酢の空中散布実施 えびの市、防疫へ懸命

(2010年5月17日付)

 えびの市口蹄疫防疫対策本部(本部長・村岡隆明市長)は16日、口蹄疫の感染拡大を防ごうと、希釈した酢の空中散布を行った。農業用の無線操縦ヘリコプター3機を使い、同市で感染・感染疑いが確認された農場に近い地域で散布。見えない敵に戦々恐々とする畜産農家からは「涙が出るぐらいうれしかった」との声が上がり、心理面での効果も大きかったようだ。

 計4例となっている確認地点が徐々に北上していることを受け、同市島内地区の北部や湯田、西郷地区の約50ヘクタールに散布。ヘリは牛や豚の畜舎周辺や農地の上空数メートルをゆっくりと旋回し、250倍に薄めた穀物酢を霧状にして散布して回った。

 豚約30頭を飼育する女性農家(68)は自宅の窓越しに作業を見守ったといい、「できる限りの自主消毒はしているが、毎日が不安。酢を空中散布してもらい、本当にうれしかった。私は豚が好きでね。家族と一緒。ヘリコプターに思わず手を合わせ、涙が浮かんできた」と話していた。

【写真】口蹄疫の防疫措置として、希釈した酢を空中散布した農業用の無線操縦ヘリ=16日午前、えびの市