宮崎県都農町でウイルス性家畜伝染病の口(こう)蹄(てい)疫(えき)に感染した疑いのある牛3頭が確認された問題で、県は21日、隣接する川南町でも新たに疑似感染牛6頭が見つかったと発表した。1例目の都農町の繁殖牛農家から約3・4キロ離れた畜産農家で、肉牛や乳牛など65頭を飼育しているという。両農家の飼料購入先が異なっており、県は感染拡大に警戒を強めている。
県畜産課によると、畜産農家のかかりつけ獣医師が20日、「口蹄疫が疑われる牛が6頭いる」と県に通報。県は農林水産省に乳牛4頭、肉牛2頭の検査を依頼、21日朝に遺伝子検査(PCR検査)で陽性と判明したと連絡があった。
県は、家畜伝染病予防法に基づき、飼育している65頭すべてを処分する。近隣の農家53戸には電話で聞き取り調査したが異常はないという。
県は20日に最初の疑似感染牛が見つかった都農町を中心に家畜の移動制限区域(半径10キロ以内)を設定。川南町は区域内だった。
県は搬出制限区域(同20キロ以内)も設定し、区域内にある家畜市場1カ所と食肉処理工場1カ所に閉鎖を指示。国道10号沿いなど県内4カ所に消毒ポイントを設けるなどして感染拡大阻止に努める一方で、近隣で疑似感染牛がいないかどうか調査していた。
赤松広隆農相は都内で記者団に「同じ県内、同一地域で見つかったことで、あらためて移動制限区域内で封じこめられるよう全力を尽くす。今のところ肉の売れ行きに影響はないようだが、安心はできない。風評被害が出ないように努力する」と語った。
=2010/04/21付 西日本新聞夕刊=