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「具体的補償ない」 首長らワクチン接種に難色
(2010年5月21日付)
国が新たな口蹄疫対策として、川南町を中心に発生農場から半径10キロ圏内の牛・豚全頭のワクチン接種と殺処分方針を決めたことなどを受け、川南町など地元2市7町の首長は20日、政府現地対策チーム(県庁)の山田正彦農林水産副大臣と会談した。首長側は「補償内容が具体的に示されていない」として、現状ではワクチン接種に同意を得るのは困難との認識を示した。国は一刻も早い接種へ準備を進めているが、山田副大臣は「地元の同意は得られていない」と述べるなど、ワクチン接種の開始時期は不透明な状況となっている。
対策チームを訪れたのは、児湯郡5町、東諸県郡2町、西都、宮崎市の首長。東国原知事とともに山田副大臣らと非公開で1時間ほど意見を交わした。
終了後、首長らによると、会談では首長側から「報道を見て困惑している」「一方的なのでこちらの話も聞いてほしい」といった意見が出たという。川南町の内野宮正英町長は取材に対し、「対策が地元を無視した形で進められ、不満が広がっている。補償内容も具体的に示されておらず、こういった状況では(農家は)ワクチン接種に同意できない」と国の対応に不満をもらした。
山田副大臣は会談後に会見し、「事前の協議がなかったことは率直におわびした。今後、農家に対する十分な補償を行うことを理解してもらい、ワクチン接種をできるだけ早い時期に行いたい」と理解を求めた。一方で、「地元の同意がなくてもワクチン接種は可能」とも語った。
ワクチン接種は家畜伝染病予防法に基づき、拒否すれば罰金が科せられる。接種後の殺処分は法的根拠が不明確で、実施には農家の同意が必要となる。
政府は同日、対象となる畜産農家に対し、肉専用牛1頭当たり5万9千円、肥育豚1頭当たり1万2千円などの経営再開支援金を支払う方向で検討に入った。
県によると19日夜、ワクチン10万回分が宮崎家畜保健衛生所(宮崎市)に到着。また、全国から新たに増員する獣医師50人のうち、一部が20日に本県入りした。農林水産省によると、接種対象は計約20万5千頭に上り、接種が終わるまで3〜4日かかる見通し。