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「補償内容が不明確」 農家や首長、国に苦言
(2010年5月29日付)
国による家畜の強制殺処分や補償を盛り込んだ口蹄疫対策特別措置法が28日、成立した。しかし、行政や農業関係者からは「補償内容が不明確」「国の動きは遅い」と、歓迎ムードとはかけ離れた声が相次いだ。
現在の防疫対策は1951(昭和26)年制定の家畜伝染病予防法(家伝法)に基づいているが、埋却地確保や補償の面で「実情に合わない」との批判が根強かった。東国原知事は「家伝法は個人の責任が前提。(特措法は)国の関与、責任で対策をしていただくということで非常によかった」と感謝しながら、「補償は全額国庫負担と言っていない。読み込むと、地方負担が出てくる可能性も懸念される」と不透明な財源を指摘。
詰めの甘さに苦言を呈するのは川南町の内野宮正英町長。「埋却、消毒費用や生活支援の面で市町村や農家の目線からかけ離れた個所がある」と話す。JA宮崎中央会の羽田正治会長は「補償額の具体的な算出基礎が明らかになっていない」として、農家に対し納得いく説明を求めた。
特措法には飼料業者や食品加工業者など、農家以外への支援策も。しかし、1カ月で6、7千万円の餌代が回収できず困窮する川南町の飼料業者は「金融機関の審査基準が高く、融資を受けられるのか疑問。打撃を受けた業者は多く、1千億円の予算規模で十分なのか」と話した。
飼育している種雄牛6頭についてワクチン接種を拒否している高鍋町の三共種畜牧場代表・薦田長久さん(72)は強制的な殺処分について、「犠牲の精神でワクチンに同意した農家が複雑な気持を抱えている中で、国の権力を強化したことには納得いかない」。
飼っていた繁殖・肥育牛約520頭の殺処分を27日に終えたばかりの新富町新田の壱岐浩史さん(48)は「ゴールデンウイーク前から一般車両の消毒も徹底していれば、うちの牛は感染しなかった。国の対応は遅すぎる」と語気を強めた。