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中国は05年7月の為替制度改革で、人民元対ドル相場を約2%切り上げ、その後も緩やかな上昇を容認していた。だが、金融危機の深刻化から自国の輸出産業を守るため、08年夏から相場を事実上固定した。自国通貨が安いと、輸出品を割安な価格で他国に売り込める。
しかし、中国製品を大量に輸入する米国にとっては、人為的な為替の固定は、自国産業の収益を悪化させ、貿易赤字の拡大にもつながる。米議会は「人民元の対ドル相場が不当に安く抑えられているせいで、米国企業の競争力がそがれ、米国内での失業増を招いている」と、中国に対して人民元切り上げを求めていた。今回の声明には、6月下旬にカナダ・トロントで開かれるG20サミットを前に、米国の要求をかわす狙いもあるとみられる。