胸のペンダントから、じんわりとした熱が伝わってくる。まるで、溶けた砂に水が染み込むように、どす黒く染まったペンダントから染み出す淫気が、私の身体に巡っていく。一度は浄化の力を取り戻した純白の“聖衣”も、すでに真っ黒な呪われたランジェリーに戻ってしまった。私は、闇に撫でられるような感触を味わいながら、ぼんやりと目の前の光景を眺めていた。 淫気に侵された人が乱交を繰り返していたビル。私は、そのビルの一室に連れ戻された。この部屋は、他の部屋みたいに殺風景ではなかった。アンティーク調の内装が施され、優雅な上品さが感じられる。どうやら、目の前にいる私のママ、小宮静華の自室として使われている部屋らしい。私とママは、キングサイズという表現でも足りなく感じるほどの大きさを持った寝台の上にいた。 「気分はどうかしら、絵美理? そろそろ淫気がなじんできた頃だと思うけれど……だいぶ消耗していたはずだから、下のお口からしっかり栄養を取ってね」 「あ……ふぁ……」 私の下には謙一くんが仰向けで横たわっていた。私の秘裂は、そそり立った謙一くんのペニスを呑み込んでいる。その私に向かい合うように、ママがいた。ママは、闇色のイバラのように身体を締め付ける黒いテディを身につけている。蜜が滴る熟れきった果実のような、漆黒のランジェリー越しの秘所を押しつけるように、謙一くんの顔にまたがっていた。 「あぁん……裕ぅ……あなたの精液、私にたくさんちょうだい……」 「あ、あぁ……お姉ちゃ……」 「うふふ、こんなに消耗したのは正直はじめてだものね。私も、弟くんで補給させてもらうわ」 ベッドの片隅では、麻衣と花梨と裕くんがお互いの身体を絡めあっていた。麻衣と花梨が身につけている下着は、一度は浄化しかけたものの、今は元の漆黒色に戻っていた。 「さて、絵美理。あなたには、どこから話すべきかしら?」 「ふぁあぁ……」 私の下で、謙一くんの体が震えた。どうやら、イッてしまったらしい。精を注がれる甘い感触が、私の下腹部を満たしていく。 「そうね……やっぱり、最初から話したほうがいいわね」 目の前のママは、私が快楽に惚ける姿を優しく見つめていた。 「ママが“淫獣”様の存在を知ったのは、考古学の研究で行った遺跡の調査のときね。ずいぶんと昔に“淫獣”様を封印した遺跡らしいけれども、発掘の時の事故でその封印が解かれてしまったみたいなの」 「え……?」 ママが、真面目な顔で語りかけてくる。私は、思わずママの目を見つめ返した。 「残された資料を調べたら、その遺跡が悪しきものを封じたものだということがわかったわ。それと同時に、原因不明の暴行事件が多発するようになっていた。それで、ママは、必死になって対処法を研究して……その結果に作り出したのが、あの“聖衣”だったの。初めは、私一人でランジェリーエンジェルとして浄化活動をしていたけれども」 「私と花梨が、静華さんと知り合ったのも、淫気から助けてもらったのがきっかけでしたね」 裕くんの首筋を舐めていた麻衣が、ママに言葉をかけた。花梨は、裕くんのペニスを貪るのに夢中になっていた。 「そうね、長期出張の時だったかしら? 麻衣ちゃんと花梨ちゃんたら、私たちも淫気を浄化するお手伝いがしたいなんて、言いだして」 「うふふ、静華さんはスゴイ反対していたけれど、花梨の強情に最後は折れたんでしたよね」 「そうそう。それで、麻衣ちゃんと花梨ちゃんのコンビと、私はそれぞれ淫気を浄化するようになったの。もちろん、二人には、このことは秘密にするようにきつく言っておいたわ。特に、絵美理にはね」 「……そうだったんだ……」 私は二人の話をぼんやりと聞いていた。いまのいままで、そんなことは知らなかった。ママは、私に余計な心配をかけないように秘密にしていたのだろうけれど……大切な秘密を共有できなかったことが、私にはたまらなくさみしかった。 「そして、あの日……私たち三人は“淫獣”様の潜伏先を突き止めて、決戦を挑んだ。でも、そこで、私と麻衣ちゃんは……“淫獣”様の力強さと、素晴らしさを知ったのよ!!」 ママの表情は、何かに心酔するそれだった。 「それから先は、説明する必要はないかしら。“淫獣”様との戦いに敗北して……花梨ちゃんは逃げ切ったけど、ママと麻衣ちゃんは、“淫獣”様に調教していただいて、下僕として働くようになったの。