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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.07.15
 
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●「ファイターズヒストリー」シリーズのサウンド制作秘話
   
鴫原: 「ファイターズヒストリー」では作曲もご担当されてますよね。
   
吉田: レイや溝口、サムチャイのステージのテーマなど、ロック調の曲になっているのが自分の作曲ですね。このときは私とSEILAH(※「ゲーマデリック」ではキーボード担当。御姫様風のルックスのセーラだがライブでは「ヨロシク~ッ!」って言ったりする(笑))の2人で担当しました。
FIGHTER'S HISTORY
「FIGHTER'S HISTORY」 1993年発売。各ステージのBGMはもちろん、各キャラごとのボイスや効果音もバッチリ収録。
   
鴫原: 事前の資料を拝見していたら、「2人で押し付け合いをやった」とありますが、これはどういう意味なんですか?
   
吉田: 自分がイメージの浮かぶステージの曲だけを作って、浮かばないのはSEILAHに任せたという意味です(笑)。
   
鴫原: 作曲する際は、それぞれのキャラクターの出身国をイメージしながら作ったのでしょうか?
   
吉田: 自分がそれぞれの国に対して持っている、わかりやすいステレオタイプ的なイメージで作ってます。確か溝口ステージはイントロで和太鼓をたたいてたと思うんですけど、でも和風なのはそこだけで、後はもうずっとロックなんですけどね(笑)。
   
鴫原: キャラクターボイスの収録はどうやってやるのですか?
   
吉田: 1、2人ずつ防音室に入ってもらって、こっちから「どうぞ!」って合図を出したり、「何か蹴るイメージでドリャーとか叫んで!」とか言ったりしながら収録しました。最初の頃は社内のスタッフで声出しをやってましたけど、「ファイターズヒストリー ダイナマイト」のときはプロの声優さんに頼むようになりましたね。……そうそう、あるとき何のゲームだったか、英会話の先生にボイス収録のお願いをしたこともありましたね。日本語で書いたセリフを、先生に直接英語や韓国語とかに翻訳してもらって、そのまま訳したセリフをしゃべってもらっちゃいました(笑)。
   
大野: 声優さんを手配するときは、どこか代理店を通してやってたの?
   
吉田: いえ、直接事務所に連絡を取ってましたね。
   
安藤: 確かドラマ仕立てで「ファイターズヒストリー ダイナマイト」のCDを収録したときは外国人の声優さんを使ったような?
   
吉田: 外国人のボイスを取るときは、データイーストのアメリカ支社に頼んでましたね。こちらからキャライメージと日本語ボイスリストなど資料を送って、アメリカ支社の方で翻訳収録してもらってました。これもプロ声優に頼んでましたのでいいボイスがあがってきましたね。
FIGHTER'S HISTORY DYNAMITE/FLYING POWER DISC
それぞれ1994年、1995年にサイトロンより発売。いずれも吉田氏はギタープレイヤーとして収録に参加している。
   
鴫原: ところで、「ファイターズヒストリー」のボイスといえば「28歳の高校生」こと溝口の声が特に印象的ですが、この人選ももしかして吉田さんが決めたのでしょうか?
   
吉田: いえ、私が決める以前にもう配役は決まっていましたね。もちろん収録は私が担当しましたので、「もっと叫んで!」「オ、いいじゃんいいじゃん!」って指示を出しながら作りました。溝口の声の主である森田君は、本職はグラフィッカーなんですけどね。ものすごくハマリ役でしたね~!
   
安藤: あれはホントに、熱血オバカキャラって雰囲気が出ていてよかったですよね!
   
鴫原: その森田さんは、今どちらにいらっしゃるのですか?
   
吉田: 弊社パオンにおりますよ。今でもあのキャラクターは全然変わってません(笑)。 「おんどりゃぁ~~~~っ!ワレ、マウス、すっすと動かんか~~い!」とか叫びながらキャラ絵書いてますよ(笑)
   
鴫原: あと、女性のボイスは元声優さんの社員が担当したと聞いたことがありますが?
   
