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口蹄疫、伝説の種牛「安平」も殺処分に 農家「悔しい」(1/2ページ)

2010年5月17日14時42分

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写真:余生をのんびりと過ごしていた「安平」=2009年6月29日、宮崎県高鍋町の県家畜改良事業団、阿部彰芳撮影余生をのんびりと過ごしていた「安平」=2009年6月29日、宮崎県高鍋町の県家畜改良事業団、阿部彰芳撮影

 「宮崎牛」ブランドを支える種牛を一括して管理する宮崎県家畜改良事業団(同県高鍋町)で、家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)の疑いのある肥育牛が見つかったため、同事業団で飼われていて殺処分されることになった種牛49頭の中に、全国の畜産関係者の間で「伝説の種牛」と呼ばれている「安平(やすひら)」も含まれていた。人間にすると約100歳にあたる21歳。種牛としては引退し、同事業団で余生を送っている。安平の精液から人工授精で生み出された子牛は約20万頭にのぼり、精液は今も冷凍保管されている。

 安平の両親はともに兵庫県の但馬牛の血を引く、「スーパー種牛」と名をはせた「安福」(宮崎県産)と、「スーパー母牛」と言われた「きよふく」(岐阜県産)で、宮崎県内で人工授精され、同県佐土原町(現・宮崎市)で1989年4月12日に生まれた。

 他の種牛と比べても若い頃から精液の質が高く、頭角を現し、評判が広がった。

 多くの種牛は引退とともに処分されるが、宮崎県の畜産業に非常に貢献した「安平」は、最期まで飼い続けようと、同事業団で飼育が続けられていたという。残された精液は「貴重な遺伝子資源」として、今後も、品種改良や研究に活用される。

  同県国富町で肉牛約220頭を飼育する畜産農家の笹森義幸さん(47)も「宮崎牛ブランドを支えてくれた宝」とその存在の大きさを語る。

 笹森さんは、高品質の肉牛を育てていることなどから、1998年度に農林水産祭で内閣総理大臣賞を受けた経験がある。そんな農場経営を支えたのが「安平の子どもたち」だったという。

 笹森さんは「(安平の子どもには)モモまでサシが入り、無駄な肉が少ない。すばらしい肉質の子どもが生まれる」と、安平の力を語る。

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