種雄牛49頭救済認めず 山田副大臣

(2010年5月24日付)

 政府の口蹄疫現地対策チーム本部長・山田正彦農水副大臣は23日、県庁で記者会見し、県家畜改良事業団(高鍋町)の種雄牛49頭の救済措置について、「殺処分しなければおかしい。相談する余地はない」として、認めない考えを示した。西都市尾八重に避難している主力5頭については、「大臣と協議する」としている。

 種雄牛49頭は本県種雄牛の次世代主力候補。市場評価が高かった「忠富士」に感染疑いが判明して殺処分され、ブランド和牛の血統維持がさらに厳しくなったため、東国原知事が22日、救済措置を国に求める方針を明らかにしていた。

 49頭は現在も口蹄疫の症状が確認されていないが、山田副大臣は「いまだに殺処分されていないことに驚いている。知事の思いは分かるが、民間でも種牛を持っており、民間まで特別扱いしてほしいということになれば、ワクチン接種などできない。すぐに殺処分してほしいと県には22日に指示している」と話した。

 「忠富士」と同じ農場内に避難している主力5頭については、「本来ならば許されないが、住民の同意や感染が確認されていないことなどを条件に、大臣が特別に承認している」とした上で、「(今後の対応は)東京に持ち帰り、大臣と協議させていただきたい」と述べた。

 一方、JA都城の和牛生産部会(井ノ上廣實部会長)は23日、役員ら4人で県庁を訪問。河野俊嗣副知事に部会員と家族ら6310人分の署名を提出し、49頭の救済を要望した。井ノ上部会長(71)は「種雄牛は生産農家の宝であり、命でもある。川南や都農など児湯の農家が再起できたときに、種雄牛が残っていないと希望がない。佐賀牛や松阪牛を生産する県外のためでもある」と訴えていた。