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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.07.22
 
伝説のバンド「ゲーマデリック」の結成
デコサウンドCD第1号の誕生
サイトロン1500シリーズの代表作はもちろん「空牙」
革命的なレコーディングを次々と実践
ゲーマデリックがGMフェスティバルにやって来た!
MAROさん 機材紹介コーナー3

>> 1/4回から読む <<


   <出席者紹介>
吉田博昭 (MARO)
『1985年に株式会社データイーストに入社し、「空牙」「スカルファング」 「ファイターズヒストリー」「マジカルドロップ」など多数のアーケードゲームのBGMを作曲。1991年にはゲームミュージックバンド「ゲーマデリック」を結成、「MARO」の名でリーダーおよびギター担当としてゲームミュージックフェスティバルなどで活躍。現在は株式会社パオンでサウンドグループマネージャーを務める。
株式会社パオン
   

 
●伝説のバンド「ゲーマデリック」の結成
   
鴫原: 今さらながらの質問ですが、「ゲーマデリック」結成までのいきさつを教えてください。デコのみなさん自らでバンドを作ろうと思ったのか、それともサイトロンからリクエストがあったのでしょうか?
   
吉田: 大野さんにレコーディングでお会いしいるときからずっと言われていたような気がしますね。「S.S.T.とかZUNTATAみたいに、バンドに名前をつけようよ!」みたいな。実質的には、「空牙」のレコーディングがゲーマデリックのスタートだとは思いますが、まだこの時は、ギター、ベース、ドラムの3人だけのプロジェクトでバンドネームもなかったんですよね。
   
大野: そうそう。早く決めろよ、やらないと置いていくぞっ、て(笑)。もう社内にドラム(※ングジャ三浦氏のこと)がいるっていうこと自体が異例だったから、これは可能性があるなって思ってたしね。
   
吉田: この頃には、別フロアだったアーケードとコンシューマの両サウンドチームは既に同じフロアに合流してましたので、「オッ、これでバンドがもっとできるかも?」って思ってました。で、みんなでホワイトボードにいろいろ書きながら意見を出し合って、「ゲームをデリシャスにする」という意味で「ゲーマデリック」というバンドネームが誕生しました。
   
鴫原: 後に「ゲームミュージックフェスティバル」出演のお誘いがあったときは、やっぱりヤッターって感じですか?
   
吉田: そりゃあもう。出たくないなんて人はいませんよ!
   
大野: もう名前をつけた以上、ライブに出なきゃしょうがないみたいな感じで流れがつながっていたよね。
   
安藤: じゃあ、結成のときからライブに出ることが前提でもう最初から動いていたと?
   
大野: うん、ある意味そうかもね(笑)。
   
安藤: あの「ゲーマデリック」のロゴはどうやってできたのですか?
   
吉田: 太陽のマークは素材集とかで探して、「あ、これがいいや!」って見つけたやつをそのまんま使ってます(笑)。文字のデザインとかは、「なんかサイケな感じが出ていてコレいいじゃん!」とか言いながら自分たちで考えて、最後に社内のデザイナーさんに仕上げてもらいました。
   

 
●デコサウンドCD第1号の誕生
   
鴫原: データイーストのゲームミュージックCD第1弾はG.M.O.レーベルからの発売でしたよね?
DATA EAST GAME MUSIC
1988年発売。吉田氏作曲の「チェルノブ」「ヘビーバレル」「スーパーリアルダーウィン」「ポケットギャル」などが収録されている。
   
大野: そう。で、自分が関わったG.M.O.レーベルの作品は、実はそれがちょうど最後の作品になるんだよね。
   
鴫原: デコサウンドをCD化しよう、と最初に企画をされたのはどなたでしょう?
   
大野: 基本的には、まず自分が企画書を書いて、ゲームメーカーに訪問して許諾が頂けたら制作の段取りへ、という流れでしたね。データーイーストさんは、とても好意的で話が早かった気がします。ところで、収録のときは吉田さんもスタジオに来てたんだっけ?
   
吉田: ええ、私と木内君がいたと思います。現場に機材(アーケード基盤のサウンドと全く同じ音が出るコンバート調整用ツール)を、確かPC-9801のパソコンかなんかにつないで音を出せるようにして持っていたような覚えがありますね。
   
安藤: 収録はどこのスタジオでやったんですか?
   
吉田: 田町のアルファレコードのAスタジオですね。
   
安藤: エッ? じゃあ、あの広いコントロールルームに機材だけ持ってって収録をしたと!?
   
