不倫 ～彼を想う日々～

　
『夜、また出てきて』
『後で説明するから』

って言ってた彼。


１時すぎにメールをしてきた時は
会うつもりも説明するつもりも
なかったみたい。


あたしも出てく気はなかったから
別にいいんだけど
言ってた本人がその事に対して
何も触れて来ない事には
腹が立った。


２時前にはメールも途切れた。


日曜日、
前々から楽しみにしていた
AKBの握手会。
(宮澤佐江ﾁｬﾝが大好きなんです)


前回の時もそうだったけど
朝５時には家を出て会場に向かう予定。


土曜日、
こんなふうになるはずぢゃ
なかったから
もっとウキウキな楽しい気分で
行けると思ってた。


これ以上、眠剤を飲んだら
間違いなく体が保たないだろう
と思って、そのまま寝ずに
５時に出発。


運転してる間も、並んでる間も、
彼の事ばっかり考えてしまって
ちっとも楽しくなかった。


おまけに今日は
奥さんが彼の仕事場に
ほぼ一日中いる。


昨日、定食屋ｻﾝで

私『明日は行きも帰りも一緒？』

彼『うん‥しょうがない‥』

私『えっ？　ぢゃぁ、
　１時から８時まで
　奥さんもずっといるの？』

彼『たぶん、そうだと思う』

私『はぁ‥』

彼『仲良くなんかしないから
　心配いらないよ』

って会話したのが甦る‥



並んでる途中、朝８時半前
彼からメールが来た。

【本当に嫁ぢゃないからね
　ごめんなさい。】


あたしがどんなメールを送っても
同じ内容ばっかりの返事。


"他に言う事ないのかよ‥"

メールが来ても、来なくても、
苛々してた。


すごい楽しみにしていた
AKBのイベントも台無し。


佐江ﾁｬﾝと握手する時だけは
笑っていられたかな‥？



朝早かったのと、
長時間並んだのと、
気持ち悪いくらいの暑さと、
行き帰りの運転とで
くたくたになって
夕方５時すぎに家に着いた。


シャワーを浴びて
眠剤を飲んで
携帯の電源を落として
眠りについた。


11時頃、目覚めて
携帯を見たら、
彼から４件もメールが来てた。


立て続けに彼からメールが来る事は珍しい‥


でも内容はほとんど同じ‥


【本当にごめんなさい】
【本当に嫁ぢゃないよ】
【みぃ、離れていかないで】

ランダムで組み合わせてても
同じ言葉ばっかりだった。

　
７時ちょっと前に
やっと本屋に着いて、彼は

『絶対メールするから
　寝ないで待ってて
　ちゃんと説明するから‥』

って何回も言ってた。


なんで、その場で説明ができないんだろう‥


なんで、その場であたしの事を
納得させたり、落ち着かせたり、宥めたりができないんだろう‥


まず、本当にメールの相手が
奥さんぢゃないなら
チラッとでも携帯を
見せられるはずだよね‥？


それを頑なに何度も拒否られて
『本当に嫁ぢゃないよ』
って言われても信じられないよね‥？


で、挙げ句の果てには
『夜出て来い』『後で説明する』
だの、訳わからない事言って‥


あたしとバイバイしたあと
どこに何しに行くのか
気になったけど
悔しくて聞けなかった。


きっと、聞いたところで
本当の事なんか言えるはずもないと思ったし‥


本屋に着いて、すぐに彼は
あたしの車から降りて、
自分の車に乗り込んだ。


あたしは、彼が車に乗り込んだのを横目で確認しながら

"本当にこのまま、
この状態のまま
どっかに行っちゃうんだ‥"

