「安平」血引く種雄牛候補の提供検討 政府

(2010年5月27日付)

 政府は26日、独立行政法人家畜改良センター(本部・福島県)が所有する宮崎牛系統の種雄牛候補の一部を県に提供する検討に入った。今後、県の要請に応じ、譲渡頭数などを調整、畜産の復興を支援する。県家畜改良事業団(高鍋町)の種雄牛49頭について、県は殺処分回避を要請したが、国が特例を認めなかった経緯がある。今後、西都市に避難している残るエース級5頭にも感染が広がれば、種雄牛消滅も懸念されている。

 同日の参院本会議では、県選出の外山斎議員(民主党・新緑風会・国民新・日本)らが49頭を経過観察とすることなどを求めたのに対し、鳩山由紀夫首相はあらためて特別扱いはできない旨を発言した後、「国が保有している種雄牛の提供など、できる限りの支援をしていきたい」と配慮を見せた。

 農林水産省によると、同センターは、本県が生んだ名種雄牛「安平」の血を引く種雄牛候補を小林市の宮崎牧場などで8頭保有。正式な種雄牛になるにはあと1回種付けの試験が必要だが、農水省関係者は「一から育てるよりはるかに早い」と指摘している。

 政府の口蹄疫現地対策チーム(本部長・山田正彦農水副大臣)の小川勝也首相補佐官は26日、県庁で会見し、「県から要請があれば、協力する用意がある。ブランドの復活へ最大限協力したい」と述べた。

◇家畜改良センター 日本古来の多様な種牛や種豚などの保存や改良を行う独立行政法人。地方自治体や民間の場合、肉質の良さなど市場のニーズを追求する傾向があるため、特定の種に人気が集中し、近親交配が進んだり、口蹄疫などの伝染病が広がるリスクがある。このため、センターでは遺伝的な多様性の維持や病気への耐性などを目的に品種改良に取り組んでいる。