2010年4月23日 20時59分 更新:4月23日 23時4分
「被害者や遺族の無念さ、憤りの強さ、癒やされることのない深い悲しみ。供述調書を読む中で、ひしひしと感じた」。JR西日本の歴代3社長を起訴した指定弁護士4人は記者会見で、「被害者と遺族の思いを胸に刻み、公判に臨む」と意気込みを語った。
先月26日の起訴議決からわずか1カ月。「スタートラインに立てた」と語る一方、公判の焦点である予見可能性の立証などについては、「公判で明らかにしたい」と言及を避け、厳しい表情を崩さなかった。
3被告への事情聴取は時間的な制約から見送った。主任の伊東武是(たけよし)弁護士は「起訴か不起訴か選択の余地がなく、必要ないと判断した。供述より客観的な証拠の積み重ねが重要」と説明。今後も3被告の聴取はしないといい、「難しい事件だが、起訴内容は十分に立証できると確信している」と自信をみせた。
また、診断書を精査し、事故による負傷者数を、前社長の山崎正夫被告(66)の起訴時(昨年7月)に神戸地検が認定した数より8人多い493人とした。地裁には公判前整理手続きを要請し、今後3カ月間は証拠の整理に当たる方針。遺族や被害者への説明会も要望があれば検討するという。
兵庫県弁護士会の乗鞍良彦会長は「公訴時効まで1カ月しかない中、指定弁護士は膨大な量の捜査記録を精査し、職責を果たした。補充捜査の必要性も考えられ、裁判所や検察庁と協議しながらバックアップする」との談話を発表した。【重石岳史、近藤諭】