食肉処理分購入検討へ 山田副大臣

(2010年5月19日付)

 政府の現地対策チーム本部長・山田正彦農林水産副大臣は18日、県庁で記者会見し、一定地域内における牛や豚の全頭処分の可能性について「今のところどちらとも言えない。大臣には現地の意向を話しており、最終的には大臣と総理の判断になる」と述べた。また同日、川南、都農町長らと会談し、生産農家の収入確保へ向け、出荷時期を迎えた搬出制限区域内の肉用牛を食肉処理し、国が購入したい考えを示した。

 全頭処分について、山田副大臣は「陰性なのに処分しなければならないというのは大変なこと」とし、ワクチンの使用にも「いずれは殺処分ということになり、生産者は身を切られる思い。今後、(政府の防疫対策)本部が判断することになる」と話した。

 搬出制限区域内の食肉処理については、移動制限区域内にある都農町の食肉処理施設を利用することを提案した。現在、搬出制限区域内の肉用牛は、同区域内に処理施設がないため出荷できない状況。生産農家の経営支援として処理された肉の国による買い上げを検討する意向を示した。

 また、川南、都農町長との会談では、埋却処分の人員確保策についても触れ、殺処分を終えた生産農家や畜産経験者などを雇用し、国の特別交付金を充当することを提案。山田副大臣は「一つの選択肢として提案した。これから大臣の判断を待つことになる」と話している。

 内野宮正英・川南町長はワクチン接種について「全頭処分をやるかやらないかの中で話が出た」と述べた上で、町内すべての農場の理解を得るのは難しく賛否を示すのは「厳しい」とした。

 同様に山田副大臣と会談した小澤浩一・高鍋町長によると、山田氏は発生農場から半径10キロ圏内の移動制限区域でワクチン接種を検討していると明かし、小澤町長は「国がきちっと決めてほしい」と決断を求めたという。

【写真】今後の防疫の在り方などについて話す山田農水副大臣=18日午後7時半、県庁