「ふぁ……ひあ、あっ……」 タイル張りの床に、水しぶきが落ちる音と私の喘ぎ声が響いていた。私と麻衣は、体育館のシャワールームで精液まみれになった体を流していた。一つのシャワーボックスの中に二人で入り、麻衣は私と全裸の身体同士を密着させている。石鹸の泡が潤滑油となって私たち二人の肉体を滑らせる中、温かい湯のしずくを浴びていた。 「たくさんの精液、美味しかったわね。絵美理?」 麻衣がうっとりとした声でささやく。彼女の言うとおりだった。さっき男子サッカー部員たちから搾り取った精液は、あまりにも“美味しかった”。昼間、あれほど私を苦しめたわけのわからない飢餓感はようやく癒え、その感覚は「また精液を吸いたい」「もっと、もっと貪りたい」といった恍惚とした感情へと変化しつつあった。 「あら。思い出しただけで感じちゃったの?」 麻衣は私の蕩けた表情を見てとると、イタズラな笑みを浮かべて私の股間の肉芽を指先でつまんだ。 「あ……ああぁぁっ!!」 私は、その瞬間、プシッと愛液を噴出させてしまう。何回イッたなんて意味をなさない、無数の絶頂のうちの一回だった。 「さあ、そろそろ上がりましょう。私たちの夜は、これからが本番よ?」 麻衣はそう言うと、私の身体をようやく解放した。 静まり返った夜の住宅街。私たちは制服に身を包み、帰りの遅くなった女子学生といった風貌で町はずれに続く暗い道のりを歩いていた。 「麻衣……どこへ行くつもりなの?」 「あら、この道は絵美理のほうがよく知っていると思ったけど?」 確かに、麻衣の言うとおりだった。私が何度も通った見知った道。そのさきには、花梨が暮らす教会がある。学校から徒歩でおよそ十五分、私たちは花梨の教会に到着した。麻衣は、感慨深そうにその建物を見つめると、そっと指先を伸ばした。 ――パチッ 小さな閃光が生じて、麻衣の指先が弾かれた。 「やっぱり、結界を張っていたわね……ま、こんなことだろうと思って、たっぷり淫気を集めてきたんだけど……」 麻衣は、一人で呟きながら、ブラウスのボタンに手をかけた。そのまま、往来であるにもかかわらず、制服を脱いで、漆黒のビスチェとショーツとガーターストッキングのランジェリー姿になる。闇から紡がれた糸でできた黒い蜘蛛の巣にも見えるランジェリーは、魔性の闇に身を包んだ淫魔の衣装と呼ぶにふさわしいものだった。 「さ、絵美理も早く脱ぎなさい?」 「え……でも……」 「うふ。さっきあんなに乱れておいて、いまさらイイ子ぶることもないでしょう? ほら、時間がもったいないから、さっさと脱ぐの」 「あ……はい……」 私は、羞恥心に顔を赤く染めながら、彼女の命令に従う。もし、誰か通行人が来たらと思ったら、気が気ではなかった。もっとも、麻衣のほうはそんなことになったら、男女問わず犯してしまえばいいとでも思っているのだろう。私が、のろのろと服を脱いでいる間、麻衣は私のほうをチラチラと見ながら、手さげカバンの中をごそごそと何かを探していた。 「はい。これは絵美理に預けておくから、しっかり持っていてね」 麻衣は、カバンから取り出したものを、黒檀の色合いの下着姿になった私に手渡した。両の掌に収まるサイズのそれは白い布に丁寧に包まれている。その布をほどくと、中から細やかな彫刻が施された金造りの杯……淫気を凝縮する魔力を持った“黒の杯”が姿を現した。 「それじゃあ、そろそろ行きましょう?」 瞬間、麻衣の全身から濃すぎるほどの淫気があふれ出す。その淫気は、彼女の身体にまとわりつく闇のように姿を変えていく。麻衣は、その闇をさらに圧縮し、右手の人差指の先へと集めた。そして、その指先を教会の周りに張り巡らされた結界へと突き出す。すると、パリン、と薄い音がたった。私たちと教会との間にあった見えない何かは気配を消していた。 麻衣は、私を促しながら、教会の扉をくぐる。私も“黒の杯”を手に、その後に続く。麻衣は、脱いだ制服とカバンを無造作にエントランスの床に置き、迷うことなくさらに奥の礼拝堂の扉を押し開く。 