Bitter Choco Liqueur
/ ビターチョコリキュール
「魔法少女キアラ」
第三話
魔女は私をかかえて、狭い開き戸をくぐりながら、タラップを降りる。船内の空間には、夜闇よりも深い漆黒が満ちていた。月の光が射し込まない分、こちらの方が暗い。四方の壁面に魔女の靴音が反響する。やがて、少しばかり歩くと魔女は立ち止まり、私は無造作に床に転がされた。
「きゃあっ……!」
私は、思わず手を突いた。くたびれた絨毯の感触が手に伝わってくる。そう言えば、少しばかりホコリ臭い。それでも、相変わらず視界は黒一色で塗りつぶされたままで、平衡感覚すら失いそうになる。ただ、周囲の気配から、ここがある程度の広さを持った空間であることだけは伺えた。外は風の音がうるさいくらいだったのに、ここは物音一つ聞こえない。あまりの静けさに、私の鼓動と、内側に植え付けられた異物の脈動が奏でる不協和音が聞こえてくる。私は、思わず自分のお尻を両手で押さえた。
そのとき、灯りがともされた。私の頭上にランプが設置されていたのだ。魔女がそこに、紫色の不気味な炎をつけていた。ランプの光が、異様な色合いで魔女の顔をあぶり出す。さらに、私自身も八方から幻惑的な光に照らし出される。この部屋が、ランプに宿った紫の炎以上に、浮き世離れした場所だと気づく。
魔法陣というものだろうか。床には奇怪な図形を書き込まれた赤い絨毯が敷き詰められている。さらに、私を中心として、円を描くように一、二、三……全部で八枚の姿鏡が設置されている。鏡面は、全て私がいる中央に向けられていて、反射した光が全周囲から私に照り返される。八枚の鏡が、私と魔女とランプの灯火を映し出す。対になるように設置された四組の鏡同士が、幾重にもお互いの像を映し出し、鏡面の中に無限の空間を投影している。私は、ただ呆然と周囲を見回す。まるで、宇宙空間に投げ出されてしまったかのように錯覚した。
「何……これ……」
半ば無意識に、私の口から言葉がこぼれる。幾重にも映し出された鏡の中の私が、私自身を監視している。
「これから、キアラちゃんの心を、これで試してあげるわあ」
魔女は、鏡の中央に私を残して、腰を振りながら部屋を横切っていく。そして、大きな鏡の一つに身を寄りかからせた。
「この八枚の鏡はねえ。私の魔法で、そこに映し出された者の心を投影して、増幅するのよん。この意味が分かるかしら?」
魔女が私を見据える。私も負けじと睨み返す。
「つ、ま、り。アナタの心に負の感情があれば、映し出されてどんどん増幅されるわあ。それが、卵が孵化するための栄養となるってワケ」
魔女が楽しそうに講釈するが、その目は笑っていない。魔女の目は、獲物を前にした獣の瞳だ。
「逆に言えば……」
私は、言葉を紡ぐ。自分で自分の心を奮い立たせる。
「負の心がなければ……この卵が孵化することはできないってわけねッ!!」
私は、あえて強く言い切った。魔女が、一瞬、きょとんとした表情で私を見つめ返し……そして、笑い出す。
「ウフ。アハハハ! そうよお。そのとおりよお。キアラちゃんッ!!」
魔女は喉元を押さえて、巨大な姿鏡に寄りかかりながら、笑い続ける。
「負の感情がなければ、私の卵は成長できない……いずれ餓死してしまうわあ! でも、そんなことがありうるかしらあ!? ウフフ……楽しみねえ……アナタのような気の強い娘を堕とすのが、私の何よりの楽しみなのよん!!」
ひとしきり哄笑を吐いた魔女は、鏡の裏に広がる闇の中に、身を翻す。魔女の姿が、漆黒の中に溶けた。
「せいぜい、頑張ってごらんなさいな!? 可愛い可愛いキアラちゃん!!」
どこからともわからない魔女の甲高い声が、部屋中に反響した。それと同時に、ランプに灯った紫色の炎が大きくなる。合わせるように、鏡面に投射されている私の姿が揺らめいた。ランプの下で力なく横たわる私の姿が、ゆらゆらと揺らめいて消えていく。像が渦を巻いて、目を回しそうだ。そのまま、少しばかりの時間がたつと、鏡の中に全く違った光景が描き出されていく。
「……?」
