県、埋却地買い上げへ 作業迅速化向け

(2010年5月26日付)


 口蹄疫で殺処分対象の家畜が14万頭を超え、選定が難航している埋却地を確保するため、県は25日、県農業振興公社による埋却地の購入を決めた。これまで、埋却地は感染疑いが出た農場主が所有地のほか購入や賃借で確保しており、埋却作業の遅れにつながっていた。県は土地確保を円滑化させ、作業の迅速化につなげたい考え。

 県ではワクチン接種後に殺処分される家畜を含めた約30万頭分、50〜70ヘクタールの埋却地が必要になると試算。公社は農地を購入するが、土地確保の交渉には関与せず、従来通り家畜の飼い主か自治体が探す必要がある。農場側が土地を確保し、家畜を埋却した後で買い上げる。

 既に家畜を埋却した農地約11ヘクタールについても、所有者が売り渡しを希望する場合、公社が買い上げる。

 埋却地買い上げには国の農地保有合理化事業を活用。児湯地域の場合、農地平均価格は10アール当たり64万円で、国の食料安定供給特別会計から、最大で4億6千万円を無利子で調達する。埋却後に3年間は掘り返すことが禁じられるが、その後に土壌改良や草地造成を行い、農地として売却。償還に充てる。

 県は25日、殺処分の家畜が発生する市と町を中心に、5市8町の担当課長を県庁に集めて説明した。

 埋却地確保を巡っては、県立農業大学校(高鍋町)の敷地を無償提供する案も浮上していたが、東国原知事は「既に自分で土地を確保した農家との平等性を考えないといけない」と述べるなど、調整に苦慮していた。

 24日現在で、埋却地を確保できたのは殺処分対象の家畜14万5358頭に対して、74%に当たる10万7千頭分。県のまとめでは、川南町では感染疑いの確認から埋却終了までに10日以上掛かったケースも多く、処分を待つ間に家畜がウイルスを排出し、感染拡大につながっているとの指摘もある。