封じ込めに県民一丸 消毒用の酢配布

(2010年5月20日付)

 県民総力戦で封じ込め―。口蹄疫問題で東国原知事が18日に非常事態を宣言したことを受け、県内各地でこれまで以上に感染拡大防止への動きが広がっている。

 日向市は非常事態宣言の周知徹底を図るため、防災行政無線などを通じて呼び掛けを始めた。都城市教委は市内の学校三十数校に踏み込み式消毒槽を貸し出しているが、非常事態宣言のあった18日は特に問い合わせが増えたという。

 小林市教委は19日、臨時校長会を開催。遠足、修学旅行など学校行事の延期や中止を決めた。国富町は消毒用に酢(1リットル入りペットボトル)200本を同町商工会加盟の小売業者に配り始めた。

 県南を代表する観光名所・飫肥城(日南市)の観光駐車場では、入り口2カ所で石灰散布を実施している。飫肥城下町保存会の郡司均事務局長は「地域経済にかかわる大きな問題。感染拡大を防ぐため、行政や各団体と連携を取って対応したい」と話した。

 西都市は近隣の高鍋、新富町で感染が確認されていることから、市主催のほか各種団体が開くイベントすべてに自粛を求めている。

 非常事態宣言は市民の意識にも強い印象を与えた。宮崎市高松町の会社員松田紘子さん(60)は「(宣言をする)知事の表情に『ただごとではない』と感じた。畜産農家のことを思うと、不便などとは言えない。発生地域に近づかないのはもちろん、車の消毒にも積極的に協力したい」と語った。

 一方、被害が最も集中する川南町では、一日も早く町の元気を取り戻すため、町民独自の活動も目立ち始めた。町商工会や有志、町若者連絡協議会が「住民一丸」を促す横断幕やポスターの製作を計画。近く商店街や幹線道路に掲げる予定という。被害農家の一人は「多くの応援は励みになり、涙が出るほどうれしい。再建を目指して頑張りたい」と話している。

【写真】口蹄疫予防のため、石灰を散布している飫肥観光駐車場=19日、日南市