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買い控えなど混乱なし 県内消費者冷静に対応
(2010年5月23日付)
口蹄疫が確認されてから1カ月が経過した。膨大な頭数の殺処分や、対応をめぐる与野党の対立などが全国ニュースでも大きく報じられているが、現段階では県内で買い控えなど目立った動きはなく、消費者は冷静に対応しているようだ。消費生活センターへの問い合わせ状況と合わせ、食や消費生活にかかわる専門家3人に、今回の問題や消費者行動などについて聞いた。
食を含む消費生活全般にわたって相談を受け付けている消費生活センター。宮崎、延岡、都城市に本所、支所のある「県消費生活センター」への口蹄疫に関する電話は、発生から今月20日までで6件にとどまっている。
寄せられた内容は「どんな病気なのか」といった概要についての問い合わせ、「豚肉を食べたが人体に影響はないのだろうか」「牛肉を子どもに食べさせても大丈夫か」など食肉の安全性についての相談のほか、「発生地以外でも精密な検査を」といった要望もあった。
県消費生活センター(宮崎市)の徳山久明主幹(46)は、「(話題の大きさの割に)消費者の反応が思っていた以上に少ない」と実感を口にする。「関係機関やメディアによる発生初期段階からの広報活動の結果、消費者に(安全性に関する)基本的な情報が浸透しているからではないか」と分析している。
落ち着いたら課題や教訓も
南九州大食品健康学科(食品衛生学)・紺谷靖英さん(43)
微生物の観点から見ると、口蹄疫のウイルスは、宿主(ホスト)として人間を選ばない。また、酸によって不活性化する特徴があり、感染した食肉を口に入れたとしても胃酸により死んでしまうと言われている。さらに、感染した食肉は出回らない。こういった根拠で、安全だとPRされていて、消費者もしっかり反応しているように思える。今回の問題は、命は命で支えられているという基本的なことを提起してくれている。少し落ち着いてきたら課題や教訓が浮かんでくるだろう。
多少の価格変動理解してくれる
宮崎市消費者団体連絡協議会会長・出水トシヱさん(83)
私たち消費者は科学的、医学的なことは詳しく分からず、なぜここまで厳格に殺処分が必要なのか、よく分からないまま事態を見守っている。殺されていく牛や豚がかわいそうでかわいそうで。現在、買い控えなど大きな混乱が起きていないのは、当初から問題性がないと発信されていたから。今後、多少の価格変動もあるだろうが、消費者は背景を理解してくれるのでは。風評に振り回されず、生産現場に思いをはせながら冷静に対応していきたい。
おいしい料理で生産現場を応援
宮崎食文化向上委員会主宰・黒木茂喜さん(46)
料理人や食関係の業者、友人らで「宮崎食文化向上委員会」を結成し、県内外のイベントなどで、宮崎の食や、世界の多様な食文化の紹介をしている。宮崎の牛や豚は宝。今回の報道により、料理人や消費者が、生産現場のことを心の痛みとともに知る機会になっていて、応援ムードになっている。料理人としては、素材を生かしてさらにおいしい料理を作り、宮崎の牛や豚のブランド向上に頑張ることで、生産現場を応援したい。
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