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朗報にも関係者は複雑 えびの清浄性確認検査
(2010年5月25日付)
えびの市で1例目の口蹄疫感染が確認されたのは4月28日。以降、懸命の防疫対策を進めたが、今月5、11日とほぼ1週間置きに感染疑いが発生し、関係者を落胆させてきた。
検査初日の24日、作業に当たる獣医師らを送り出した市畜産振興室の押川国智室長は「ようやく一歩踏み出せてほっとしている。ここまでが長かった」と吐露。安堵の裏には、沈静化傾向でワクチン接種の対象から外れたものの「新たな発生が出れば分からない」との危機感もあり、かたずをのんで対策に当たってきた実情がある。
清浄化へ向けた動きは農家にとって待ちに待った朗報だが、心境は複雑。抗体検査の対象となった牛の肥育農家の20代男性は「検査結果を見ないと安心できない。陰性と願っているが、ウイルスは目に見えないもの。どこにこもっているか分からない」と今なお不安を募らせ、「逆に検査開始でみんなが『良かった』という気持ちになると怖い」と話した。
また、制限が解除されたとしても平穏な日常ははるか遠くに思える。「清浄化しても競り市は中止されており、多くの種牛も殺処分される。今後どうなるのか先が見えない。これから先が大変だ」と牛の繁殖農家の男性(44)。
市畜産振興会の稲泉元司会長(61)は「(児湯の状況は)本当に深刻。えびのだけが清浄化しても意味がない。県全体で収まっていかなければ、安心できる状況でない」と切実な思いを語った。
【写真】清浄性確認に使う検査キットを準備する獣医師たち=24日午前、えびの市