吉田: そうですそうです。
   
安藤: なんて贅沢な収録(笑)!
   
鴫原: 自分たちで作ったBGMが、CD化されると始めて聞いたときの感想はいかがでしたか?
   
吉田: そりゃあもう、「ヤッター!」っていう気分ですよ。そうそう、この頃のCDって、ライナーとかをサウンドのスタッフがみんなでいろいろ書くじゃないですか? で、あるとき大野さんから電話がかかってきて、「このMAROって人の文章は面白いね! ところでMAROって誰なの?」って言うから、「ハイ私です」ってお答えしたことがありました(笑)。大野さんも「エッ、そうなんだあ!」ってちょっとビックリしてましたけど、喜んでもらえてホント嬉しい限りです。
   
安藤: ちょうどこの時期って、レコードからCDにメディアが移行する時期でしたよね?
   
吉田: レコードとCD、それにカセットテープの3種類で発売してましたね。
   
大野: CDが出始めの頃は、CDだけ発売を1ヶ月遅らせてたんだよね。CDはプレスとかマスタリングにどうしても時間がかかるから、レコードと同時に進行しても同じ日に発売できなかったんだよね。
   
吉田: 確か、最初に出したやつはカセットとCDとで収録曲数が違うんですよね。レコードもカセットもA面B面があるんですよねー、なんか懐かしいな(笑)
   
鴫原: 収録タイトルのセレクトはどなたが決めたのですか?
   
吉田: アルファレコード側からのリクエストでこのゲームとこのゲームでって言われて決めたたような?
   
大野: そうそう。当時はまず尺ありきだったから、どの曲を何回ループさせるか、なんてことも考えながらやってたよね。
   
鴫原: ジャケットには「カルノフ」がデ~ンとデザインされていますが、これは誰がデザインしたのですか?
   
吉田: う~ん、多分CD用にデザインを新しく起こしていただいたような気がします。
   
大野: この時代は、ゲーム画像のポジをメーカーからもらった分だけありったけ入れてコラージュするっていう作り方をしてたんだよね。アルファの場合はデザインを担当する部門が別にあって、ここで普段ユーミンとかカシオペアのデザインをやってる人がいてそこで作ったんだよね。
   
安藤: で、DTPの時代じゃないから、ポジを集めてアタリをつけたら、後は実際に色校の完成品が届くまで自分たちもどんなデザインになるのかがわからない、と。
   
大野: そうそうそう。
   
鴫原: で、売れ行きはいかがでしたか?
   
大野: もうこのときはアルファにいないからわかんない(笑)。でも、G.M.O.の頃は最低でも万単位で売れたから、当然その位は売れたと思うよ。
   
鴫原: デコCD第2弾は「DECO HISTORY SCENE I」ですよね? ジャケットに大きく「DECO」とロゴが印刷されていたのが印象的ですけど。
   
吉田: ええ、ポリスターから出たやつですね。1枚目のアルファレコードの次、2枚目のサントラ制作ということもあって、レコーディングは自分たちでグイグイ進めちゃいました。「この曲は2ループでフェイドアウト!」とか「SEはパンを振りまくろう!」とか(笑)
   
大野: ポリスターから出したCDはこの1回きりだったの?
   
吉田: はい、これ1回でおしまいですね。そうそう、このときはマシンが途中で熱暴走しちゃって、音が出なくなるハプニングが起きたんですよ。もう慌ててハード担当者に電話をして、ハンダコテとか持ってきてもらいその場で直してもらいました。ウチワでパタパタあおいで、ポイントクーラーでシューッって冷却しながら「ヨシッ、音が出たぞ、今のうちに録れ録れ~!」って(笑)。
   
安藤: なんだ、楽しそうじゃないですか(笑)。
   
吉田: グダグダ進行でしたけどね(笑)……。
DECO HISTORY SCENE I
1988年発売。吉田氏デビュー作の「魔境戦士」ほか、「バーディートライ」「ドラゴンニンジャ」などを収録。
   
安藤: あと、このCDでは最初のトラックに「新作野球ゲーム」というのが入ってるんですよ。これって多分、当時まだ発売前の作品(「スタジアムヒーロー」)だと思うんですけど、それをいきなり収録しちゃうってのがスゴイ!
   
吉田: まあ会社としても、それをウリにしようっていう狙いがあったのかも?
   
大野: ある意味いい時代だったんだね(笑)。
   

 
●サイトロン1500シリーズの代表作はもちろん「空牙」
   
   
大野: データイースト3番目のCD「GAME SOUND DECO」からサイトロンレーベルになるのかな?
   