鏡の内側から、水音が聞こえてきた。暖かそうな湯気が、鏡面に浮かんでいる。壁面には白を基調とした柔らかい色合いのタイルが張りつめられ、見慣れた形のバスタブには入浴剤を添加して黄色になったお湯が満たされている。いつも当たり前に使っているピンク色の洗面器と、友達のナオコちゃんに紹介してもらって使い始めたお気に入りのシャンプーとリンスもそこにある。そこは、私の自宅の浴室だった。
湯気の中から、シャワーノズルを握る手が見えた。鏡面の中の人物が、ノズルから噴き出す湯の滴を止めると、ややおいて、湯気が晴れていく。そこに映し出されたのは、ほかならぬ私自身の姿だった。
『ふう……』
鏡の中の私が、ため息をこぼす。その表情は不機嫌な……と言うよりは、ふさぎ込んでいるような暗い表情だ。私は、ボディソープを流してつるつるになった肌を、不満げな瞳で見下ろしながら、何度も指先でなでている。「はあ……」と再度、落胆の声をこぼした。
『なんで……』
悲しそうな表情の私が、小さく口を動かした。聞き取れないほどの独り言をつぶやいているはずなのに、脳裏にはっきりとした声が響く。
『……なんで私の身体って、こんなに子供っぽいんだろう……』
頭に直接再生されているような思念を聞いて、私はドキリとする。
『顔立ちだって、こんなにお子様だし……』
目の前の彼女の悩みは、まさに私が抱いているコンプレックスだった。私の身体は、女子のクラスメイトと比べても発育が遅い。友達と一緒に遊びに行って、私だけ下級生だと勘違いされたこともある。ちょっと背伸びして、こっそりと大人がするようなお化粧を試してみたこともあるが、自分でひいき目に見ても不似合いで、ひどくショックを受けて落胆したものだ。
私の心臓が、早鳴る。ささやかな悩みであっても、眼前に突きつけられた劣等感は、ナイフのように私の心を傷つける。
「……うぁッ!?」
すると、私の下腹部がぴくんとはねた。背部の穴に潜む異形の卵が、脈動を強めている。心なしか、わずかに膨張したような気さえする。魔女の言葉通り、卵が私のコンプレックスを吸収しているかのようだった。私は自分のへその下あたりを両手で押さえた。努めて呼吸を落ち着けようと試みる。
「あらあらん。ずいぶんと可愛らしい悩みを持っているのねえ!」
私が心を静めようとするのをかき乱そうと、魔女の嘲りがどこからとも響く。私の心音が乱れ、直腸の底で異形の胎動が力を増す。私は頭を振った。そのまま顔を上げると、無理矢理笑う。我ながら、ひきつったひどい笑みだと思うが、それでも笑う。
「これくらいの悩み、年頃の女の子なら誰でも持っているものだと思うけれど!? 魔女の魔法の儀式といっても、この程度のことしか写せないなんて、大したことないわね!!」
お腹に力を込めて、どこにいるともわからない魔女を怒鳴りつける。鏡の向こう側の闇から、耳障りな含み笑いが聞こえてくる。
「ウフフ……言ってくれるじゃないの、キアラちゃん……それなら、何でアナタがそんなコンプレックスを持つようになったか、大元を写してあげようかしらあ」
魔女の声が消えると、鏡の中の像がグニャリと歪む。鏡像は、渦巻き模様を描きながら、新しい映像を描き出していく。
再び、鏡面に映し出された場面は、先ほどまでの浴室と比べると薄暗い。左手側には下り階段がある。正面には扉が一つ、その右側にもう一つの扉。右手側の突き当たりは直角に曲がっている。床は茶色のフローリングといった造り。浴室同様、見間違いのない光景が浮かび上がっている。私の自宅、二階の廊下だった。目の前の部屋は兄の部屋で、右手側の隣室が私の部屋になっている。兄の部屋の前に、鏡の中の私がいた。
何をしているのだろう。兄の部屋の前に立つ私は、妙に落ち着かない。そわそわと同じところを行ったり来たり、あるいは目の前のドアをじっと見つめたりしている。挙動不審な自分自身を映し出され、つられて見ている私の不安な気持ちになってくる。いったい、この私は何をしているのだろう? 私は考えをめぐらした。
そのとき、目の前の扉からわずかに談笑する声がこぼれた。兄の声だけではない。もう一人、若い女性の声が混ざっている。私は、一瞬、息を止めて沈黙した。同時に、鏡の中の私が、小さなため息をついている。私は、自分が兄の部屋の前で何をしているのか理解する。部屋の中の様子を、どうにかして伺おうとしていたのだ。