「来たわね、絵美理ちゃん。それに……麻衣ちゃん……」 「うふふ。久しぶりね、花梨。それともエンジェル2ndと呼んだほうがいいかしら?」 礼拝堂の壇上には、花梨が立っていた。花梨は、純白のレース生地で編まれた、可愛らしいベビードールのランジェリーに身を包んでいた。花梨が身にまとったベビードールはお人形さんの衣装のようなかわいらしさを持ちながら、真珠のような輝きを放っている。布地は、妖精の薄羽根にも見え、清らかなそよ風のように揺れていた。花梨は全身に青い浄化の光を身にまとい、その瞳は決意を宿して、私たち二人を睨みつけている。 「花梨と、麻衣は、知り合いなの……?」 私の弱々しい問いかけに、花梨は神妙な面持ちで、麻衣は満面の笑みで、私のほうを振り向いた。 「……そうよ、絵美理ちゃん。私と麻衣ちゃんは、親友だったの……昔はね……」 「あら、花梨。私は、今でも親友だと思っているわよ? ま、それはともかくね、絵美理。私と花梨は、昔は一緒に戦った仲でもあるのよ。“聖衣”に身を包んで、淫気を浄化するためにね。そのころ、私はランジェリーエンジェルのエンジェル1stを、花梨はエンジェル2ndを名乗っていたわ」 苦しそうに顔をそむける花梨に対し、麻衣はどこかあざけるような表情を浮かべながら、饒舌に言葉を紡ぐ。 「麻衣……あなた、淫気と戦っていたんでしょ? じゃあ、何で今はあんなことを……」 「ごめんなさい、絵美理ちゃん……私の……私のせいなの……」 必死に絞り出した私の疑問に対して、今にも消え入りそうな声で返事をしたのは花梨だった。花梨は、目を伏せ、その瞳には涙の粒が見えた。 「私が、しっかりしなかったから……麻衣ちゃんは……」 「もお、花梨。そんなに自分を責めないでよ? 私、今は花梨にすごく感謝しているんだから」 麻衣は全身に渦巻く禍々しいほどの淫気に反して、優しく励ますような声をかける。肩を震わせ必死に自責の念に耐える花梨に微笑みかけた麻衣は、私のほうを振り向いた。 「あのね、絵美理。私と花梨は、昔、淫気を浄化するために一緒に戦っていたの。それで、淫気の権化ともいえる存在……私は、“淫獣”様とお呼びしているんだけど……それを、あと少しで封滅できるところまで行ったのよ。でも、“淫獣”様の力は強大だった。私たちは、あと一歩で負けちゃったの……そのときね……」 麻衣の顔が、歪んだ。口元に浮かんだのは、邪悪な笑みだった。 「うふふ、花梨はね……私のこと、見捨てたのよ! 一人だけで、私を置いて、逃げっちゃったのよ!!」 「……うわああぁぁ!!」 麻衣の残酷な宣告に、花梨は大声をあげた。伏せた目からは、大粒の涙がボロボロとこぼれおちた。今にも膝をつきそうになりながら、それでも必死に立ち続けている。花梨の心の傷がえぐられているのが、我が身のように伝わってきた。私は、すぐにでも花梨に駆け寄って、彼女を抱き支えてあげたかったけど、私の心身を支配する淫気と黒下着がそれを許してはくれなかった。私は、何もできずただ立ちすくむだけだった。 「泣かないでよ、花梨。私は、花梨に感謝しているって言ったでしょ?」 不気味なほど穏やかな声で、麻衣は花梨に語りかける。 「だってね。花梨のおかげで、淫気の素晴らしさを理解できたのよ? “淫獣”様に、頭が真っ白になるくらいまで犯していただいて、何日もの間、いろんな人にも身体を犯され続けて……私は、花梨のおかげで漆黒堕天使ランジェリーサキュバスとして、生まれ変わることができたの!!」 「……」 「さあ、花梨。無駄な抵抗はやめて、こっちに来て? あなたにも、素晴らしい快楽の世界を教えてあげる。あなたのお友達の絵美理も、とっくに楽しんでいるんだから」 「……やらせないわ」 花梨の小さな、決意に満ちた声が聞こえた。目からあふれる涙は止まっていた。 「淫気の思い通りになんかさせない! 私が、絵美理ちゃんも、麻衣ちゃんも助けて、元通りにしてみせる!!」 花梨の決意の叫びが、礼拝堂に響き渡った。麻衣は、にやりと笑う。 