畜産農家に補償を 平野氏に知事要請

(2010年5月17日付)

 平野博文官房長官と福島瑞穂消費者行政担当相が16日、相次いで県庁を訪れ、東国原知事らと口蹄疫対策で意見交換した。知事は獣医師など防疫従事者の増員や埋却地の確保、畜産農家に対する経済損失の全額補償・生活支援などを要請。平野氏は「政府、自治体が一体となって被害を拡大させないよう対応する」と答えた。福島氏も消費者行政の立場から、風評被害防止に全力を挙げる考えを示した。また、JA宮崎中央会は発生以来の被害額(15日現在)が160億円に上るという試算を明らかにした。

 知事は「万全の防疫対策を取っているが感染拡大が止まらない」として、感染経路の徹底解明など6項目の要望事項を説明した。赤松広隆農林水産相や原口一博総務相が、家畜の殺処分による損失は国の特別交付金で全額補償する考えを示していることから、知事はどこにいくら手当てしたか、明細を示すよう求めた。

 同席したJA宮崎中央会の羽田正治会長は、15日現在の被害額が160億円に上ることを明らかにした。殺処分が決まった約8万2千頭の牛豚が対象で、内訳は家畜の評価額60億円▽出荷遅れによる餌代などの諸経費20億円▽農家の生活費や事業再開資金80億円―として国による補償を訴えた。

 河野正和都農町長は「自衛隊の増派が実現していない。弾力的運用を」と要求。JA尾鈴の黒木友徳組合長は殺処分される家畜の評価額をきちんと査定するよう要請した。

 福島氏との意見交換でも、県は同じ内容の要望を伝えた。

 会談後、福島氏は風評被害について「若干、買い控えなども起きているやに聞いている」として、消費者庁として取り組む考えを示した。また、赤松氏が4月30日から5月8日まで中南米に外遊した際、農相臨時代理を務めていたことについて「逐一連絡をもらい、封じ込め対策をしっかりやろうとやってきた」と説明、問題はなかったとの認識を示した。