上関原発建設計画に反対する「長島の自然を守る会」は18日、埋め立て工事が始まった建設予定地の周辺海域で実施した国の天然記念物カンムリウミスズメの生態調査で、抱卵期に1羽だけで行動する個体が高い頻度で確認されたことなどから、予定地や近隣で繁殖している可能性が高くなったと発表した。高島美登里代表らが県庁で会見し明らかにした。
高島代表によると、調査は1月から6月にかけ原発建設予定地周辺海域で約40回にわたって実施した。
カンムリウミスズメはつがいで行動し、抱卵期の3月から4月上旬にかけ6回の調査では1羽だけで行動する個体が高い頻度で確認された。つがいが交代で約1カ月間卵を温める習性があるため、予定地を含む周辺海域で繁殖している可能性が高いという。営巣地は確認されていない。
また、抱卵期後にひなを含む家族の群れが3年連続で確認され、同海域が大切な育雛(いくすう)エリアの可能性もあるという。
事業者の中国電力は2009年9月に公表した「上関地点カンムリウミスズメ継続調査報告書」で、繁殖の兆候が確認されず計画地点で繁殖の可能性はほとんどないと結論付けていた。
同会は7月の早い時期に中電に対し今回の調査結果を示し、埋め立て工事の中止を求める。
高島代表は「中電の調査結果は不十分で結論も時期尚早。直ちに工事を中止し生態調査を再開すべき」と訴えている。 |