吉田: はい、そうですね。
   
鴫原: あと、事前の資料では「ヘラクレスの栄光II」のCDで「ギター担当」とありますが、アーケードゲームご担当の吉田さんがなぜ家庭用ソフトのサウンド制作に関わったのでしょうか?
   
GAME SOUND DECO
1990年発売。吉田氏作曲の「ファイティング・ファンタジー」「コブラコマンド」「スタジアムヒーロー」など7タイトルの曲を収録。
ヘラクレスの栄光II
~タイタンの滅亡~

1990年発売。吉田氏の記念すべきギター生演奏デビュー作。原曲の作曲担当はSHOGO氏。
   
吉田: 当初は参加する予定がなかったんですよ。収録前日の深夜に、突然SHOGOさんから「明日ギター入れたいんですけど……」って電話がかかってきて急遽参加することになりました。
   
鴫原: でも、アーケードとコンシューマーとではそれまで別部署だったというお話でしたよね? そうなると、それまで原曲すらもご存知なかったのでは?
   
吉田: ええ、当日その場で譜面を渡されてそこで覚えました(笑)。弾けるようになったところで、じゃあ録りましょうかって言ってやりました。
   
大野: 「ヘラクレスの栄光II」の収録中はフレットレスベースのピッチがもの凄く気になってたのを覚えてるなあ。「アレッ、これで合っているのかな?」って(笑)。まあ、フレットレスって元々すごく難しいんだけどね。
   
安藤: ええ、普通のフレットありのと同じ感覚で押えると、もう全然音が違っちゃいますよね。
   
吉田: そうそう、安藤さんもベース弾くからそのへんは詳しいですよね。ベースATOMIC花田さん、いい味出しましたよ~(笑)。自分はこの曲で既にGibson335お目見えですね。BOSSのOD-1というオーバードライブのエフェクターから直接、ミキサー卓に突っ込んで収録しました。そう、アンプ鳴らしてないの……っていうかアンプを持ってかなかった(笑)。
   
鴫原: 何はともあれ、生演奏を収録したCDを発売できたわけですから、ミュージシャンMAROの念願がかなったわけですよね?
   
吉田: いきなりのことでしたけど、レコーディングに参加できて本当に嬉しかったです。
   
鴫原: では、バンドとしてレコーディングを最初にやったCDは?
   
吉田: 「ゲーマデリック」の名前で最初に出したCDは「サンダーゾーン」で、アレンジ曲を初めてバンドでレコーディングしたのは「空牙」になりますね。
   
大野: このときは、な~んか収録にすごく時間かかったのを覚えてるなあ(笑)。
   
吉田: すみません(笑)! 事前に全然練習してなかったんですよ……。自分は曲のアレンジばっかりをやってて、「ヨシできた!」ってみんなに譜面を渡したらもう大丈夫だ、もうこれでオレの仕事は終わったって、そこで満足しちゃった(笑)。収録のときは、もう自分の演奏しようということだけで頭がいっぱいで、録った後のトラックダウンだとか、最終のミックスまでどう持っていくかっていうのがスッポリ抜けてましたね。
   
大野: それから、「空牙」の曲を初めて聞いたときに、曲の構成が「いとしのレイラ」(※)のイメージになんか近いなあって思ったことを覚えてるね。
※エリック・クラプトンのデレク&ドミノス時代の代表作。1970年発表
   
吉田: あ、確かに確かに! そうかあ、言われるまで気がつかなかったですが、確かにそうですね。もちろん「いとしのレイラ」もコピーバンドでやってたことがあるので、あのハードなセクションからバラードセクションへという2部構成が記憶に残ってて、それが美意識として自然に影響したんでしょうね……。
   
鴫原: で、「空牙」のCDの売れ行きはいかがでした?
   
安藤: これは最終的にCDメチャクチャ売れたんじゃないですか? 自分はまだサイトロンに入る前だったんで自腹で買いましたよ!
   
大野: そうそう、1500シリーズでは「空牙」が一番売れた気がするね。それまでは1500シリーズって(値段的にも)小粒の扱いっていうイメージでみんなに捉えられていたんだよね。「サイトロンは、1500シリーズよりもアルバムのほうがメインなんだ」みたいなユーザーのイメージを、このCDが売れたおかげで払拭できたんだよね。確か、今では相当プレミア価格がついているじゃないかな?
   
鴫原: 本当ですか!? ウワァ買っときゃよかった……。

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