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【富山】

改正貸金業法 きょう施行 債務者支援の強化を

2010年6月18日

各機関連携へ

 上限金利を15〜20%に定めた改正貸金業法が十八日、全面施行される。今回の施行では、借り入れを年収の三分の一までに制限する総量規制を導入。県内でも多重債務問題の解決に向けた対策が進む。だが、収入のない主婦らが借りられなくなって行き詰まったり、ヤミ金に流れる心配があり、支援体制のさらなる強化が求められる。(山田晃史)

 県内ではすでに、自治体や富山財務事務所、県弁護士会、県司法書士会が相談窓口を設けている。完全施行を受けて、県弁護士会が二十三日に特設電話を設けて無料相談に応じる。県や県弁護士会、県司法書士会、富山財務事務所などでつくる「多重債務者対策協議会」は二十九日に、相談の連携強化を目指して話し合う。

 県消費生活センターによると、昨年度の金融相談は九百八件で減少傾向だが、完全施行を前に「年収の三分の一を超えている借入額を、十八日までに返さなければならないのか」といった相談が、この二〜三日で増えているという。

 一方、日本貸金業協会は「総量規制を超えた額を借りたい人が、ヤミ金に手を出さないか心配」と語る。協会の調査では、利用者の約半数が同法の内容を知らないと回答。周知の低さを危惧(きぐ)する。今回の施行で、専業主婦が借りるには配偶者の同意や年収証明が必要となる。事務作業が増えるため同協会は「調査では会員業者の85%が、主婦には貸さないと答えた」としている。

 県弁護士会で消費者問題対策委員会の幹事を務める大浦清和弁護士は「パチンコにつぎ込んで多重債務に陥る人が多い」と県内の特徴を指摘。「生活費を夫に黙って補てんしている主婦もいる」という。「内緒で債務を重ねている主婦はこれをきっかけに家族で話し合って。安易にヤミ金に流れず相談に来てほしい」と呼びかける。

 セーフティーネットの周知、充実も課題だ。自己破産などで債務を整理しても、生活を立て直す資金が新たに必要となる。県内では現在、生活資金を十五万〜六十万円貸し付ける県社会福祉協議会の制度しかない。各機関が協力して多重債務問題を解決する仕組みづくりが求められる。

 

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