◆中央集権国家から道州制国家--みんなの党新人、元米沢市議・川野裕章氏(50)
2大政党への不信感が漂う中、「第三極」として注目されるみんなの党。新人で元米沢市議の川野裕章氏(50)に意気込みと政策を聞いた。【浅妻博之】
--新しい党から立候補した。
「どこの政党に期待したらいいんだ」「自民も民主も嫌だ」と言う人が多い。そういう人の受け皿になるため立候補を決意した。
--主に訴える政策は。
今の日本の仕組みは東京一極集中で、人も物も情報もすべて東京に集まる中央集権国家。誰が都知事をやっても、東京の繁栄は可能。逆に地方は疲弊し、どんな人が改革に取り組んでも、問題を解決できない。中央集権国家を解体し、官僚支配の国を改め、道州制国家に作り替える。行政コストが安くなり、地方産業や農業が飛躍的に力をつけ、地方が活性化する。党の1丁目1番地、2番地に挙がる道州制国家を目指すのが山形にとって活性化の一番の原動力になる。時間をかけてみなさんに伝えたい。
--山形選挙区で民主でも自民でもない候補者が立候補する意義は。
自民党は、官僚と一緒に中央集権国家をうまく使い、戦後の復興を担った。しかし成長期から成熟期に移り自民党の役割は終えた。役割を終えた自民党に対し、政権交代を掲げたのが民主党。民主党は昨年の夏に目標を達成したが、そこで民主党の存在意義も終わった。理念や政策で改めて政治家を色分けして政界再編をし、これから100年の礎を作る。そのきっかけになるのはみんなの党だ。
--戦略は。
戦略なんて高尚なものはない。時間もないので一人でも多くの人に会い、党の考え方や私の思いを直接伝える機会をできるだけ多く作るのがすべて。
--鳩山由紀夫前政権と、民主党の政策への評価は。
選挙目当てのバラマキに国民もようやく気付いた。耳に良いバラマキ政策の結果、お金がないという無責任なやり方は通用しない。
--菅直人首相の印象と党の影響は。
看板の掛け替えだけ。民主党の本質、中身は変わらない。だから選挙への影響はない。
--自転車で各地を回り、県民の声を直接聞いている。
今までの党の地方議員は、上の命令をこなす立場だった。みんなの党は逆にみなさんの声を吸い上げ、党に反映させるボトムアップ型の政党を目指す。いろんな声を吸収し具体的な政策に結びつける。それが今までの政党と違う。地方の声を真摯(しんし)に吸い取るので既成政党とはやりがいが違う。
--有権者が望んでいることは何だと感じるか。
「増税の前にやることがあるだろう」ということだと思う。そこを直さないかぎり、いくら立派な政策を立てても、基礎がシロアリに食われ、エネルギーがなくなる。国のエネルギーに生まれ変わる仕組みになってない。一度、土台をきちんと作り直すべきだ。国民もそれを望んでいる。
--ボトムアップ型で吸い上げるというが手法は。
来年の統一地方選で、みんなの党は地方議員をどんどん発掘する。地方議員が政策を吸い上げ、党本部とすりあわせる計画だ。
--参院選はその布石か。
参院選を軸に地方政治家の勉強会を作り、地方選挙を通じてシステムを作るのが党の大きな計画の一つ。
--支部を増やす計画は。
今正式な支部は酒田と米沢だけ。党員が増えれば支部も増やしたい。市議から水面下で支援の声はもらっている。市町村議を中心に支援の輪を広げたい。=おわり
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■人物略歴
1959年生まれ。米沢市出身。米沢興譲館高、独協大卒。87年に27歳で米沢市議にトップ当選。市議5期で、01年に議長。現在は不動産会社社長。
毎日新聞 2010年6月18日 地方版