主力種雄牛1頭を処分 5頭は経過観察

(2010年5月23日付)


 県は22日、口蹄疫の感染拡大を受け、西都市に避難させていた種雄牛6頭のうち「忠富士」の感染疑いを確認したと発表した。6頭の精液は県家畜改良事業団(高鍋町)が県内一円に供給する和牛の人工授精用ストローの9割を占め、本県ブランドに絶対不可欠な存在。県は同日、忠富士を殺処分、埋却し、残る5頭は1週間の経過観察に入った。仮設牛舎から半径10キロの移動制限区域を設定する。

 県口蹄疫防疫対策本部(本部長・東国原知事)によると、19日に採取した検体を動物衛生研究所海外病研究施設(東京)で遺伝子検査し、21日未明に陽性反応を確認。20日採取の検体を再検査し、22日未明に陽性を確認した。

 ほかの5頭については、これまでの検査で陰性反応が出ており、農林水産省と協議の上、経過観察を決めた。

 6頭は仮設牛舎の独立した牛房で飼育。壁には木製の板が張られていたが天井付近は仕切られていなかった。忠富士は、移送によるストレスで避難当初から興奮状態だったため、5頭と1部屋分(約2メートル)の間隔をおいて飼育していた。

 県は6頭について農水省と協議し、移動制限区域内の同事業団から約20キロ離れた西都市尾八重の仮設牛舎に特例で避難させた。移動が完了した14日午後、同事業団の肥育牛から感染疑いが見つかった。

 県農政水産部の高島俊一部長は「間違いであってほしかった。宮崎ブランドの土台を担う種雄牛だけに誠に残念だ」と話した。