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  • 2010年6月18日

アフリカを叩け

ワールドカップの歴史において、日本代表はずっとエキストラだった。日本よりも多くのワールドカップ経験を持つ韓国代表にしても、役どころは同じである。2002年、一度だけ主役になりかけたことはあったが、決勝の舞台に立つという快挙は達成されなかった。北朝鮮代表も、1966年にベスト8という成績を残している。しかし、再びワールドカップの舞台に戻って来るまで、44年間という月日を過ごさなければならなかった。
今大会で19回目を数えるワールドカップで、アジアのサッカーが刻んできた歴史は2002年の韓国代表と、1966の北朝鮮の二つだけである。エキストラだったのは、日本代表だけではない。アジア全体が、今までずっとエキストラだったのである。
ワールドカップの主役は誰だったのか。
それは、第一回ワールドカップから決勝戦に名を刻み続けた、ドイツ、イタリア、フランス、オランダなどのヨーロッパのサッカーであり、ブラジル、アルゼンチンなどの南米サッカーである。ヨーロッパと南米のサッカーは、ワールドカップにおいて、アジア、アフリカ、北中米のチームが束になっても敵わない歴史を歩んできた。主役として走り出し、トップグループを形成し、今現在も先頭を走り続けている。
主役の存在を引き立たせるために、脇役というポジションがある。かつては、脇役もヨーロッパと南米のサッカーが担ってきた。アジア、アフリカ、中南米のサッカーは脇役にもなれなかったのである。
変化が出てきたのは、1990年のイタリア大会だった。
カメルーン代表が、アルゼンチンとの開幕戦でアフリカサッカーを見せつけたのだ。驚異的な身体能力を前面に押し出したサッカーは、荒削りではあったが、十分なのびしろと可能性を感じさせた。以降アフリカの選手たちの驚異的な身体能力は、ヨーロッパのクラブチームでも高く評価され、アフリカサッカーは、ヨーロッパ、南米に続く第三勢力となった。最初に脇役のポジションを手にしたのは、アフリカサッカーだった。
だが、今大会アフリカサッカーは、苦戦を強いられているように思う。
予選グループ初戦を終えて、勝利しているのはガーナ代表のみである。自大陸開催のアドバンテージがあるにも関わらず、アフリカの6チームはいいスタートを切れなかった。
アジアサッカーはどうか。
まぐれと言われようが、ブルームフォンテーンで日本代表は、カメルーン代表に勝った。韓国代表も、ギリシャ代表に完勝している。日本代表が苦杯を舐めさせられ続けたオーストラリア代表が、ドイツ代表に粉砕されたのは驚きだったが、実力で一番劣ると思われていたニュージーランド代表も終了間際に追いつき、勝ち点位1を手にしている。負けはしたが北朝鮮代表も、ブラジル代表に一太刀浴びせた。
今大会、アジアのサッカーが変わろうとしている。
変わろうとしているが、変わっていないというのが事実である。
変わるには、結果を残すしかない。内容ではない。結果である。
もし、アジアサッカーが、アフリカサッカーよりも一つでも多くベスト16に名を残したなら、ワールドカップでずっとエキストラ扱いされてきたアジアサッカーを見る目が変わると思う。チャンスはある。ニュージーランド以外のアジア4カ国は、アフリカ勢と同組なのである。アフリカサッカーを叩けば、アジアサッカーが第三勢力を争えるポジションまで押し上げることができるのである。
 まずは日本代表が、カメルーン代表を叩いた。
 韓国はナイジェリアを、オーストラリアはガーナを、北朝鮮はコートジボアールを叩いてほしい。そして、日本代表は、次のオランダ戦で一太刀だけでなく、ニ太刀、三太刀浴びせなければならない。ニュージーランドを含めた5カ国が、ベスト16に名を連ねることができたなら、世界が驚かないはずがない。
エキストラは、もう嫌だ。
アフリカを叩け。

(丹野洋一郎=文)

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