『お兄ちゃん……』
鏡像の内から、今にも泣き出しそうな心の声が頭に響く。心音が早鳴り、息が苦しくなる。
数年前、兄に恋人ができた。長い栗毛の髪が綺麗な、優しい女性だった。名前を、ユリカさんと言った。スタイルが良く、知的な彼女は、私から見ても素敵な女性で、兄とはお似合いのカップルだった。それのに、私は兄がその人とつきあい初めてから、明らかに不機嫌になった。
たいていの場合、兄がユリカさんを家に連れてくるのはまれだった。当然、私や家族に気を使っていたのだと思う。それでも、兄がデートに出かけている間、私はいつもふさぎ込んでいた。たまに、兄が家に彼女を連れてきた日には。私の心は雨風が吹き荒れたようになって、兄の部屋の前を意味もなくうろうろした。
鏡の中で、ドアノブが内側から回される。部屋の中から、兄と彼女の姿が現れる。私は必死に、偶然その場を通りかかった風を装う。ユリカさんが「こんばんは、キアラちゃん」と優しく声をかけてくれる。彼女の身体も精神も、私とは対になるように大人びて成熟していた。それが妬ましくて、そんな感情を抱いてしまうことが悔しかった。
『お兄ちゃんと、別れてくれればいいのに……』
映し出された私の心のつぶやきが、ぞっとするような冷たい言葉となって鏡の外に響きわたる。私の罪を審判するかのように、腸管の奥に根付く異形の卵が大きく跳ねる。一度は鎮まりかけた化け物の拍動が、再び激しさを増す。私は思わず、目をそらした。しかし、八方の鏡に映し出された像が、目をそらした私の前に突きつけられる。目の前の光景を否定したかった。だが、できない。何故なら、それは真実だったからだ。
「あらあらん? お兄ちゃん想いの優しい、優し〜いキアラちゃんが、どうして、そんなこと考えているのかしらあ。気になっちゃうわあ」
わざとらしい魔女の嘲りが聞こえる。私は、それどころではない。必死に耳を押さえて、目をつむる。
「もう、やめて! お願い、許してッ!!」
私の頬を生暖かい筋となって、涙が流れる。あろうことか、私は兄の幸せとは真逆のことを祈ったのだ。しかも、さらに恐ろしいことに、二人はその後、別れたのだ。ユリカさんが遠くに転勤になり、兄も職場で重要なプロジェクトを任され、お互いが忙しくなったのがきっかけだと聞いている。でも、私の昏い願いが叶ったかのようであり、同時に私は二人の別離に安堵していたのだ。
耳を押さえても私の声が脳裏に繰り返し響き、鏡面の映像がまぶたの裏に鮮明に浮かび上がる。直腸では異形の肉塊が、とどまることのない脈動を刻み、その大きさを膨張させている。呼吸が乱れ、自ら心を鎮めることもできない。私は悶えながら、その場に突っ伏した。
「ウフフッ! まだ終わりじゃないのよお、キアラちゃん!! 今度は、何故、お兄さんのシアワセを願えなかったのか、その理由を映すわよん!?」
顔を伏せても、頭上のランプが激しい輝きを放つのがわかった。四方八方の鏡が、まばゆい閃光を反射して、まぶた越しに私の眼球を貫く。頭を振って、力なく拒絶するが、無意味だ。私の網膜に、直接イメージが像を結んでいく。
映し出されていくのは、ごく最近の記憶だった。薄汚れた壁、消えかかって目に触るような点滅を繰り返す蛍光灯、すえたアンモニアの臭気が充満していることすら伝わってくる。私がいるのは、深夜の公園の公衆トイレだ。女子トイレの個室の鍵を閉めて引きこもり、スカートの内側に手をはわせる。間もなく、灰色の閉鎖空間に身を潜ませる私は、甘いため息をこぼし始める。指先は、スカートの内側でうごめいている。
『はぅ……あぁ……お兄ちゃん……んんっ!』
小さく、それでいてはっきりと私の声が響く。ついさっき、私が魔法少女へと変身して飛び立つ前……お兄ちゃんんの目を忍んで、興じた痴態がまざまざと突きつけられる。目も耳もふさいで五感を遮断しているつもりなのに、逃れることが叶わない。
「いやああぁぁぁッ!!」
