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支援の輪に広がり 疑い確認1カ月
(2010年5月19日付)
■支援
本県を拠点に活動する女子プロゴルファーの横峯さくら選手が17日、川南町役場を訪れ、大会で獲得した賞金1200万円を寄付した。横峯選手は収入源が断たれた農家への配布を求め、「被害に遭われた方の笑顔が戻る日まで募金を続けたい」と語った。
宮崎大学キャンパスでは、農学部の学生25人が国に対策を求め、3日間で1291人の署名、募金27万5485円を集めた。
県と県共同募金会も18日、県口蹄疫被害義援金の受け付けを開始。県内外の企業、個人から続々と善意が寄せられている。
■埋却問題
県は4月24日に各都道府県に獣医師や畜産関係職員の派遣要請を、5月1日には自衛隊に災害派遣を要請した。家畜の殺処分や埋却など、現在600人態勢で防疫措置に当たっている。
ただ、問題となっているのが埋却場所の確保。埋却地を掘削した際、地下水が漏れたことで用地を再選定したり、地域住民の理解が進まず用地確保はなかなか進まない面も。殺処分が決まった家畜約11万頭超のうち、約6万頭が埋却できない状況だ。
農家からは「感染農場近くの土地を国や県が購入して直ちに処理してほしい」「迅速な処理のため、現地に決定権者を置くなど現行法の枠を超えた対応を」などと訴えており、早急な対策が必要となっている。
■影響
県内8カ所の市場は5、6月の競り市をすべて中止、または延期。家畜を出荷できない県内の畜産農家へ影響が広がっている。また、鹿児島、熊本、大分、長崎県も今月中の競り市すべてが中止か延期となった。
宮崎市のフエニックス自然動物園は17日から休園した。園内のキリンやニホンカモシカなど偶蹄(ぐうてい)類への感染を防ぐため、苦肉の措置。学校の遠足客などをすべてキャンセルし、期間は無期限という。
また、発生がゴールデンウイークと重なったため、各地でイベントが中止に。行楽の人出にも大きく影響した。
■防疫
口蹄疫の感染拡大を防ごうと、発生地域や畜産関係車両に限らず、多くの消毒ポイントで消毒を受ける一般車両が増えてきた。現在、県の消毒ポイントは県内全域に25カ所。さらに市町村などが自主的に30カ所を設置している。県の消毒ポイントは24時間態勢で稼働。4月20日から今月17日までに計12万695台を消毒した。作業に携わった延べ人数は9530人。
えびの市や川南町では消毒剤を染み込ませたマットを国道に設置し、すべての車両が消毒を受ける態勢に。えびの市は16日、農業用の無線操縦ヘリコプターで希釈した酢の空中散布を行った。
■国の対応
国や政府・与党の対応に農家などの批判が集中している。赤松広隆農相は4月末から今月8日まで中南米へ外遊し、本県入りしたのは発生3週間目に当たる10日。地元農家からは「遅い」との批判が上がり、面会した生産者団体の代表は「二度と牛飼いなんかしたくないと言っている」「針のむしろにいる気持ち」と悲痛な声をぶつけた。
民主党の小沢一郎幹事長は7日に本県を訪れ、JA関係者らと意見交換。「国の口蹄疫対策本部の移設」「十分な獣医師の確保」を求められたが、具体的対策の提示はなかった。
全閣僚による対策本部と現地対策チームの設置は17日で、すでに殺処分対象数は8万頭を突破していた。関係者から「今さら何を」との厳しい声も聞かれた。
【写真】口蹄疫のまん延防止のため、消毒マットによる全車両の消毒が始まった高鍋・川南町境の国道10号=16日