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【ドラニュース】


堂上弟「やっとスタートラインに立てた」

2010年6月19日 紙面から

巨人−中日 8回表1死、堂上直が中前にプロ初安打を放つ。捕手阿部=東京ドームで(由木直子撮影)

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 こんな戦いぶりで、巨人追撃と言っても、笑われるだけだ。18日の巨人戦(東京ドーム)、中日は巨人の先発内海にわずか2安打、無得点に抑えられ、リーグ戦再開初戦、0−5で完敗した。これで借金生活に逆戻りし、巨人とのゲーム差は7に広がった。救いは堂上直倫内野手(21)が8回、記念のプロ初安打を記録したことだけだった。

 苦節4年。遠回りはしたけど、やっと出た。堂上直のプロ初安打。チームが完敗しただけに笑顔を浮かべることはなかったが、言葉の端々に喜びがにじみ出ていた。

 「出ましたね。スタメンで使っていただいで、どうしても結果を残したかった。思い切っていこうと思っていました」

 5点を追う8回1死、カウントは1ストライク2ボール。巨人先発の内海の135キロを振り抜いた打球はツーバウンドでセンターに到達した。「まっすぐかカットボールです。打った瞬間、ヒットだと思いました」。下半身の違和感で離脱した井端に代わり、7番二塁でスタメン出場。2回の守備では併殺も取った。

 3球団の競合の末、高校生ドラフト1巡目で07年に入団したが、なかなか芽が出なかった。一方で同級生で巨人の坂本や楽天の田中らが次々に開花していく。焦りそうな心を支えてくれた言葉がある。「自分が一番うまいと思え」。元中日投手でもある父の照さんがつくった堂上家の家訓。自信を持ち、前だけを見ることができた。だから記念のボールは実家に送る。「支えてくれた親に渡します」と言った。

 首脳陣も入団からずっと親のように親身になって指導してくれた。16日の試合後も落合監督、石嶺打撃コーチらが1時間も特打につきあってくれた。グリップの位置を下げるよう助言された。「いろいろなボールに対応しやすいように」と石嶺コーチ。堂上直は「支えていただいたおかげで、しっくりきています」と感謝は忘れなかった。

 「1本出たって、そういう問題か? おれがデビューしたところと同じところから始まってるということになるけど、レギュラーを取るか取らないかは本人次第だ」と落合監督。初安打に満足せず、さらなる活躍に期待した。くしくも指揮官もこの日の堂上直と同じく、プロ2度目のスタメンで結果を残した。ロッテ時代の79年5月31日の南海戦で初本塁打となる3ランを放ち、レギュラーへの足がかりにした。

 「やっとスタートラインに立てた。頑張ります」と堂上直。敗戦のなかに見えた小さな光。周囲への感謝を力に変え、巻き返しを目指すチームの大きな光になってみせる。 (清水裕介)

 

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