東国原知事会見要旨

(2010年5月19日付)

■指針沿った防疫完遂 自主自衛を呼び掛け

 ―非常事態宣言を決断した理由は。

 川南、都農、えびの周辺での封じ込めが一定の効果を示していたにもかかわらず、新富町で発生したことで決断に至った。今回は口蹄疫で本県、南九州、九州の畜産、農業に壊滅的打撃を与える可能性があるということを県民に認識してもらい、自主自衛をしようという呼び掛けの意味だ。強制力を持って行動を制約するものではない。

 ―全頭殺処分など次の防疫対策のタイミングは。

 防疫対策としてワクチンや全頭殺処分、あるいはその複合など数種類の判断がある。どこで踏み込んだ対策をするか検討しているが、決断はしていない。手塩にかけた健康な牛や豚を殺処分しないといけない農家の気持ちを考えたとき、軽々にものを言えますか。私が全頭処分と言ったらみんなパニックになる。国と協議しないといけないが、最終的に私が判断しなくてはならない。政治判断だ。

 ―国より知事がリーダーシップをとるべきではないか。

 やっているでしょ。これはパンデミック(世界的大流行)、県だけの問題じゃない。だから国や市町村とも協議しないといけない。それぐらい分かってください。相当な覚悟が必要なんですよ。人員、埋設場所、予算、コストが尋常でない。全頭殺処分がいくらかかるか知っているのか。それを(報道陣は)簡単に言っている。慎重にやらないといけない。

 ―県の防疫態勢について。

 封じ込めに失敗したとは思わない。鳥や小動物、風に乗ったふん尿など感染経路が疑われるものが多岐にわたる。ましてや空気感染なら完全なディフェンス(防御)はできない。不可抗力だ。指針に沿ったできうる限りの防疫は完全にやっている。指針を超えたら法的問題が出てくる。不可抗力に対して失敗という厳しい指摘は当たらないのでは。現場のミスだとか、そういった視点で見ていただきたくない。われわれは一生懸命やっている。地元も一生懸命やっている。

 ―家畜改良事業団での確認、県の責任と今後の課題は。

 防疫は完ぺきにやったにもかかわらず残念だ。不可抗力としかいいようがない。(殺処分対象の)種雄牛49頭には、今後エース級になる牛もいた。経済的な損失、畜産にかかわっている全員の精神、肉体的なダメージは計り知れない。エース級の6頭を移転させておいたのが救い。安全であることを祈るしかない。一元管理については効率性に資しているが、リスク分散は今後の課題。

 ―国の予備費での予算措置について。

 どういう判断を国がするか分からないが、総理の言葉が一番重いと思っている。1千億円はつけていただけると固く信じている。

 ―県高校総体への影響は。

 県高校総体は県挙げてのスポーツイベント。高校生がせっかく頑張って鍛錬、練習してきた。夢や希望を奪って良いものか。発表の場をなくすことがないよう開会式、閉会式を開かず競技地を変えるなど検討したい。