予算規模1000億円 特措法28日成立

(2010年5月27日付)

 本県の口蹄疫問題で、衆院農林水産委員会は26日、ワクチン接種後などの家畜の殺処分を国や都道府県が強制的に行えることを柱とした「口蹄疫対策特別措置法案」を全会一致で可決した。27日に衆院本会議、28日に参院本会議で可決し、成立する見通し。即日発効する。初動の遅れが感染拡大につながったとの批判がある中、国が主導して防疫措置を講じられるようにするのが狙い。法案は民主、自民、公明3党の合意を基に委員長提案として提出された。

 法案は、殺処分した家畜は生産に要した費用も含めて国が補償することや、これまで各農家が確保することと規定されていた殺処分後の埋却用地を、国や自治体が用意することも盛り込んだ。

 関連する予算規模は約1千億円に上るとした。

 農相が指定する地域内では一般車両にも消毒を義務付けるほか、感染家畜の判定を当該地域内で行えるようにするなど、防疫措置の強化も規定。

 被害を受けた畜産農家に対し、必要な税制措置を講じることや、家畜の移動禁止措置などで生じた損失を国が補償することも定めた。地域全体の経済再建に充てる基金の設置など、地域経済への支援策も盛り込んだ。

 2012年3月末までの時限立法。今国会での家畜伝染病予防法改正は見送り、12年の期限までに同法を抜本的に見直すとした。

 今回の口蹄疫で政府は、感染の広がりに歯止めがかからないため、国内で初めて健康な家畜にもワクチンを接種し、感染拡大を抑える方針を決定。接種後の家畜は埋却の準備が整い次第、殺処分する。

 家畜伝染病予防法はワクチン接種を義務付けているが、その後の殺処分は規定がなく、実効性が問題視されていた。

 赤松広隆農相は、口蹄疫問題の現状を把握するため、30日に宮崎県を再び訪れる方向で調整している。

【写真】口蹄疫対策特別措置法案を審議する衆院農水委=26日午後