私は絶叫する。兄を想像しての自慰行為は、今に始まったことではない。誰に教わるでもなく一人で戯れることを覚えてから、少しして、いつの間にか空想上のお相手は兄ただ一人となった。両親が海外に行って、兄と二人きりで暮らすようになってからは、なんだか気恥ずかしくて、それでも我慢することはできなくて、夜の公衆トイレのような人気のない閉鎖空間で自らを慰めるようになった。
「アハハッ! キアラちゃんったら、なんてことしているのかしら!? 実の兄とそんな関係になってはイケナイってこと、知らないわけではないんでしょお!!」
魔女の声が響く。そうだ。私は、正義の魔法少女だと名乗りながら、禁じられた欲望を律することもできていない。それどころか、自らの独占欲のために、大好きな兄の不幸すら願ってしまった。私の心に負の感情が浮かび上がる。応じて、直腸にいる卵が、沸騰しているかのようにうごめいている。
「ごめんなさい……ごめんなさい! もう、許してッ!!」
私は激しく頭を振りながら、叫ぶ。目尻からあふれる涙が、あたりに飛び散る。
「ウフッ……可哀想なキアラちゃん……」
そのとき、背後から声がかけられた。私の肩に、細く長い指がそっと置かれる。魔女の指だった。魔女は、耳をふさぐ私の手をそっと除けると、耳元に厚い唇を近づける。魔女の吐息が、耳たぶをくすぐる。
「でもねえ……そんなに悲しむこともないのよお……」
先ほどまでの嘲りとは裏腹に、優しく語りかけてくる魔女の声が耳の奥へと染み込んでいく。
「キアラちゃんの気持ち……この私が、ミダラお姉さまが受け入れてアゲル」
鋭利な刃物で切りつけられたようだった心の痛みが、麻酔でもかけられたかのように軽くなっていく。私の全身から力が抜けて、ぼんやりと眼を開いた。
「ウフフ……見えるかしら、キアラちゃん?」
魔女が、私の頬に手を添える。八方の鏡には、もう幻影は映されていない。魔女に身を抱えられた今、この瞬間の私が映し出されている。その私を包み込むレオタード型のインナーウェアが、純白からくすんだ黒へと変色し始めていた。
「なに……これ……」
私ののどから言葉がこぼれる。ただ、不思議と恐怖感はない。むしろ、妖しい期待感が胸中に渦巻いているのが感じられる。
「ウフ。キアラちゃんの、心が解放されつつあるのよお。正義という檻から解き放たれて、自由に欲望に身をゆだねるようになるの……」
私は、ぼんやりと魔女の言葉に耳を傾ける。
「どうすれば……いいの……?」
私の虚ろな問いかけに、魔女がクスリと笑う。
「簡単よん。願えばいいの……」
「……願う?」
「そうよお。アナタが、いつも魔法少女に変身するときのようにね。さあ、やってご覧なさい? 『邪悪な魔法よ。私の欲望を、カタチに変えて』ってね」
私は、こくんと頷くと、ゆっくりと肺に空気を吸い込んだ。
「……邪悪な魔法よ……私の欲望を……カタチに変えてッ!!」
私は、息を吐き切るつもりで叫ぶ。その瞬間、私の身体の奥底で何かが跳ねる。鏡越しに、魔女がにやりと笑うのが見えた。
「あぅ!? あ……ぁ……ああぁぁぁッ!!!」
私は背筋をのけぞらせて、絶叫する。お尻の内側が、溶岩を流し込まれたみたいに熱くなる。熱病に冒されたみたいに、全身が大きく震える。息を吐き切ったはずの肺が、さらに中身を吐き出そうとして軋みをあげる。
「あああぁぁぁぁぁーッ!!?」
ずにゅり、と音を立てて、私のお尻の排泄孔から何かが這いだしてきた。紫色にぬめる大蛇のようなそれは、野太い触手だった。腸内に根付いた異形の触手は、魔女と同じように、尻尾のように私に生えている。黒く染まったレオタードは、いつの間にか自らの構造を造り変えて、触手の尻尾を外に導き出す小さな穴をお尻の部分に作り出していた。
さらに次の瞬間、漆黒の旋風が巻き起こる。闇の風は、布の帯のように私の身体を包み込む。闇に包まれたはずなのに、私の胸は異様に熱くなっていく。
「あ……はあ……っ」
やがて、私を包み込んだ闇がはれていく。私は異様に清々しい気分に満ちて、立ち上がった。全身に熱くたぎるような活力があふれている。その身体を、今までとは全く異なる衣装が包み込む。新しくなった私の姿を周囲の鏡が映し出す。
