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口蹄疫:経営・雇用を直撃 「農家以外も救済を」 飲食店/牧場/運送 /宮崎

 ◇客来ぬ飲食店--旅館など組合、県議に窮状

 口蹄疫(こうていえき)が、発生地域の畜産農家の経営や雇用に与える打撃が深刻さを増している。牧場を解雇された従業員らは「今後も失業者は増える。国は支援を」と求める。また、県の非常事態宣言(5月18日)から1カ月が過ぎ、イベント自粛などで影響を受けている飲食業者や旅館業者らからも、窮状を訴える声が上がっている。

 口蹄疫問題の影響を受ける県内の飲食業やホテル・旅館業の組合など12団体で作る県生活衛生同業組合連合会と県議会観光振興議員連盟との意見交換会が17日、県庁で開かれた。各業界とも、イベントや会合などが自粛され売り上げが大幅に減少。出席者からは「このままでは事業を続けられるか分からない」と窮状を訴える声が相次いだ。

 意見交換会では、居酒屋やスナックなどでつくる県社交飲食業生活衛生同業組合の菅野隆一理事長が「自分たちの業界は中小・零細がほとんど。客数が大幅に減り、業界そのものが非常事態だ」と危機感をあらわに。県ホテル旅館生活衛生同業組合の植田恒雄理事長は「(県内のホテル・旅館の)ほとんどの宿泊客が半減しており、体力が持たない」と訴えた。

 連合会からの要望で最も多かったのが、借入金の利息の支払いに公的な支援を求める声。元金の返済は金融機関との交渉で猶予できても、利息の支払いは猶予されないためという。また、「公務員の夜の飲食の極端な自粛ムードを解消してほしい」などの意見のほか、口蹄疫終息後に県外から観光客を呼び込む大規模なイベント実施を求める声もあった。【桐山友一】

 ◇牧場で失業者/求人減る運送

 高鍋町のハローワーク高鍋に同町の男性(62)が15日、求人情報の閲覧に訪れた。地元牧場の元パート従業員。牧場の繁殖牛約1000頭が殺処分対象となり、牧場側は6月10日、経営悪化を理由に男性を含む従業員約25人を解雇した。

 妻と2人暮らし。電機メーカーを退職後、5年前に牧場に就職した。牛の餌やりや畜舎の清掃で月約14万円の収入があったが、失業後の収入は厚生年金の報酬比例部分約10万円だけ。今は住民が外出を控えているため妻が営む美容室の売り上げも落ち、出費を減らすため買い物を控えている。男性は「生活は苦しいが、この年齢では再就職も難しい。国は農家だけでなく、失業者や経営悪化した他の業者の救済も急いでほしい」と訴えた。

 宮崎労働局によると、口蹄疫問題に絡む雇用の相談は感染が初めて確認された4月20日以降、11日までに340件に上った。従業員の休業手当に相当する額の一部を助成する「雇用調整助成金」の問い合わせが約6割だが、従業員から「解雇されそうだ」との相談も少なくない。また家畜が殺処分されたことで仕事が減った運送業者などが求人情報の取り下げを申し出るケースもあった。

 口蹄疫発生後、収入が途絶えて従業員賃金の支払いや負債の返済が滞っている畜産業者が出ている。また風評被害による事業への影響もあり「今後、失業者が増える可能性は否定できない」(担当者)と懸念している。【松田栄二郎】

毎日新聞 2010年6月19日 地方版

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