吉田: ええ、確か管理部にいた女の子の声ですね。
   
鴫原: 声優だったのに何で庶務になったんだろう(笑)。
   
吉田: ええ、なんででしょうね~(笑)でもホント社内にこういう人がいてくれて助かりましたよ~。プロ声優さんですとブッキングなどでどうしても収録までに時間がかかってしまうので、ほんとラッキーでした。録り忘れや追加ボイスも気にしないでいいし(笑)
   
鴫原: 続編の「ファイターズヒストリー ダイナマイト」のときも作曲をなさったのですか?
   
吉田: はい、続編での作曲は担当してないのですが、ネオジオCD版用に、ギター演奏収録で参加しました。
   

 
●歴代デコ作品とは一線を画す「マジカルドロップ」BGM
   
鴫原: 「マジカルドロップ」は、今までのデコゲーとは違ってコミカルで小さい女の子でも好んで遊べるような世界観になっていたかと思います。当然ながら、今までとは全然違うイメージの曲作りが必要になったわけですよね?
   
吉田: そうなんですけど、初めから子どもっぽいイメージにしようと意識したわけじゃないんですよ。それだとベタ過ぎてなんかイヤだなあと(笑)。それで、ほかに何か参考になるネタを探していたときに、当時よく聞いていたアイリッシュミュージック(リバーダンスみたいなというと判りやすいでしょうか)、「タララランラ、タララランラ……」って3連リズムで試しに作ってみたら「オッ、カッコイイじゃん、これなんかパズルっぽいぞ」って気がついて。そんなアイリッシュやプログレっぽい感じでやってみたら、うまいこと曲ができちゃいました。今までカワイイ感じの曲とかは全然やってませんでしたけど、まあなんとかなるもんですね(笑)。
   
鴫原: アイリッシュミュージックとは意外なルーツですね!
   
吉田: はい、もう御存知の通り、音楽の振り幅が広いので(笑)ロックだけでなく、そういったケルティックな音楽も好きでしたよ。ロックの場合は作曲でも演奏でも自分の魂を燃やして削って汗を込めてと、熱が上がる感じなんですけど、マジドロシリースは、もう少し違うアプローチでしたね。
   
大野: 「マジカルドロップ」のCDは、当時かなり売れた印象があるよね。確か収録は安藤の担当じゃなかった?
   
安藤: そうですそうです。
マジカルドロップ/DUNK DREAM'95
「マジカルドロップ/DUNK DREAM'95」 1995年発売。オリジナル曲はもちろん、「ゲーマデリック」各メンバーによるアレンジ曲も多数収録。「マジカルドロップ2」は1996年、同じく「3」のCDは1997年に発売され、「3」にはなんとゲーマデリックのライブ写真なども見ることができる。
   
吉田: 確か、CDに何か特典みたいなのをいろいろ入れてたような気が?
   
安藤: それは「マジカルドロップ3」のときですね。3枚目がCDエクストラになっているんですよ。
   
吉田: それと「2」のときは、以前に「ゲーマデリック」でドラマを取ったときにやった「ドロロン星人」も登場するんですよね。アルバム「ラッパデリック」の冒頭ドラマのセルフパロディですね(笑)
   
安藤: そういう意味で何気に貴重ですよね、「マジドロ」シリーズのCDって(笑)。
   

 
●デコゲーサウンドの真髄とは?
   
鴫原: 1999年に出たプレイステーション用ソフトの「探偵神宮寺三郎 灯火が消えぬまでに」の曲がこれまた実にカッコイイですよね。
   
吉田: 有り難うございます!
   
鴫原: オープニングで流れる曲が吉田さんの作曲だと伺ったのですが、あのブルースっぽいしわがれた男の声で「ホニャラララ……」って歌うのがメチャクチャカッコイイんですよ! 実際に何てしゃべっているのかよく聞き取れないんですけど、あれは何てしゃべっているのですか?
   
吉田: スミマセン、わかりません(笑)。実はあの声には特に意味はなくて、元のボイスは著作権フリーの素材集から引っ張ってきたものをイメージで作っただけなので、何て言っているのかは自分でもわからないんですよ。あの声質にピーンときた、とただそれだけで、歌詞の本当の意味を調べてみたら、もしかしたらトンデモない意味なのかもしれません。イヤ、きっと知らないほうがいいです、ハイ。
   
  (一同爆笑)
   
鴫原: ゲーム中のBGMも、ジャズ調でノリがいい曲ばっかりで完成度が高かったですよね?
   
