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急転直下に農家動揺 えびの市も不安隠せず
(2010年5月20日付)
川南町の繁殖牛農家の50代女性は「本格的に国が動いたのは2日前なのに、ワクチン接種の決定は急すぎる。罪のない動物を処分する心の準備ができていない」と受け入れがたい様子。
豚1600頭を飼育する高鍋町北高鍋、黒岩健さん(37)は3週間前から夜中に起き出し、畜舎に出向いてきた。元気な家畜が殺処分の対象となることに「眠い、きつい、つらい中で消毒を続けてきた。今まで頑張ってきたのは何だったのか」と憤る。
一方、「県内で食い止めなければ日本の畜産がなくなってしまう。自分たちが防波堤にならないと仕方ない」と川南町の養豚農家・小野和博さん(49)は悲痛な覚悟で決定を受け入れた。その上で「最低でも以前と同じ状態で再建できるよう、農家への支援金はきちんと査定してほしい」と国に求める。
同町で車両消毒のボランティアに励んできた60代男性は「こんなにあっさり判断するなら、なぜ町民の混乱を放置していたのか」と国の対応に怒り心頭。しかし「今後の防疫がさらに大切と聞いている。宮崎の畜産を守るため、士気が下がらないようにしたい」と気を引き締めていた。
「投与後もウイルスには感染し、無症状のまま拡散する可能性はある。すべて感染源という意識が必要」と、継続して防疫作業の徹底を呼び掛けるのは獣医師会児湯支部の青木淳一さん(38)=都農町。一方で「農家はすでに限界寸前。いずれ殺処分される家畜の世話ができるだろうか。日本の畜産を守る誇り高い戦いと思い、気力だけは失わないで」と呼び掛ける。
対象から外れたえびの市もかたずをのんで決定を見守った。市畜産振興会の稲泉元司会長(61)は「市内5例目が発生したら、即座に(ワクチンで)対応するのか。(発生農場から半径)10キロの範囲には市内ほぼ全部が入り、えびのは崩壊する。出ないことを祈るばかりだ」と不安を隠さなかった。
【写真】雨の中、川南町内の車両消毒ポイントで入念に消毒液を散布する作業員。町内の畜産を守ろうと、懸命に作業に当たってきた=19日午後