余生をのんびりと過ごしていた「安平」=2009年6月29日、宮崎県高鍋町の県家畜改良事業団、阿部彰芳撮影
笹森さんは「(安平には)余生をのんびりと過ごしてほしいと思っていたのに……。口蹄疫への政府の対応の遅れで感染が拡大し、安平の命まで奪われることになった。残念だし、悔しい……」と声を詰まらせた。
安平を生後約240日まで育てた宮崎市佐土原町の畜産農家、永野正純さん(61)は「何と言ったらいいのか分からないくらい悲しい。宮崎の畜産業のレベルを飛躍的に向上させてくれたのに。あれほどの牛はもう生まれない。種牛はもう6頭だけ。宮崎の畜産は立ち直れないのではないか」と悔しそうに話した。(松井望美、石田一光)