不倫 ～彼を想う日々～

　
出発して、すぐに彼は車のシートを倒して寝る体勢‥


『また、みぃと一緒にいる時に
　寝るのかよ‥』

ついつい本音を言ってしまった。


それでも、朝一から練習試合で
疲れただろうと思って
道がわかるとこまでは
黙って寝かせてあげていた。


彼も寝たり起きたりを
繰り返してて
長時間の熟睡はしてなかったけど

あたしからしたら
気分がいいわけがない。


ふっと起きると、
すぐに携帯を触り、
誰かにメールを打ってる。


彼が送信すると、
すぐに返事が来るみたいで
誰かと何度もメールのやりとりをしてた。

私『誰とメールしてんの？』

彼『練習試合があるんだけど
　人が集まらなくて‥』

私『本当は嫁だろ？』

彼『違うよ。嫁ぢゃないよ』

私『ぢゃ、新しい女か？
　落としてる最中なのか？
　男は落とすまではマメだからね‥』

彼『違う違う。
　女はみぃしかいないよ』

私『‥』

そんな話をしている最中も
メールをしている。

私『まぢ、誰？』

彼『本当にチームの連絡だよ』

私『そんなに何回も何回も？』

彼『うん‥』


あたしは、信じてなかった。


出発して１時間もしないうちに
５時頃目的地に着いた。


遊歩道みたいなのがある公園で
６時には駐車場が閉まってしまうらしい。


でも、あたしは

"１時間あれば、のんびり歩いたりできるぢゃん"

って思ってた。


あたしも彼も初めて来た公園で
適当に歩いてみようって
歩き始めた。


公園内の売店やら休憩所やらも
５時には閉まっていて
本当、ただ歩くだけ‥


それでも明るいうちから
外を一緒に歩くのは初めてだったから、それなりに嬉しかった。


10分も歩かないうちに
一周してしまい、
階段とか登れば
また違うとこに行けるのに

『疲れるからやめよう』

ってなって車に戻る事に‥


結局、公園には20分もいなかった。


帰りもずっとあたしの運転‥


彼は行きと同じ状態。


あたしといる時は
あたしの機嫌が悪くなるのを
知っているから
あまり携帯をいぢる事はなかったのに‥

今日は異常‥

帰りは、携帯をいぢる回数も
増えていた。


あたしは何回も『誰？』って
同じ事を聞くのも嫌だったから
聞く代わりにチラッと彼の方を
何度も見たりしてた。


彼も視線を感じて

『みぃにやきもち妬いてもらえるのも嬉しい』

とか

『本当に嫁でも女でもないよ』

って言ってたけど、
どうしても信じられなかった。

　
６月12日、土曜日


彼の練習が終わって
メールが来たのは１時すぎ。

【今日しかないし、
　天気もいいから行こうよ

　用意して出て】


朝のメールで
どこに行くか話してて

"鎌倉に行きたい"

って伝えてあった。


彼もあたしが言う前から
そのつもりでいてくれてたみたい‥


太陽が昇ってるうちに
会える事なんて滅多にないから
(会えてもだいたいホテル直行)
鎌倉に行くなら今日しかない。


紫陽花で有名なお寺に
行きたかったから‥



彼【〇〇(地名)から向かうから
　少しだけ待っててね】


〇〇から来るなら、
１時間もかからないだろう‥

そう思って、
彼から連絡が来てから30分後に
あたしも家を出て
ガソリンを入れてから
待ち合わせ場所の本屋に向かった。


あたしは２時前に本屋に着いて
彼を待ってた。



彼も、もう着いてもおかしくない時間。


でも、なかなか来ないし
メールの返事も遅い。


彼の事だから、チームの人達と
くだらない話をだらだらしてるのかな‥って思ってた。


３時になったら

【今日は会わなくていい。
　帰るね。お疲れ様。】

ってメールして帰ろうと思ってた。


メールも作成して３時になるのを待ってたら、
３時２分前にやっと彼が来た。


本屋で１時間も待たされたあたしの機嫌は最悪‥


しかも、あたしが行きたいお寺の閉門時間は４時半‥


これから鎌倉に向かったって
４時半にギリギリ着くか着かないか‥


せっかく鎌倉まで行くのなら
他にも行きたい場所があって
３時に出発して向かっても
どこもゆっくり見れないし
歩けない‥



なんで、こんなに時間がかかったのか聞いたら、

『足が痛くて針治療に行ってた』

って‥

それならそうと
前もって言っといてくれれば

"ぢゃ、時間的に鎌倉は無理だな"

って諦めもついて
違う場所に行く気にもなれてたのに‥


20分くらい本屋の駐車場で
無駄な言い合いをして

『ちょっと本屋に行ってくる』

って彼があたしの車から降りて
一人で本屋の中に行ってしまった。
(後々考えてみると、この行為もどことなくおかしかった。)


それで、また20分くらい待たされた。


戻って来た彼が
またあたしの車に乗り込んで来て
このあとどうするか話した。


待ち合わせで１時間以上も待たされ、本屋に入ってって30分近く待たされ、機嫌の悪いあたしは

『どこも行くとこないし帰る？』

彼『ホテル行く？』

私『全くそんな気分ぢゃない』

彼『ぢゃ、〇〇の方にドライブ
　行ってみようか？』

私『途中から道わからないから
　教えてね‥』


どうにか苛々する気持ちを抑えて
あたしの車、あたしの運転で
出発した。


出発時刻、４時すぎ。