漆黒と赤紫の色を基調として、大胆に胸元が開かれたボンデージドレスは、私の肩と鎖骨をむき出しにしている。マイクロミニのスカートは、その裾が短すぎて、少し動くだけで内側のハイレグレオタードのインナーが見えてしまう。以前の私のトレードマークだった腰の大きなリボンはそのままだが、色合いは漆黒の闇の色へと変わった。そのすぐ下には、スカートをまくりあげるように異形の尻尾が生えている。手と脚を覆うのは、黒光りするブーツとロンググローブ。首元にも黒革の首輪が巻き付き、顔には濃いメイクが施されている。
「うふ……」
私は、鏡に向かって微笑んでみた。顔に、男を惑わすことのみに徳化した妖しい笑いが浮かび上がる。私が、こんな娼婦のような笑いができるなんて思わなかった。
「ウフフ。キレイよ? この私の可愛い使い魔、兼、忠実な魔女の弟子……堕落魔法少女キアラちゃん!!」
魔女が私の身体をなめるように見回しながら、声をかける。
「ぁ、ありがとうございますぅ……」
「私のことは、『ミダラお姉様』とお呼びなさい?」
「はいっ! ミダラお姉様!!」
私は、ミダラお姉様の元に歩み寄る。お姉様は、すっと私の前に手を差し出す。
「さあ、誓いの言葉とキスをなさい……」
「あぁ……はい! 私、キアラは、魔女ミダラお姉様の使い魔、兼 弟子として……お姉様と自らの欲望に、絶対の忠誠を持って生きることを誓いますッ!!」
私は、迷いも淀みもなく宣誓の言葉を述べて、魔女の掌にキスをする。ミダラお姉様が満足げに微笑んだ。
「ウフフ。イイ子ねえ、キアラちゃん。お姉様が、アナタとお兄ちゃんを結んであげるから、安心しなさい?」
「あぁ、お姉様……ありがとうございます、ありがとうございますぅ……」
「さぁ、今は女同士で楽しみましょうねえ」
ミダラお姉様が私を抱き寄せると、私たちは、今度は唇を重ね、咥内を貪りあうディープキスを味わう。
「んちゅ。ぷは……あぁん……お姉様のキス、最高ですぅ」
「あらん。まだ、ほんの前戯なのにメロメロになっちゃってえ。魔女の弟子になるとねえ、こういう楽しみ方もできるのよん?」
そういうと、お姉様は私に生えた尻尾の鎌首を掴んだ。
「ふあっ!? あ……ぁんっ!!」
とたんに、私の全身に快楽の電流が走り巡る。
「どうかしらあ? この尻尾は、感度抜群の性感帯でもあるのよん。ウフッ。これを、こうして……」
ミダラお姉様は、自らのボンデージの股間部分をずらすと、そこへ私の尻尾の先端の押し当てる。お姉様の、熱く熟れきった女性器の味は、尻尾の性感と混じり合って私の脳を満たしていく。
「あはん! キアラちゃんのが、私の中に入ってくるわあ……ウフフ。なかなかにたくましくって素敵よお」
「ミダラお姉様の中も……熱くって、気持ちイイですぅ!」
「あぁ、もう……キアラちゃんが可愛すぎて、我慢できなくなっちゃうわあ」
お姉様は、惚けた表情で感極まったような声をこぼす。快楽に揺れる私は、次の瞬間、突然の衝撃に貫かれる。お姉様の尻尾が、私の秘裂を貫いたのだ。お姉様の尻尾の亀頭が、私の膣壁の粘膜を狂ったようにえぐり、その度に私は身悶える。お姉様の内側に締めつけられる感触と、お姉様に私の内側をえぐられる感触が重なり合い、相乗効果となって、響き渡る官能が何倍にも膨れ上がる。
「あぁッ!? お姉様……ッ!!」
「んふ。どうかしら。あふん! これが……魔女同士の交わりなのよお!!」
「あん! すごいですぅ……信じられないくらいですぅ!! あ……何か、キちゃう……私、イッてしまいそうです!!!」
「私もよお、キアラちゃん……一緒に、イキましょうねえ!!」
「ふぁい……あッ! ああぁぁッ!!?」
私の内側にお姉様のたぎる粘液が注ぎ込まれる。それと同時に私の尻尾の先端が張りつめて、信じ難い解放感とともに、そこが爆発する。自らの中を満たされ、同時に相手の内を満たす未知の快楽に、私の脳髄は真っ白に染め上げられ、肉欲の充足に耽溺していった。
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