を追っかけてなかったので、わかんなくなっちゃって。とりあえず1台で完結するものが欲しいということで、RolandのW-30とどっちにするか悩んで。
   
安部: KORG M1とかはもうちょっと後?
   
佐野: M1は高くて……。一人暮らしした瞬間にカシオかなんかのホームキーボードを買って。やっとですね、そこからちゃんと和音を学んだのは……。
   
安部: ……長かった!
   
佐野: 長かったですよ! なんとかセブンってこれなんだっていう。自分の好きなコードがわかってくるじゃないですか。あとは手癖で覚えていく。一個とばし一個とばし……で、押してないところをこっちで押すと……気持ちいい、という。つまりは分数コードなんですけど。そうやって追っかけていきましたね。
   
安部: 音楽理論は学ばなかった?
   
佐野: そうですね、ゼロですね。まったくですよ。一応友達に「楽典」っていうものがあって、読んだほうがいいと言われたんですけど。そんなの……ねぇ。
   
安部: それは図書館で借りた?
   
佐野: それは貸してくれましたね。あまりにもあんまりだと思われて(笑)。あんなの、意味わかんないじゃないですか。
   
安部: 意味わかんないですね(笑)
   
佐野: 「これを1度という」とか、そんなとこで終わりでした。「へー」って。
   
安部: それよりも気持ちいい音を出したい、と。大学時代は音楽活動はされていたんですか?
   
佐野: 友達がBOφWYが好きだとか、こういうのも何ですが、全然話が合わなかった。まったく周りにそういう話ができる人がいなくて。まさにひとりで。でも、特に何もしなかったですよ。バブル期が始まりつつあって、世の中みんな浮かれてましたから。「どうやっておネエちゃんとどっかに行こうか」って話ばっかりで。まったく音楽系はおざなりになって……いたんですけど。イベント企画会社みたいなところでアルバイトをしててね、そこでイベント用のビデオを作ると。「じゃあ僕に曲を作らせてください!」って言ったら「何言ってんの、サノちゃーん、あ、サノちゃん、曲作るんだ? イイヨイイヨー」みたいな。そういうチャラい時代ですよ。で、そこでシンセで持ち込んで曲を作って。1回作ったら、「へー、出来んだ? 面白いねェ」とか言われて。もう1回行ったら、今度はなんかスタジオ押さえてくれて。AKAIのS1000か何かにさしかえるっていうの。「あ、さしかえられるんだ! スゲエ!」ですよ。「でも俺が一生懸命作った音は!?」って、早くもアーティスト気取りで(笑)。でも、曲を作って誉められたりとか、お金になるという経験をして、いいなあ、と思っていたぐらいですね。,

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