種雄牛49頭は処分 政府、特例認めず

(2010年5月25日付)

 口蹄疫問題で政府・現地対策チーム本部長の山田正彦農水副大臣は24日、農水省で記者会見を開き、本県が経過観察への処分見直しを求めている種雄牛49頭について、当初の殺処分方針を変えず、鳩山由紀夫首相の了承を得たことを明らかにした。これを受け、東国原知事は「本県だけでなく、日本畜産界の宝」と述べ、あらためて救済を要望していく考えを示した。

 山田副大臣は会見で「家伝法(家畜伝染病予防法)に従い、当然直ちに処分しなければならない。今でも生き残っていることは許されない」などと述べた。

 49頭は県が県家畜改良事業団(高鍋町)で飼育。殺処分されると、県所有の種雄牛は西都市に避難しているエース級の5頭だけとなる。本県和牛ブランドを守るため、特例措置で「助命」を求める県に対し、口蹄疫の封じ込めを優先させる判断となった。

 一報を受けた東国原知事は「残念。種雄牛という特殊性をかんがみていただきたい」と不満。その後、「政府はこういう方針でと言うが、われわれは何とかならないかという気持ちを持っている」と粘り強く交渉していく構えを見せた。

 山田副大臣は会見で、避難中の5頭にも言及。「殺処分の対象と考えているわけではない」と述べ、経過観察を続ける方針を示した。一方で、避難先で1頭に陽性反応が出て殺処分されたことから「感染の可能性は高い」と指摘。「(感染疑い)2頭目が出れば、その時点で大臣に相談したい」と語った。

 同事業団では14日に肥育牛の感染疑いが判明。同じ敷地内で飼育されていた種雄牛49頭について、県は管理者が肥育牛とは異なるとして殺処分回避は可能と考えていたが、国は「同一農場」との見解を崩さず、殺処分を決定した。県は周辺地域での急速な感染拡大により殺処分が追いつかないことなどを理由に、49頭の処分を24日現在も行っていない。