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株式会社アイエヌエイチ
株式会社ウェーブマスター
2009.07.08
 
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●新人時代のあまりにも意外な仕事歴
   
鴫原: で、データイーストに入社して早速サウンド制作に取り掛かったわけですね。
   
吉田: いえ、そうじゃないんです。新人時代はサウンドではなく、実は最初に担当したのは持ち運び可能な小型ファックスの機械を作る仕事だったんですよ。工学部出身だしハンダコテとかも使えるから、最初の半年ぐらいはハード屋さんとしてハンダ付けやカシメをつけたりなんてことをやってました。で、カシメがとっても上手にできたから、いろんな人からカシメを頼まれるようになって「カシメの吉田」なんて言われたりしてました。
   
  (一同爆笑)
   
鴫原: 「カシメの吉田」って、なんだかスゴイ職人さんみたいですね!
   
安藤: あれ?でも入社するときはサウンド志望で入ったわけですよね?
   
吉田: もちろんです。
   
鴫原: と、いうことは新人が必ずしも希望の部署には行かない社風の会社だったと?
   
吉田: いや、希望のところに行けなかったのは自分だけでしたね(笑)。
   
安藤: 元々自分で工作とかがいろいろできるスキルがあったから、ハード屋さん的な部署に配属が決まったのかもしれませんね。
   
吉田: で、それから半年後ぐらいたった後に、今度は新規事業を手掛ける部署に配属されました。ここでは超音波洗浄機や手書き文字認識装置、すぐに剥がせるシールやシイタケ栽培など、いろんなことをする人が働いてました。
   
鴫原: 出た、シイタケ栽培(笑)! 業界関係者では今でも伝説になっているネタですよね……。
   
吉田: で、自分は手書き文字認識装置の開発チームにプログラマとして配属され、今度はスキャナーに読み込ませた新聞の文字を一文字ずつ切り出すためのプログラムをC言語で組む仕事をやることになりました。まず新聞をたくさん買ってきて、それを全部スキャナーで取り込んでから、プログラムに、まず最初にタテ書きかヨコ書きかを判断させて、その後文字の大きさを判断させて、1文字だと認識させるんです。たとえば漢字の一、二、三が縦書きになってたとすると、それを、一、一、一、一、一とは切り出さずに、一、二、三と切り出すようにするんです。直接自分が作ったプログラムだけでは、(コンピュータ上で)何て書いてあるかは認識できないけど、これが一文字だよ、と次の認識プログラムに手渡すまでの部分を担当するのが仕事でした。あ、急に難しい話ですみません(笑)。でもまあ、プログラミング自体はやっていて面白かったですよ。
   
鴫原: ここでもまだゲームともサウンド開発とも無関係だったんですね……。では、サウンド制作の部署に異動になったのはどういう経緯があったのでしょう?
   
吉田: ひとことで言っちゃえば、新規事業部を会社が大幅に縮小したからです(笑)。で、「今度キミたちはゲーム開発のほうに行くぞ!」って言われてまた半年ぐらいしてから異動になりました。「ここが吉田君の席だから」って言われて端末のすぐ目の前に座らされたのですが、使い方がまったくわからないから、しばらく何もしないでそこでボーッとしていましたね。最初の頃に、「キミは何してんの~? なんだ、ログインも全然してないじゃん!」って注意されたこともあったような気がします(笑)。
   
鴫原: ログインすらもできない開発スタッフだなんて信じられない(笑)。
   
吉田: 最初のうちはアセンブラで、ゲームそのものではないのですが何かプログラムを作るように言われました。アセンブラが全然できなかったから自分でもいろいろ勉強したのですが、結局モノにならなかったですね……。最終的には、「自分は何か作るより使うほうがやりたいです!」って部長だったか上司の誰かに直訴しました。で、以前からサウンドセクションにいらっしゃった女性社員から「吉田君はサウンドやりたいんだって? じゃあ机を持ってこっちに来ちゃいなよ!」って言ってくださいましたので、「じゃあそうします」って、サウンドセクションの所に自分で机を運んで引越ししました。
   
  (一同爆笑)
   
大野: 当時はサウンドセクションに何人ぐらいいたのかな?
   
吉田: 私と女性社員の方が1名と、あとはアルバイトスタッフが確か3人いたのかな? そのバイトのうちの1人にジャズギターがメチャクチャ上手な人がいまして、実はその人が「カルノフ」のBGMを作曲したんですよね。その人はとにかく仕事が速くて、職場に来たらパッと曲を作ってパッとまた帰っちゃうんですよ。眼の力が強いと言いますか、キビキビしていて何だか塾の先生みたいなカンジがしましたね。
   
安藤: 会社にギターとかは置いてあったんですか?
   
吉田: ええ。それで「カルノフ」を作曲した人から、「吉田君はギターが弾けるのか? そうか、じゃあちょっとそこにあるギターで何か弾いてみろ」って言われたりしたことが確かありましたね(笑)。
   
鴫原: コンシューマーソフトのサウンドもここで作っていたのですか?
   
吉田: 最初の頃は同じ部屋だったのですが、コンシューマーのほうはどんどん人数が増えて大きくなっちゃったので、後から違うビルに移っちゃいましたね。後に「ゲーマデリック」でいっしょになるAtomic花田さんやングジャ三浦君は、こちらのコンシューマーのほうに当時は籍を置いてました。SHOGO(酒井省吾氏:現HAL研究所)さんは初めは一緒の部署でしたが、後でコンシューマーのほうに移りました。最初に会ったときに、「作曲とかをするの?」なんて失礼な質問をしちゃったこともあった気がしますね(笑)。Mr☆K(みすたけ)とはずっとアーケード部署の方で一緒にやってましたよ。
   

 
●サウンドコンポーザー「MARO」の誕生
   
鴫原: 晴れてサウンドコンポーザーとなったMAROさんが、最初に作曲を担当したデビュー作は?
   
