「どこまで機能」 県庁に対策チーム

(2010年5月18日付)

 政府が17日、宮崎県庁内に立ち上げた口蹄疫現地対策チーム。突然設置の連絡を受けた県は、職員が慌ただしく受け入れの準備に追われた。鳩山由紀夫首相を本部長とする政府の対策本部も始動。感染の拡大防止や被害農家の生活再建へ期待が寄せられる一方、発生から約1カ月たち、農家からは「やっと動いた」「今ごろ遅い」の声も。今後の国の対応に厳しい視線が注がれる。

 県庁に国から現地対策チーム設置の連絡が入ったのは17日午後。急きょ方針が示されたこともあり、県ではチームが常駐する部屋の確保や、インターネットのケーブルの設置作業が急ピッチで進められた。

 山田正彦農水副大臣が県庁入りしたのは午後5時ごろ。急ぎ足で県庁3階の対策チームに移動すると、県内にある国の出先機関の職員らが状況説明。山田副大臣が到着してからも県側には動きが伝わらず、廊下で県職員と政府関係者が慌ただしくやりとりする姿もあった。

 農家など県内関係者は発生直後から国に支援を訴え続けてきた。

 JAグループ宮崎(代表・羽田正治JA宮崎中央会会長)は、7日に来県した民主党の小沢一郎幹事長に「国の対策本部の本県への移設」を求めていた。羽田会長は「遅れてしまったが、とにかく良かった」と評価。埋却地が不足し、殺処分が決まった家畜のうち約3万頭が処分できない状況。さらに被害が拡大する恐れがあるため「対策チームは真っ先に埋却地を確保し、全頭を2、3日で埋めることにエネルギーを費やしてほしい」と要望した。

 農家には批判の声も。川南町で繁殖牛43頭を育てる間野雄一さん(36)は「国の対策は後手後手だった。対策チームもどこまで機能するか分からない。とにかくこれ以上の感染を止めてほしい」と不信感交じりに話す。

 えびの市の20代畜産農家は「1カ月もたたないうちに、多くの牛や豚が処分された。国に対して『どうして今になって』という気持ちが強い」と憤る。「補償や雇用の問題など、具体的にどう支援するのかを知りたい。政府や県はこの機会にもう一度対策を話し合い、さらに消毒を徹底するなど早く終息させてほしい」と訴えた。

【写真】政府の現地対策チームが設立され、足早に県庁に入る山田正彦農水副大臣(中央)=17日午後