松阪牛44%が宮崎産 ブランド産地にも影響

(2010年5月19日付)

 口蹄疫の感染が拡大する本県は、全国各地に子牛を供給している。松阪牛や佐賀牛の肥育農家も本県から仕入れるケースが多い。県の牛の競りはストップしており、影響は全国のブランド牛産地にも広がる。「別の仕入れ先を探すしかない」「経営が継続できない」。各地では戸惑いの声が聞かれた。

 三重県松阪市によると、松阪牛の場合、2009年度は子牛の約44%が本県産だった。

 松阪市で約500頭の牛を育てる生産販売卸会社の瀬古清史社長(61)は「うちは8〜9割は宮崎産。予定していた仕入れができず、牛舎が空いてしまっている」と困惑の表情。「宮崎牛は早く成長し肉質も良いが、長引けば別の県で仕入れ先を探すしかない」と漏らす。

 県によると、08年度に県外に出荷された子牛は計約2万9千頭。出荷先は佐賀県(2784頭)、三重県(2695頭)、熊本県(2513頭)の順に多い。それぞれの土地で佐賀牛や松阪牛として育てられる。

 佐賀県でも、08年度に食肉市場に出された肉牛の14%を本県産の子牛が占める。地元JA担当者は「このまま子牛の仕入れができなければ農家は経営が継続できない」と苦渋の表情を浮かべる。県畜産課の職員も「北海道などからの買い付けも考えなければ」と話す。