吉田: 1987年に発売された「魔境戦士」という作品ですね。
   
鴫原: ループレバーを使ってショットの向きを変えて撃ったりする縦シューティングですね、いやあ懐かしいです! ちなみに、当時はまだPSG音源だったのですか?
   
吉田: いえ、もう当時からFM音源を使っていましたね。当時、MSXで五線譜に音符を書きながら作曲ができるツール(ヤマハミュージックコンポーザーYRM-55)があって、それで作ったデータをフロッピーディスクに保存してから、ヤマハのチップ(※)で鳴るようにコンバートする自社製のツールを使って基板上で鳴るようにしました。コンバートしてもスンナリと美しく楽曲が発音される訳ではないので、そこからが基盤上のFM音源チップ向けの実装サウンドデータ調整作業の開始となります。コンバート後のシーケンスファイルを開いてテキストベースで修正、アセンブルかけて、ツールにデータ流し込み、試聴、でまたファイルを開いて修正の繰り返し。時間を忘れて夢中になってやりましたね。
※当時の基板に乗っていた音源チップは、「YAMAHA YM-3526」(OPL 2OPの9音同時発音、音色やエンベロープを独立で制御可能)や「YAMAHA YM-2203」(OPN 4OPの3音同時発音、PSG3音、ノイズ1音)だったとのこと。
   
鴫原: ただギターとかの楽器を弾くだけでなく、コンピュータ上での打ち込みからコンバートまでの作業手順もひと通りなさっていたのですね。
   
吉田: はい。それからFM音源だと波形とかをいろいろいじって音色を作るわけですが、そうすると当初目指していたものとは違う音色が偶然できちゃったりするんですよ。そんな音色をテーマごとにジャンル分けして、(後で何かのときに使えるように)たくさんストックするなんてこともやってましたね。
   
大野: この頃は効果音もいっしょに作ってたの?
   
吉田: いや、効果音は女性スタッフの担当だったと思います。あとあと自分でも作るようにはなりましたけど。
   
鴫原: 当時まだは今と違って作曲ツールなどがそれほど充実してはいなかったかと思いますが、特に当時ご苦労なさったことは何ですか?
   
吉田: 特に苦労した思い出はないです。そういうもんだと思ってたので(笑)。もっとも、これは成果物に対する会社からの評価がかなり甘かったせいなのかもしれませんが……。企画担当者とお話をしつつ、自分でもう好きなように作らせていただきましたね。
   
鴫原: 実際に自分の作った曲がゲーム上で鳴るのを見たときのご感想はいかがでしたか。
   
吉田: 一番嬉しかったのは、基板が海外に輸出されたことですね。まだ当時はインターネットなんか普及してないし、飛行機でないと行けないような場所ですから、アメリカ人とかも自分が作った曲を聞いているんだな、という感慨はありました。会社が基板を海外販売していることを初めて知ったときには、「自分の曲が海を越えた!」って妙に興奮しましたのを覚えています。
   
安藤: データイーストは昔からピンボールもたくさん発売していましたけど、ピンボールの作曲とかもやったんですか?
   
吉田: ピンボールは自社じゃなく外注で作ったので作曲とかはしていません。まあ外注というか、アメリカのシカゴにあるメーカーを会社が買収して、そこから日本に輸入して売っていたという形でしたね。
   
鴫原: あと、この時代のデコゲー(※データイーストのゲームのこと)ですと、デコでは珍しい海外版権物の「ロボコップ」があったかと思いますが、このゲームのBGMも吉田さんがご担当とお聞きしましたが?
   
吉田: これは私が映画を見ながら、オーケストラで演奏している曲を耳コピで音を拾いながら打ち込んで作りました。版権を持ってる会社からちゃんとした楽譜や音源をくれなかったんですよね(笑)。オリジナル版をそのまま鳴らそうと思っても和音が足りないので、リズムとかを削ったりして自力で起こした曲のデータを、アメリカの版元に送ってチェックしてもらっていました。
   
大野: なぜかわからないけど、この時だけ突然版権モノを作ったよね。
   
吉田: 詳しい経緯は判りませんが、おそらく、ロボコップのピンボールも作っていたのでその関係かもしれません。確か作品中で、データイースト製のゲームが出てくるシーンがあったハズですよ。もっとも、最後はバリバリ撃たれて壊されちゃうんですけどね。
   
  (一同爆笑)
   

 
●MAROさん 機材紹介コーナー1
   
   
吉田: 所有ギター関連の話をしますと、まずは左から、フルアコHOFNER JAZZICA CUSTOM フルアコではめずらしく24フレットあり、ボディ厚もボトムからネック方向に薄くなっていく形状で抱えやすく演奏性がとても高いです。その 隣は、セミアコGIBSON ES-335TD(Coil-Tap) 初期の録音「空牙」「ヘラクレス」アレンジ版等で使用しました。次が、ゲーマデリック&ゲームサウンド制作 時のメイン楽器! GIBSON B.B.KING Lucilleで、中音域の強いアタックと張りのある骨太サウンド&Varitone switchで幅広い音色も出せ、お気に入りのメインギターです。次は、フルアコの王道と言えばコレ!GIBSON L-5 CESに、シングルコイルのハーフトーンサウンドが気持ちいい!AIRCRAFT ST Type、引き心地は もろエレキ!エレガットCREWS SM-Gut、超軽量箱鳴り抜群!DEVISER Rosetta Vesselです。
  
  次回はあの伝説の歴代デコゲー作品について吉田氏が激白、驚愕のエピソードが次々と明らかに!

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★次回 吉田博昭インタビュー 2/4 は、2009.07.15公開です
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