角界の賭博問題が、ついに武蔵川理事長(62)=元横綱三重ノ海=の足元に及んだ。武蔵川部屋所属の幕内雅山(32)が賭博行為を認める上申書を相撲協会に提出していたことが18日、相撲協会関係者の話で分かった。野球賭博ではないとみられるが、武蔵川理事長の弟子の賭博関与で、相撲協会トップとしての責任問題に発展する可能性もある。また、すでに上申書の提出が発覚している豊ノ島の師匠である時津風親方(36)=元幕内時津海、境川部屋の幕内豪栄道(24)と豊響(25)が野球賭博への関与を認める上申書を提出していたことも分かった。
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協会トップの足元で賭博行為が発覚した。複数の関係者によれば、雅山が関与したのはマージャン、花札などの賭博とされている。しかし、武蔵川理事長の愛弟子である雅山に関しては、これまでのケースと事情が異なる。折しも武蔵川理事長自ら「協会のうみを出し切る」と宣言した直後。模範となるべき部屋での出来事なだけに、協会の衝撃は大きい。
師匠の武蔵川理事長が管理責任を問われることは避けがたい。過去には、08年に白露山が薬物検査で陽性反応を示して解雇された際、師匠の北の湖理事長(当時、元横綱北の湖)が管理責任を問われて辞任に追い込まれた例がある。
陸奥生活指導部長(元大関霧島)は雅山の賭博について「こっちでは確認していない。(上申書について)言えない」と多くを語らなかった。雅山は、大関琴光喜や幕内豊ノ島らと同じグループに属していたものとみられる。既に野球賭博への関与を認めている協会員と親交が深いだけに、協会には慎重な調査が求められる。
さらに、今回の自己申告方式に疑問の声が上がっていることも判明した。ある幹部は「野球賭博と仲間内の賭け事を同列にすることで、問題の矮小(わいしょう)化を図ったのでは」と指摘。別の幹部も「そうではないと信じたいけど、自分の所にいるから公表しないと言われても仕方がない」と漏らしている。
雅山はこの日の夕方、武蔵川部屋が合宿中の岡山県から帰京。羽田空港で「協会や警察に全部任せているので、僕は何もお答えできません」と話した。当初参加予定だった19日に行われる荒磯親方(元玉力道)の断髪式出席もキャンセル。自宅で事実上の謹慎生活に入るとみられる。
理事長は親方2人に守られるように送迎車に乗り込み、無言で協会を後にした。弟子の不祥事についての説明は、最後までなかった。