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「60万円では足りない」 全頭処分決定
(2010年5月20日付)
口蹄疫の感染拡大を受け、国が19日、発生農場から半径10キロ圏内でのワクチン接種後の牛・豚の全頭処分と、同10〜20キロ圏内の早期出荷の促進を柱とする新たな防疫措置を打ち出した。ワクチンを接種した家畜に対する補償や早期出荷に伴う損失補てんも併せて実施する方針で、今後の口蹄疫対策は農家の経営再建が重みを増してきた。一刻も早く再建へ向けた道筋をつけたい対象農家からは、本来の経営状態に戻るまでの長期的な視点に立った補償を求める声が上がっている。
農林水産省によると、ワクチンの接種対象は都農、川南、高鍋、新富町の発生農場を中心とした移動制限区域(半径10キロ)内で飼育される感染疑いのない牛約5万頭と豚約15万5千頭。接種後の殺処分に対する補償として奨励金(牛1頭60万円、豚1頭3万5千円)を支給。併せて経営再開のための支援金も交付する。
宮崎市佐土原町の50代和牛繁殖農家は「血統のいい母牛は60万円では足りない。新たに母牛を購入すれば子牛の出荷まで3年かかるがその間の収入はない。国に従うのだから再開に向けた支援を充実してほしい」と話す。
農水省は搬出制限区域(半径10〜20キロ)での牛や豚の早期出荷を促し、損失分を国が負担することも明らかに。国富町の50代の和牛肥育農家は「2カ月前に50万円で購入した子牛は、今売っても10万円程度。早く具体的な算定基準を示してほしい」と要望する。
また、感染疑い確認農場では殺処分対象となった家畜の評価作業が遅れており、国は標準評価額による概算払いで対応することも決めた。
県畜産課によると、牛や豚の評価は家畜防疫員(獣医師)、市町村、畜産関係団体職員の3人が立ち会い、母牛なら購入価格や遺伝的な能力(血統)などに基づき1頭ずつ審査。子牛や母豚、子豚などにもそれぞれの基準があり、評価額を決める。
今後は、まず標準評価額に基づいて概算払いし、評価決定後に精算することになる。
64頭が殺処分された川南町の和牛繁殖農家(70)は「当面の生活費や設備投資などの支払いもある。一刻も早く支給してほしい」と早期の補償実施を訴える。
同町で豚約7500頭を飼育する日高義暢さん(30)は「経営再建や生活まで含めた補償が不可欠だ」と話していた。