吉田: 「灯火が消えぬまでに」のBGMはジャズギターが得意なTOM君の作曲で、彼が大部分の曲を作ってました。その他、神宮寺シリーズではAtomic花田さんもたくさん曲を書いてましたよ。あ、東京ゲームショーでサックスプレイヤー入れて演奏したのを今フッと思い出しました。神宮寺の映像とリンクさせた演奏をしたんですけど。懐かしいな~。
   
鴫原: 今までたくさんのデコゲーサウンドを作ってこられた吉田さんですが、ご自身が特にお気に入りの曲となるとどれになりますか? 難しい質問で恐縮ですが……。
   
吉田: う~ん……まあいろいろありますけど、最初に自分で魂入れて作ったなと思ったのは「ヘビーバレル」あたりでしょうか? 本当にもう戦うぞ、っていう感じのヘビーメタル曲調になりましたしね。2オペのFM音源でよく頑張ったと思います。アルファレコードのAスタに基盤持込んでサントラ用に録音してる時にエンジニアの方がボソっと「かっこいい」と言ってたのを覚えてますよ。聞き逃してませんよ(笑)。あとは「スタジアムヒーロー」なんかも、明るくポップな感じがうまく出せてよかったですし、やはり自分らしいというのはロック系の曲になるので、そういう目線で見ると「空牙」とかファング(牙)シリーズは欠かせないですね。データイースト後期では、セガさんから発売した「ウィンターヒート」とか、「熱闘ゴルフ」(※)などのタイトルも頑張って曲を作りました。この頃は社内のスタッフの数が減ってたこともあって、集大成的な気持ちも込めながら力を入れてサウンド制作してましたね~。「ウィンターヒート」はセガのデジタルスタジオで1週間程かけて録音&MIXしました。ギターからアンプから音源からPCまで全部を荻窪から大鳥居まで一人で搬出入&運転と大変だったですよ~。演奏収録もするんすからね。でもメチャ充実してましたね。ミュージシャン冥利に尽きるとはこの事かってくらい。セガのエンジニアの方と食べたラーメンも美味かったな~(笑)。
※「ウィンターヒート」「熱闘ゴルフ」の開発は、当時データイーストが担当していた。
   
鴫原: 吉田さんの考えるデコゲー、あるいはデコサウンドの真髄とは何でしょう?
   
吉田: やっぱり、「もうなんでもアリ」なのがデコゲーのスタイルじゃないですか? 作曲自体はとてもパーソナルな仕事ですし、隠そうと思ってもどうしてもそれぞれの個性が自然に際立っちゃうので、それが「ゲーマデリック」の持ち味にもなっていましたよね。作り手が自分で感じたものを曲に落とし込むわけですから、みんなの作風に違いが出てくるのは当たり前だと思います。
   
安藤: 「ゲーマデリック」のメンバーのみなさんって本当に仲がよかったですよね。作風はそれぞれ違ってても、ちゃんとチームワークがあってまとまっていたのは、やっぱり仲がよかったからこそではないか、と。
   
吉田: 確かにそうですね。ゲームサウンドを作っていく上で、「○○社のサウンドコンセプトはコレ」みたいな縛りは実際なかったですし。クリエーター各々が新しい事にどんどん挑戦出来た、いい時代でもあったのかなと思います。
   

 
●MAROさん 機材紹介コーナー2
   
   
吉田: 左から、アコースティックギターEastman AR-804C、GITANE DG-300 John Jorgenson、スペイン製JOSE RAMIREZ 2CWE、ウォームサウンドなCOMBAT ST WARM(Tom Holmes Pickups)、Bacchus J.B.Typeフレットレスベース、blanton バンジョーギター!?これ面白いでしょ、バンジョーなのに弦が6本でギターと 奏法が同じ! あと、写真にはないですけど、超!重いGIBSON Les Paul Custom、SHECTER(7弦)、「空牙」収録の時にアームをギュワンギュワンさせてソ ロで使用したFernandesのFunctionとか、あと、ゾウさんとか(笑)あります。
   
  
 

次回は各種アルバム制作時のエピソードや、伝説のゲームミュージックバンド「ゲーマデリック」結成時のお話などをお伝えします!



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★次回 吉田博昭インタビュー 3/4 は、2009.07.22公開です
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