2010年4月23日 21時43分 更新:4月24日 0時0分
自民党に離党届を提出した舛添要一前厚生労働相、改革クラブの渡辺秀央代表ら参院議員6人が23日、「新党改革」の結成を発表した。代表に就任した舛添氏は記者会見で「日本の一大改革を行いたい」と訴え、政界再編をにらんだ「天王山」として今夏の参院選を位置付けた。ただ、舛添氏が自民党内から改革を唱えて集めてきた世論の期待に、小党の代表となった後も応えられるのか。その展望が見えないまま旗揚げを急いだ結果、政策・理念を先送りしての見切り発車となった。【中田卓二、笈田直樹】
新党改革のメンバー6人がそろった23日の東京都内の記者会見場。バックには党名とともに舛添代表の顔がプロジェクターで大映しにされ、荒井広幸幹事長は「国民の信頼を唯一つなぎ留めているのは舛添要一」と最大限の賛辞を贈った。
露骨な「舛添氏頼み」だが、お粗末なエピソードも生んだ。メンバーの一人は会見後、新党の略称を「ますぞえ新党」で登録すると記者団に明かしたが、代表者の名前が類推される略称は公職選挙法に抵触すると指摘され、後で訂正した。
今回の新党劇は、執行部批判を繰り返して自民党で居場所を失った舛添氏と、参院選後の存続に危機感を抱く改革クラブの思惑が一致したのが発端だ。舛添氏は今月上旬、自民党の要職就任を打診しようとした谷垣禎一総裁を無視する一方で、渡辺氏と水面下の交渉を本格化させた。
舛添氏以外の5人は夏に改選を迎える。舛添氏の知名度に対する期待は大きい一方、過去に郵政民営化など「小泉改革」路線を支持した舛添氏と批判派の荒井氏との政策不一致が懸念された。それでも新党結成を優先した結果、23日に発表された政策は「政・官・業・組合の癒着を断つ」「誰もが参加できる政治へ」「グローバル社会の中での生き残り戦略」などスローガン的な内容が並び、具体論はほとんどなかった。
象徴的なのが消費税。「地方財源化」と「福祉目的税化」を同時に掲げたが、税率の引き上げには触れていない。増大する社会保障費の財源に充てることを考えれば、大幅増税を前提にしない限り矛盾する。郵政民営化には一言の言及もなく、舛添、荒井両氏は会見でこの点を突かれ「(考えは)一致している」と苦しい説明を余儀なくされた。
自民党と改革クラブは国会で統一会派を組み、もともと政策は近い。新党改革は統一会派を解消する方針だが、先に結成された「たちあがれ日本」が「自民党の補完勢力」と批判されたのと同様、政策的な違いを見いだすのは難しい。みんなの党の渡辺喜美代表は「第2、第3自民党ができた」と切り捨てた。
自民党は舛添氏という「ポスト谷垣」の有力カードを失ったものの、同氏に同調する動きが広がらなかったことで一息ついている。選対幹部は「舛添氏は党内にいればこそ(世論の)期待も高かった。いなくなってまとまりが出てきた」とさえ語る。谷垣氏は記者団に「政策面では新味が感じられない。我々と共通のところもある。何のために党を作ったのか明確に伝わってこない」と皮肉った。
先行した新党の側には焦りもにじむ。たちあがれ日本を応援する石原慎太郎東京都知事は23日の記者会見で「最終的には救国戦線というか、連合体が参院選の寸前に生まれていくべきだ」と述べ、乱立する「第三極」勢力の結集を呼びかけた。
代 表 舛添要一(61)=参院比例代表<2>、自
最高顧問 渡辺秀央(75)=参院比例代表<2>(衆<6>)、改
代表代行 矢野哲朗(63)=参院栃木選挙区<3>、自
幹事長 荒井広幸(51)=参院比例代表<1>(衆<3>)、改
政調会長 小池正勝(58)=参院徳島選挙区<1>、自
事務総長 山内俊夫(63)=参院香川選挙区<2>、改
※敬称略、カッコ内は年齢、<>は当選回数、「自」は直近の所属が自民党、「改」は改革クラブ
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