「あら、花梨にできるかしら? あの日、敗北して、私を見捨ててから、ショックで戦えなくなったのでしょう?」 「……二人を助けるためなら、何だってやってみせるわ!!」 その声が、戦いの始まりを告げる合図だった。麻衣の身体を渦巻く淫気の闇が、花梨の身体を覆う浄化の光が、より一層密度を増す。麻衣がかざした両手の先には二本の黒い鎖が現れ、花梨の構えた手には青白い無数の光の短剣が実体化する。二人が放つ力の強さに圧倒され、私は目を見張った。次の瞬間、二人の身体が跳ねた。 二人の身体が交錯し、お互いの一撃が打ち込まれる。肉薄した二人は、自分に向かってくる鎖と刃の動きを見切って、その身を回転させるように攻撃をかわす。わずかの後には、二人はお互いの間合いの外に逃れていた。 「ブランク明けかと思ったら、腕のほうは鈍っていないみたいね。花梨?」 「……負けられないもの。絵美理ちゃんと、麻衣ちゃんのためにも……」 花梨は、薄い笑いを浮かべた麻衣を睨みつける。さらに花梨は、次の動作を予兆させない鋭い動きで、左手に握っていた光の短剣を四本、麻衣に向かって投擲する。対する麻衣は、左手の鎖を新体操のリボンのように優雅に操り、自分に向かって飛んでくる短剣をすべて弾き飛ばす。麻衣は反撃とばかりに、右手の鎖を花梨に向かって放った。花梨は、右手の短剣を一本、オーバースローで思い切り投げつけ、その衝撃で鎖の軌道を反らす。 ――ドォン…… 目標を見失った鎖は、礼拝堂の扉に突っ込んだ。鈍い音を立てて、その扉は破壊される。その時、私も含めたこの場にいる人間全員が、ガラガラと崩れる扉の向こう側に人影があることに気がついた。 「あ……あ、お姉ちゃ……」 「裕! 隠れていなさいって言ったでしょう!?」 「だって……お姉ちゃんのことが、心配で……」 そこにいたのは、花梨の弟の裕くんだった。 「絵美理! 彼を捕まえなさい!!」 「え? あ……」 麻衣の命令が、鋭い言葉で響いた。私がその意図を理解するよりも早く、黒い下着と淫気が私の身体を反応させる。私の身体は、驚異的な瞬発力で、裕くんのそばまで跳躍し、その幼い身体を羽交い締めにしていた。 「え……絵美理お姉ちゃん……なんで……?」 「……ごめん、裕くん……」 怯えて震える裕くんの身体を、私は強く押さえつける。突然の事態に驚愕する花梨に対し、麻衣は邪悪な笑みを浮かべて歩み寄った。 「抵抗しちゃ、ダメよ。花梨? その時は、弟くんがどうなるか、わかっているわよね」 「……麻衣ちゃん! 卑怯よ!!」 麻衣は花梨の非難を聞き流し、黒い鎖を操って花梨の四肢を拘束する。 「さてと……絵美理。次は彼のことを、犯しなさい」 「……え?」 麻衣の次なる命令に対して、私と花梨は同時に疑問の言葉を返していた。 「だから、絵美理。弟くんとセックスしなさい。まだ、幼いペニスも、なかなか美味しいわよ?」 「あ……でも……裕くんは……」 「いいから、早くしなさい」 「あ……ぁ……」 私の身体は麻衣の命令に従い、裕くんを床に押し倒す。怯える少年を見下ろすように立つと、ガーターストッキングに包まれた足先で裕くんの股間をズボン越しに刺激してやる。初めは、すすり泣くような嗚咽をもらすだけだった裕くんも、次第に喘ぎ声をこぼすようになっていく。 「いやぁ! やめて、絵美理ちゃん! 目を覚まして!!」 「ごめん、花梨……私、命令に逆らえないの……」 「麻衣ちゃん! お願い、やめさせて! 私のことなら何してもいいから、裕には手を出さないで!!」 「うふふ、抵抗しちゃダメって言ったでしょ。花梨? それにお楽しみはこれからなんだから」 泣きわめき、もがく花梨。麻衣は、冷酷な動きで花梨の動きを制限する。 「絵美理ちゃん、正気に戻って! ママに会いたいんでしょう!? 絵美理ちゃんのママは……」 「花梨……おしゃべりは、そこまでよ?」 麻衣は、悲鳴に似た叫び声を上げる花梨の背後に回るとその口を手でふさいだ。花梨は、必死に戒めから自由になろうと身をもがくが、一度からみついた麻衣の闇の鎖は簡単にはほどけない。 (え? 花梨、私のママのことを……?) 私の脳裏に疑問が浮かぶ。だが、私の身体は「裕くんを犯せ」という命令を優先していた。私の足先は緩急の付いた刺激を与えながら、優しく裕くんのペニスと陰嚢に快楽を染み込ませていく。目の前で姉を拘束され、年上の女性に無理やり淫行されている状況にもかかわらず、少年のペニスはズボン越しに勃起の様相を示しはじめた。 「絵美理お姉ちゃん……僕……」 「あ……裕くん……キモチよくなってきたんだ……」 淫気が、私の脳から、セックス以外の思考を奪い取る。私は身をかがませ、テントを張ったズボンの股間をやさしく撫でた。チャックを下ろし、ズボンとパンツを脱がせると、幼いながらも精一杯そそり立ったペニスがぴょこんと顔を出した。ペニスの先からわずかにあふれだす、青臭い匂いをかぐと、私の下腹部には熱がともる。私は、自分の黒いショーツに手をかけるとそのままずり下ろした。私の秘所は、すでにてらてらと濡れていた。 「……! ……ッ!!」 花梨が、必死に抗議の声をあげようとしていた。私は、痛々しいまでに花梨の視線を感じ、罪悪寒に引き裂かれそうになる。それでも、私の中の淫欲は、もはや常識や理性を呑み込んでしまうほどに成長していた。もはや、命令に従っているというのは言い訳にしかならない。私は、私自身の中で膨れ上がってしまった極彩色の欲望に従って、裕くんのペニスの上に腰をおろした。 「裕くん……これが、セックスよ?」 「ふあぁ……絵美理お姉ちゃんの中、キモチよくて……あッ……僕、もう……ッ!」 私の中に入れてすぐ、裕くんの幼いペニスは射精へと至った。セックスどころか、まだ自慰行為の経験ですら少ないであろうペニスから生み出される精液の味は、透き通っているようで、私の胎内へと染み込んでいくようだった。 「裕くん……まだ、早すぎるよ……」 私は裕くんの顔を抱きかかえ、漆黒のブラに包まれた胸の愛でにうずませてやる。すると、裕くんの萎えかけたペニスがすぐに硬さを取り戻し、私の秘所のなかで二度目の射精へと至った。敏感な反応を示す彼に、私は被虐的な悦びを感じてしまう。今度は顔を上向きにさせて、唇を奪ってやった。舌を乱暴に差し込むディープキスをしてやると、彼は射精が終わった直後であるにもかかわらず、そのペニスを再びけいれんさせ、絶頂へと上り詰めた。瞬く間に三度の射精をしてしまった裕くんは、さすがにぐったりとなって荒く息をつくままとなった。 「絵美理、ごくろうさま。あとは、あなたと裕くんの淫液を“黒の杯”に注いで、ここまで持ってきて?」 「……はい……」 私は、麻衣に預けられて小脇に抱えていた“黒の杯”を床に置くと、その上に四つん這いでまたがった。秘裂を指で押し開くと、私の愛液と裕くんの精液の混合物が杯の中に滴り落ちる。淫らな行為の混合液は、杯に注がれた粘液は、嫌な音を立てて黒い濃縮された淫気へと姿を変える。私は、その盃を手に取ると、虚ろな表情で、脱ぎかけのショーツも直さないまま、花梨と麻衣のところへ向かった。 「うふふ、ありがとう。絵美理」 「……ッ!?」 私が麻衣に“黒の杯”を手渡すと、花梨が息をのむ音が聞こえた。その表情には、怯えの色が浮かんでいる。花梨でも、これほどまでに濃い淫気を見たことはそうそうないだろう。 「さあ、花梨……私たちの世界へ、いらっしゃい?」 麻衣は、花梨の白く可愛らしいベビードールに杯の中身の黒い液体を垂らしていく。ドジュッと焼けるような音がして、じわじわとベビードールの姿をした“聖衣”が黒く染まっていく。花梨は、その異様なありさまに、はじめ目を見開き、次にその身をよじらせた。悲鳴を上げようとしても、口をふさいだ麻衣の手がそれを許さない。やがて、その純白のベビードールが、完全に黒く染め上げられる頃には、花梨の眼からは意志の光が消え、ただ弱々しく体をけいれんさせるのみとなっていた。
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