絵画に見る朝鮮時代の人々の暮らし(下)
たばこの話はさらに続く。著者は『朝鮮王朝実録』をはじめ何人もの文人の文集をくまなく分析し、たばこが17世紀初めに日本から伝来した当時、役人や夫人、子供、下人にまで広まり社会問題になったことを示す。大同法を施行したキム・ユク、文人の李植(イ・シク)、老論派の精神的師匠・宋時烈(ソン・シヨル)はたばこを嫌悪した一方、朝鮮時代の文人・張維(チャン・ユ)は愛煙家だった。茶山・丁若鏞(チョン・ヤギョン)は、流刑暮らしをする人は酒やお茶よりもたばこを好むと礼賛した。
著者はこうした風俗画を糸口にして、井戸端や洗濯場、機織り、脱穀、弓術、酒場、韓国相撲、陶工、わらじ編み、あめ売り、犬肉のスープ、冷めん・瓦ぶきなど朝鮮時代の人々の衣食住を詳しく復元する。これに関する著者の博識には舌を巻く。あめ売りはいつからはさみを使うようになったのか。19世紀末に活動した画家・金俊根(キム・ジュングン)の作品『あめを売る子供』には、はさみを持った幼いあめ売りが登場することから、少なくとも19世紀末にはあめ用のはさみが使われていたことが分かる。著者は李厳(イ・アム)の愛らしい犬の絵から、ペットの歴史をひも解くとともに、「犬のゆで方」「犬肉を煮込む方法」など、朝鮮時代の人々による犬肉の調理法まで紹介している。中宗の時代、権力者の金安老(キム・アンロ)は犬肉マニアで、金安老に犬肉を献上して官職を得る人もいたという。
厳格な朱子学が支配した朝鮮時代に、人々がひそかに楽しんだ「春画」にまつわる話も興味深い。金弘道と申潤福が描いたとされる春画は、男女関係を赤裸々に描写している。また、各テーマの絵画に関連した19世紀末-20世紀初めの写真資料も興味をそそる。各432、344、288ページ。各2万1000ウォン(約1540円)、1万9000ウォン(約1400円)、1万8000ウォン(約1320円)。
李漢洙(イ・ハンス)記者
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