って余計に悔しく、惨めな気持ちで自分の家に向かって車を走らせた。



７時半すぎ、家に着き、
携帯を見たら彼から２件メールが来ていた。


一応、見たけど返事なんかしたくない。


あたしは、そのまま眠剤を飲んで
携帯の電源を落として
布団に入った。


10時頃、一度目が覚めてしまい
トイレに行ってから
もう一錠眠剤を飲み
また眠りについた。



あたしの悪い癖‥


何も考えたくない時、辛い時、
寂しい時、どうしようもない時、
眠剤を何錠も立て続けに飲んで
ただ、ひたすら寝てしまう‥


次の日、余計に辛くなったりしちゃうけど‥
やめられない‥


彼にも

『少しずつ薬減らしてね』

って言われてたけど
こういう時は
彼に対して当てつけのように
飲んでしまう‥



夜中の１時前、目が覚めた。


携帯の電源を入れてみたけど
彼からは一通もメールが来てなかった。


あれだけ言ってたのに‥


７時半から一通もメールがないって‥
有り得ない。


起きて待ってなくて大正解。


結局、こんなもんだよね‥


起きてた娘に

『ふらふらして‥　大丈夫？
　また何かあったな？』

って言われたけど
話す気にもなれなかった。


ぼーっとしながら
煙草を吸ってたら
彼専用の着信音が鳴った。


夜中の１時05分。


彼【今日はごめんね
　今起きてる？】

私【やっと奥さんに
　解放されたんだ‥
　長かったね‥　お疲れさん。

　もうわかったから
　別れてあげるから
　連絡してこないで‥】

彼【別れてあげるからって。。
　別れてあげなくていいから。。
　ごめんなさい
　本当に嫁ぢゃないの】

私【もういいから。
　あたし、愛妻家は無理だわ‥】

彼【愛妻家？全然違うよ】



あたしは別れる方向で
勝手に話しを進め、彼は

【ごめんなさい】
【離れないで】
【本当に嫁ぢゃないよ】

この３つを繰り返してた。

　
帰る途中、定食屋ｻﾝに寄って
中途半端な時間にご飯を食べた。


そこで、彼があたしに携帯を
向けて写メを撮ろうとした。


６年以上付き合ってきて
写メを撮ろうとしたのは２回目。


１回目は、前回会った時‥


私『この前も聞こうと思ってたんだけど、なんで急に写メ撮ろうとするの？』

彼『待ち受けにしようと思って』

私『絶対嘘だ(笑)　なんで？』

彼『みぃの写メが欲しいから‥』


本当にそう思ってくれてるなら
嬉しい事だった。


でも、あたし、わかっちゃったよ‥

写メ撮るふりして
実は、そこでもメール打ってたね‥

あえて、そこでは突っ込まなかったけど‥


定食屋ｻﾝでは、あたしは素直に
彼に対して気持ちを話していた。


彼『俺、悔しいけど、みぃの事
　すごい好き。大好き。』

私『みぃもムカつくけど大好き』

彼『だから、信じてほしい』

私『だったら、信じられるように
　不安にならないように
　してほしい‥』

彼『だって嘘ついてなくても
　嘘だ、嘘だって言うぢゃん‥』

私『だって実際嘘ついてるぢゃん
　‥あたしストーカーだから
　怪しいなって思う時は
　すぐ家見に行ってるんだよ？
　奥さんとどこにも行ってない
　って言いながら
　よく一緒に出掛けてるよね？』

彼『は？何適当な事言ってんの？
　嫁となんか出掛けてないし‥』

私『ほら、嘘ついてる‥
　そういうのが信じられない
　原因になるんぢゃん‥』


とか、普段はあまり言えないような事まで話した。
(メールでは言いたい放題
暴言吐きまくりなんだけど、
面と向かってはガンガン言えないんです)


定食屋ｻﾝを出て、あとは帰るだけかな‥？


あたしは、まだまだ
時間大丈夫だけど
彼はどうなんだろ‥


できれば、まだまだ
一緒にいたいな‥


そんな事を思ってた。この時は‥



彼は車に乗ると、またうとうと‥

起きれば携帯‥


今日、彼と一緒にいても
不安、不信感ばかりで
公園を歩いた、たった数十分しか
楽しいって感じられなかった。


一緒にいても "心ここにあらず"
みたいな感じだったし

あたしも、ずっと運転させられて
隣では寝てるかメールかで
不安な気持ちにさせられて‥


あたしは我慢できなくなって

私『まぢ、携帯ばっかりいぢって
　なんなの？
　奥さん？　帰って来いって？
　どっか連れてけって？』

彼『嫁ぢゃないよ‥』

私『本当に奥さんぢゃないなら
　チラッとでもいいから
　メール見せてよ。』

彼『‥』

私『見せられないんでしょ？
　それが答えなんだよね？』

彼『でも本当に嫁ぢゃないよ』

私『なら、見せられるでしょ？』

メールを打ってたであろう
彼の手元を見たら
通話終了ボタンを2～3回押してるとこだった。


あたしに向けられたら携帯の画面は、待ち受け画面だった。


それを見て、あたしは無言。


しばらく無言が続いて

彼『ねぇ、みぃ、なんでそんなに
　怒ってんの？
　本当に嫁ぢゃないんだけど‥』

私『もういいよ。
　今日は無理に時間作って
　もらっちゃってごめんね‥
　奥さんと約束があるなら
　いつもみたく断ってくれても
　良かったのに‥』

彼『嫁と約束なんかないよ‥』

私『今まで楽しかったでしょ？
　面白いようにあたしの事
　騙せて‥　良かったね‥』

彼『なんでそうなるの？
　あとで説明するから‥』

私『説明なんかしなくていいよ。
　どうせ、また嘘つかれるだけ
　なんだから‥』

彼『‥　　今日、夜出れる？』

私『は？無理。』

彼『夜、また出てきてよ‥』

私『なんで？』

彼『ちゃんと話したい』

私『なら、今話せばいいぢゃん』

彼『‥』

私『今すぐにでも一人になりたい
　家に帰って眠剤飲んで寝たい』

彼『寝ないで待っててよ』



早く本屋に着きたくて
苛々しながら運転していた。