宮崎県都農(つの)町でウイルス性家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)に感染した疑いのある牛3頭が確認された問題で、県は21日、隣接する川南(かわみなみ)町でも新たに感染した疑いのある牛が2カ所で計9頭見つかったと発表した。どちらも1例目の都農町の繁殖牛農家から約3キロ離れた畜産農家。県はさらなる感染拡大に警戒を強めており、新たに判明した畜産農家を中心に、家畜の移動制限区域(半径10キロ以内)と搬出制限区域(同20キロ以内)を設定した。
県は20日にも都農町の農家を中心に制限区域を設定しており、制限区域が拡大されることになるが、制限区域が宮崎県を縦断する国道10号を“遮断”する形になる事態を考慮。制限区域を通り抜けるだけの家畜運搬車両は、区域内に設けた4カ所の消毒ポイントで消毒をすることを条件に、通過を認める。「肉の円滑な出荷体制を阻害させないため」と説明した。
県畜産課によると、2例目の畜産農家は65頭を飼育。かかりつけ獣医師が20日、「口蹄疫が疑われる牛が6頭いる」と県に通報。県は農林水産省に乳牛4頭、肉牛2頭の検査を依頼。21日朝に遺伝子検査(PCR検査)で陽性と判明したと連絡があったという。県は22日以降、家畜伝染病予防法に基づき、飼育している65頭すべて処分する。また、3例目は118頭を飼育。このうち3頭に検査で陽性反応が出た。
感染が拡大した事態を受けて東国原英夫知事は22日、都農、川南両町役場を訪れて意見交換するほか、消毒ポイントなどを視察する予定という。
=2010/04/22付 西日本新聞朝刊=