赤っ恥、セ交流戦やめたい パに1位から6位まで独占され

★「2年間はお付き合い」

2010.06.15

 パ・リーグ球団が6連覇、しかも1位から6位まで独占した今年の交流戦。セ・リーグ首位の巨人がようやく5割で7位のありさま。リーグの威信失墜だ。これで、にわかに注目されるのが巨人を筆頭としたセ球団の出方だ。

 「パ・リーグ球団が圧勝したのはうれしいが、これでセ・リーグ側は交流戦の廃止を言い出すのではないか」。パ・リーグ球団関係者は、交流戦圧勝を喜びながらも、今後のセ・リーグ球団の出方を不安視している。無理もない。

 球界改革のために、2005年から始まったセ、パ交流戦は06年まで36試合制だった。が、「2年たったら見直しする」という約束があり、07年から現行の24試合制に変更されている。「交流戦はファンが支持しているし、36試合制のままでいい」というパ・リーグ球団に対し、「多すぎる。18試合制にしたい」と、セ・リーグ球団側が半減を要求。

 平行線のまま、最終的にパの36試合制維持とセの半減案の18試合制の中間の24試合制で妥協した経緯がある。冠スポンサーの日本生命が「これ以上、試合数を減らしたら、スポンサーになる企業メリットがない」と言明、セ側も渋々折れるしかなかったという楽屋裏話もある。

 が、当時からセ球団の本音は交流戦の廃止にあった。というのは、そもそも球界改革のためというのは建前で、「パ・リーグ救済」のために、セ球団側が仕方なく交流戦を受け入れたのが実情だからだ。

 04年のシーズン中にオリックスと近鉄の合併が表面化。10球団1リーグ制度という動きが起こり、球界は激震。最終的にはソフトバンクがダイエーを買収、楽天の新規参入で2リーグ制度は存続したが、新しい観客動員の目玉が必要で、セ側もいやいやながら交流戦を認めた。

 それだけに「2年間、お付き合いでやったのだから、交流戦はもういいだろう」という本音があり、以降も変わっていない。いやそれどころか、さらに交流戦嫌いに拍車をかける結果が続いているのだから、たまらない。

 赤っ恥をかかされた巨人はじめセ球団が、恥も外聞もなく交流戦の廃止を言い出しかねない状況にある。さて、実際にどう出てくるのか、けだし見物だ。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)

 

注目サイト