麻衣ちゃんは、人々からの淫気の採集。ママは、淫気をより効率よく使うための技術を研究してね」 「この街に来たのは、絵美理と花梨を私たちの仲間にするため、ですよね」 「そうよぉ……絵美理が、ランジェリーエンジェルになって、あそこまで活躍するなんて、少し予想外だったけれども……おかげで、こうして一緒に楽しむことができるわ」 私は、ママの言葉を呆然と聞いていた。ママは、腰を浮かせると謙一くんの頭を解放した。謙一くんの目を見つめるママ。 「さすが、ウチの絵美理が彼氏に選ぶだけのことはあるわね。これだけのことがあっても、まだ目から理性の色が消えていない……あなたが、絵美理の最後の心の支えになっていたのね」 ママは、感心したかのようにうなずく。 「絵美理、あなたも腰を浮かせて?」 「あ、うん……」 私は、ママの言葉に従ってしまう。謙一くんとの結合部がほどける。私の太ももを、粘液の筋が垂れる。ママは、ベッド横のナイトテーブルにあった“黒の杯”に手を伸ばした。 「絵美理、ちょっとだけ我慢して?」 「あっ……あぁん……」 ママは、私の秘唇に指を差し込んだ。そのまま、かき出すように指を動かす。私が身悶えているなか、私の愛液と謙一くんの精液が混合した淫液が、ママの握る“黒の杯”のなかに注がれていった。私と謙一くんの粘液は、杯の中で、黒い淫気の塊へと姿を変える。 「……我慢強い男は、幸いだわ。もっと深い快楽を、貪れるようになるのだもの」 ママは、薄く笑う。その手に持った“黒の杯”は、謙一くんの口もとへ運ばれる。杯に満たされた黒い淫気は、半開きになっていた謙一くんの口の中へと注がれた。 「……ッ!!?」 途端、謙一くんの身体がのけぞった。その眼は血走り、息は荒くなる。何よりも、力を失いかけていた股間のペニスは膨れ上がり、巨根という表現が似合うほどになる。視線は切なげに宙をさまよった。 「ふふ……ボウヤ、こっちを見なさい?」 ママの声が、謙一くんを誘う。ママは、秘唇を覆う黒いレース生地をずらして、自らの性器を謙一くんに見せつける。 「う……うああぁぁぁ!!」 謙一くんは、その獣欲を爆発させるかのように、ママの身体に抱きついた。そのまま、乱暴にペニスをママの中へと侵入させる。ママは、薄笑いを浮かべながら、謙一くんに組み伏せるままにしている。 「ふふふ……私のことは、ママって呼んでいいのよ?」 「うあッ……ママッ! ママアァァ!!」 ママは、謙一くんの頭を抱きすくめた。謙一くんの顔が、スイカほどの大きさを持ち、マシュマロのように柔らかいママの乳房に沈められる。謙一くんは、狂ったように腰を振ってペニスを打ちつける。さらにはよだれをまき散らしながら、テディ越しの乳房をしゃぶっていた。 「ママ! イクッ! イクウゥ!!」 「いいのよ、ボウヤ。さあ、存分にあなたの精気を、ママにささげなさい!!」 謙一くんは、ぶるぶると全身を震わせる。おそらく、ママの胎内に向けて、大量の精液が撃ち込まれたのだろう。ママは、静かな歓喜を持って、そのすべてを味わっていた。私は、その二人の様を見て、下腹部が切なくなるのを感じていた。 「ボウヤ、まだイケるはずよね?」 ママは、謙一くんのあごに手を当て、顔を持ち上げる。 んちゅ…… そのまま、謙一くんの唇を奪い、舌で蹂躙する。謙一くんは、血走った眼を白黒させる。しばらくして、謙一くんは、再び全身をけいれんさせた。ディープキスで、イカされてしまったのだろう。その様を確かめたママは、自分と謙一くんの唇の間に唾液の糸を作りながら、ようやく唇を離した。 「あ……あぁ……」 私は、戸惑い、身悶えた。自分の心が、きしみをあげているのがわかった。 「ママ……」 「なぁに、絵美理?」 「ずるいよ、ママ……謙一くんは、私のものなんだよ……?」 「ふふ、ごめんなさいね。絵美理」 ママは、いまだむき出しになっている自分の女性器を、指で押し開いて見せた。 「それじゃあ、お詫びに……ママの愛液と、謙一くんの精液のミックスジュースを飲ませてあげる」 ママは、自分の股の下に“黒の杯”を持ってきた。秘所の中に満たされた淫液を、“黒の杯”に注いでいく。見る見るうちに、杯は黒い粘液で満たされていく。 「さあ。た〜んと、召し上がれ……」 ママは、“黒の杯”を持ち上げ、私の口もとに運ぶ。私は、半ば無意識に、その杯に口をつける。いや、無意識ではなかった。心の奥で、それを望んでいた。私の大好きな彼と、私の大好きなママの体液を貪ることを、心の底から望んでしまっていた。 「コクッ……」 ママが、杯を傾ける。中に満たされたドロドロの淫気が、私の口の中に流れ込む。 (……甘い) その味は、焼けるように甘かった。激しすぎる甘さは、私の脳髄をしびれさせる。喉を下った淫気は、私が守り続けていたどこかに降りて行った。 「あ……はあ……」 私は、満足感と共にため息をついた。私は、ゆっくりと謙一くんのほうを見る。謙一くんは、その眼を血走らせながら、どこか悲しそうな視線で私のことを見つめていた。 「……なんで、そんなに悲しそうな顔をしているの。謙一くん?」 私は、四つん這いで、謙一くんに近寄った。 「あ、ひょっとして……私のママと浮気しちゃったことを、後悔してくれているのかな」 私は、ギラギラした目つきで謙一くんを見つめる。 「それなら、安心して……私が、ママの何倍も、犯してあげるから!!」 私は、謙一くんをベッドに押し倒した。そのまま、彼の上にまたがり、そそり立つその巨根に狙いを定める。私の秘所は、すでにあふれ出した愛液にまみれて、ぬらぬらに濡れていた。 「見てよぉ……ママと謙一くんのセックスを見ているだけだったせいで、こんなになっちゃった……謙一くん、責任とってくれるよね?」 私は、謙一くんがうなずくのも待たずに、腰をおろした。 「! ……ッ!!」 「ああ……いいよぉ!」 謙一くんは言葉にならない悲鳴を、私は満たされる感嘆の声を上げる。私は、そのまま謙一くんを押しつぶす勢いで、腰を振りはじめる。 (イイ……すごく、キモチイイ……) とても良かった。好きな人と一つになる感覚も、ペニスの感触も、精液の味も、何もかもが素晴らしかった。私は、噛みしめるように悦楽を味わった。 「あぁ……イクッ!!」 謙一くんのペニスが、私の中で爆発した。ああ、美味しい。私は精液の味をかみしめながら、自分の胸にまとわりつく漆黒のブラをはだける。 「うふふ、謙一くん。私は、まだイッてないよ?」 私は、謙一くんの上半身に抱きつく。乳房の頂点でぴんと立った私の乳首を、謙一くんの胸板にこすりつけるように身体を動かす。謙一くんの身体も、それに連動するように、激しく腰を振る。そうだ、淫気に侵された身体なら、命が尽きるまで何回でもイクことができる。もちろん、謙一くんが死にそうになる前に、私の淫気を注いで、補充してあげるのだけれども。 「ああ、ステキよ! すごい、ステキ!!」 彼のペニスを加えこむ秘所が、満たされる感触に打ち震える。彼の胸板でこすれる乳首が、クリトリス並みの感度で快感を貪る。身にまとう黒い下着と、闇の力を封じたペンダントからあふれだす淫気が、私が悦楽を享受する手助けをしてくれる。 「また、イクぅ!!」 「うふふ。今度は、私も一緒にイッてあげる……」 ちゅぷ、と私は謙一くんの唇をふさいだ。キスを交わしたまま、私と謙一くんは、同時のエクスタシーを堪能した。謙一くんの何度味わっても飽きない味の精液が、私の下腹部を満たしていった。 「うふふ……あぁ、美味しかったぁ……」 私は満足げに、上半身を起こした。私の秘唇は、まだ謙一くんのペニスを加えこんだままだ。謙一くんの眼は、焦点が合わず、宙をさまよっている。 「安心して、謙一くん……謙一くんを、私のペットにしてあげる。責任を持って、私がずーっと気持ち良くしてあげるからね……」 私は、満足感を持って、組み伏せた彼を見下ろした。 「ふふ、お疲れ様。絵美理」 「あ、ママ……」 ママが、私のすぐ横に顔を寄せてくる。私は、そのまま、ママの唇を求めた。二人の接吻は、すぐに舌と舌を絡める、艶めかしい口付けへと姿を変える。母娘同士のディープキス。それは、謙一くんの時とは、違う甘味を私に与えてくれた。 「ようこそ、絵美理。私たちの世界へ……」 「んふ……ありがとう、ママ……」 私とママは、さらなる快楽を求めて、お互いの身体をまさぐりながら、ベッドの上に倒れこんだ。
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